谷山浩子「猫森集会」～わたしの知らない世界

思春期の頃に特に大きな声で言いふらしはしないけど、密かに愛聴していた音楽や何度も読み返す本など、ありませんでしたか？
私にとって谷山浩子はそんな歌手のひとりだったのです。

随分大きくなるまで母親にメディアを完全制御されていた幼い私が、当時とても楽しみにしていた限られた番組「みんなの歌」で ♪真っ暗クラ～イクライ と歌っていたあの人です。
果てしなく暗い情念や、不思議な幻想世界をあれほど拡げて深く歌った人は稀有だと思います。

本日のコンサートはそんな風にして谷山さんを何年も何処かで覚えていた友人のひとりに誘われたのでした。
聴衆はおそらく60～70年代生まれの内向的で夢見がちな女性が大半かと思いきや、予想は激しく裏切られました・・・。
6：4の割で男が多かったです。
それも中年の男性。
何と言うんですか？今風に言えば「秋葉風」、ですか？
少しふくよかな方も多めでした。
普通のオッサンがフランス人形など抱きかかえていたり。（この方は実際に見ていないです。友人の目撃談）
課長？ひょっとしたら部長？クラスな会社帰りの背広の男性。
一人率も高かったですが、お互いに「どうもー」なんて言って知り合い同士なんですね。
あ、もちろん女性も。
ピンクハウスの模造品のようなファッション、ラプンツェル目指してる？異常に髪の長い女性、80年代にキョンキョンがやってましたよねぇ、少し袖が長めで手が出てない服など。

自分的には谷山浩子の世界にあまりそういう匂いは感じていなかったので、正直かなり驚きました。
皆、彼女の詩や内面世界に惹かれて集まっているのでしょうからね。

本日は、会場のリクエストに答えて何でも演るよという趣向。
アルバムだけでも30枚ほど出している膨大な持ち歌の中から、ランダムにリクエストされた一曲をほぼその場で即興のように演奏して行くのですから、恐ろしいことです。
バイオリンの斎藤ネコさんよかったなぁ。（ヤスカツさん系）

そして出るリクエストがすべて、如何にマニアックなものを言い当てるかを競うかのような！（知らない歌ばっかりだよ）
83年発売のシングルのB面とか。
谷山さん本人すら曖昧な記憶を、うんうんと満足そうに頷いて肯定する男性客。
セットリストや彼女のMC内容を逐一メモ書きする人。（帰ってブログにアップするに違いない）
ちょっと踊りは苦手だからワンテンポズレてるけど、ノリノリだ！な人。
うーむ筋金入っている。

当のエンターティナー本人以外にも、周囲の客層だけでこんなに楽しませてくれるイベントって滅多にございません。

リクエストのための抽選に殆どの時間を取られている印象で待ちくたびれましたが、合間でようやく聴ける音楽はちょっと鳥肌ものでした。
譜面もない、記憶も曖昧といった状況で、素晴らしい演奏を繰り出す3人の音楽家達に敬服。
音楽と共に生きている人たちって、いいなぁ。

コメント 2

はじめまして。今ごろのコメントで失礼します！
記憶が薄れているのですが、クレヨンの歌の人かしら、と思って
反応してしまいました。
みんなのうたの「赤いクレーヨーン～♪」と言う歌、大好きだったので。。。
個性的なお客さんも楽しませてくれる、楽しそうな会ですね。
by (2005-09-29 13:28) 

はじめまして。月光荘さん。
そうです。
その歌は谷山浩子の「おはようクレヨン」というらしいです。（聞いたことはないんですが）
子供向けの歌を多く作っているので、耳にしたことのある人は多いんですよね。
子供向けじゃない歌がかなり暗くていい感じだったのです。（笑）
ファンのタイプにはひたすら驚きでした。
私は完全に浮いてましたよ・・・。
by meg (2005-09-30 01:32)