頼むよ、Aくん
私のアシスタントをしているAくんは22歳、たいへん勉強熱心です。しかも今どきの上海人にあるまじき人格者にして超真面目男子。まだ学校に在籍中ですが、ほとんど授業の単位は取ってしまい、学校にはもうほとんど行かなくてもいいと言うので、向こうは実習、こちらは試用ということで青田買いしました。
彼は大の日本びいきで、しかも浦東のちょっと田舎者なので、日本人の私がよほど珍しいらしく、社内にいるときはいつも後ろにくっついてきます。私がたまにちょっと日本のことなんか話したりすると目がキラキラします。休みの日にはあちこちの企業で研修しているクラスメートが集まって、チャットや喫茶店で「私の会社の日本人談義」をするみたいです。・・・オレもちょっとだけ聞いてみたいな。
そんな彼のお気に入りは大塚愛です。『さくらんぼ』が好きなんだって。でも『さくらんぼ』がなんだかよく分かっていなかったんだよね、Aくん。それとちょっと私が冗談で「私とキミのことだよ」と言ったからって、あの歌の意味を納得しないでほしかったよ。orz
そんな彼なので、新しい日本語表現が出てくると必ず目をキラキラさせて「それはどういう意味ですか?」と尋ねてきます。それはたいへんいいことなんです、が。
よく説明に苦しむのは日本人の表現の中にある「繰り返し言葉」。老いも若きも関係なく、物事の様子や状態を表すときに便利なのでよく使います。ところがこれをAくんに説明するのが難しい。ちょっと下に例を挙げてみます。
「でんでんって落ちちゃって。あそこつるつるじゃん。今、ぴんぴんしてるよ」
「このぬいぐるみ、ふわふわでふかふかなの。」
「あかちゃんの顔ってぷくぷくしてるでしょ。手はふにふにしてるし、肌はすべすべよ。」
「あのオヤジ、いつも頭がてかてか。汗かいた顔なんかぎとぎとでべたべたな感じ。」
どれも日本人なら何ということもない会話の一例ですが、いったいこんなものをどうやって彼に説明していいものやらちっともわかりません。代わりになる言葉があればまだマシなんですけど・・・かくしてジェスチャーゲーム大会となるわけです。
しかも覚えたら使ってみたいのが、人の心。しかし繰り返し言葉はちょっと間違えると、たいへんなことになります。
「メモはグショグショにして捨てました。」(それを言うならグチャグチャだろ・・・)
「コンポウザイ?あ、ビチビチのことですね!」(プチプチだよ・・・)
「はい、もうピンピンです!」(そこはパンパンじゃないとなんかマズいだろ・・・)
かくして私が飲みかけのお茶を吹き出すことになります。
他にも繰り返し言葉じゃないけれど、例えば目の前を素早く通り過ぎる表現として、「ささっと」「さーっと」「ぴゅーっと」「ごーっと」「ざざーっと」「どーっと」「どどどっと」「きーんと」「しゅぱっと」・・・ああ、日本語って難しいです。
Aくん、頼むからそんなに目をキラキラさせないでくれ。
擬態語・擬音語ってほんと難しいです。
Aくんのキラキラおめめをみて見たい(笑)
by rinda (2005-05-27 00:47)
rindaさん、nice!とコメントありがとうございます。彼はカワイイ顔をしているからそれなりにモテると思うんですけど、同僚の女性に対する口のきき方は結構ぞんざいです(笑)。
by Tobermory (2005-05-27 21:11)