ロスト・イン・トランスレーション [映画関連]
2003年 ソフィア・コッポラ監督
予想外にはまってしまった作品。
映画が始まったあたりではいろんな意味で高~いパークハイアット・ホテルから白人二人が下界を見下ろしている、見下し目線を感じてちょっと反感も持ってしまったのだが、主人公二人の心情が丁寧に描かれていて、それを追ううちにそんな反感はあっさり消えてしまった。
ボブ・マーレイ扮する40代の映画俳優は、彼にとっては屈辱的なTVCM出演の為にホテルに滞在しており、さらに言葉がわからないことによる不安感と居心地の悪さに悩まされている。仕事と割り切って滞在中くらいはめげずに過ごせばいいのだが、そんな強い人間ではない。プライベートでもミドルエイジ・クライシスとも言うべきか、「人生を使い果たしてしまった」と感じている...と言う人間的な弱さ溢れる中年男性。
スカーレット・ヨハンソ扮する20代の若妻も、学校を出たてで生活にもゆとりがあり、何不自由ないはずなのに一人の時間をもてあまし日本観光にも乗れず、そしてそんな自分もちょっと嫌、なネガティブさを持った女性。
そういうヘタレな二人だとわかってからは、映画にすいすい入れてしまった。この二人の弱さには妙に親近感を覚えるものがある。
コミュニケーションにおいてうまく伝わらない何か、そういう微妙なものをテーマにしている作品だが、丁寧に上手く汲み取っていると思う。脚本もいいし、撮り方もすごくいい。
ボブ・マーレイが生々しいくらいリアルで素晴らしい。
スカーレット・ヨハンソンもいい。もともとの顔やスタイルに若々しさと色気がある女優だと思うが、そういうものが滲み出しちゃってるのがいい。
そして私はラストに新宿の雑踏でスカーレットを追うボブ・マーレイの姿に胸が熱くなった。
後味もじんわりといい。
思い返せばあのラストシーンは
年を重ねるほど心に染みるせつない名シーンだと思います。
今観ると泣いちゃうかもな。
この映画のことを誰かとじっくり話してみたくなりました。
by ken (2008-01-22 12:54)
この映画の舞台が日本だと、かなり最近まで知りませんでした。
有名人にハンディカメラを渡して、自由に撮らせるという企画の番組で、
主人公の女優さんが自分を撮っていたのを見たのですが、この映画の撮影の時だったのかな?
satocoさんが書かれているような性格設定と知って、俄然興味が出てきました。
by Sho (2008-01-22 23:24)
>kenさん
nice! とコメントありがとうございます。
切ない、という言葉がピッタリでした。こういう映画のことじっくり話すの楽しいんですよね。
>shoさん
nice! とコメントありがとうございます。
この女優さん私スキなんですよ。映画ではいつも美人で色っぽくてステキなのに、授賞式などではメイクとかヘタで、隙だらけなところがなんか可愛らしくて。この映画でもインテリなのに不器用で可愛かったです。
by satoco (2008-01-23 23:21)