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オペラ「ドン・ジョバンニ」(2):歌手編 [オペラ(実演)]

今度は歌手について。といっても、はっきり言ってキーンリーサイドが殆どですけど(笑)右の写真はホテルのロビーに張り出してあったキャストのメイクアップのスケジュール。泊まったホテルが偶然カンパニーのいるホテルで、ロビーでもフランス語が飛び交ってました(笑)文字がつぶれて読みにくいですが、メイクって女性から始めるんですね~。しばらくは出てこないマゼットなんて、開演と同時にメイク開始です(笑)

今回の私の目的は、ずばりサイモン・キーンリーサイド(Simon Keenlyside)ドン・ジョバンニだったわけですが、この人は何でメイクでこんなに印象が変わるんでしょうか?(笑)つい先日の冴えないもやし君ヴォルフラムはどこへやら、今回は眉毛もちゃんとあったし(笑)、かつらも写真のものよりちょっと改善されていたし、よく動くくせに立ち居振る舞いも滑らかで余裕たっぷり、いやみなくらいのデカダンな貴族っぷりでした。以前読んだモネ歌劇場での公演の批評に「全体を通して、ガキのジョバンニのお遊びに巻き込まれるその他大勢というコンセプトのようだ」みたいな事が書かれていた理由は分かった気がします。だって、実際にジョバンニはレポレッロやマゼットなどにあれこれと指示しますが、本人は最期まで他人の忠告を聞き入れて自分の生き方を変えるつもりは微塵もない、しょーもない奴ですからね(^_^;)

キーンリーサイドは小柄で身軽で天真爛漫なアウトロー、というか同情の余地の無い悪者のジョバンニを熱演!このジョバンニは自分の本能に従っているかのような行動が悪いとは、これっぽっちも思っていないですね(実際に最期まで言い訳やら謝罪やらしませんけど)。とにかく、歌手にこんな演出つける演出家ってどうなんだろう(笑)というくらいず~っとあれこれ細かいことをやっていました。口笛を吹きながら悠々と登場したり、仕込み杖をくるくる回したり、嗅ぎタバコ(ヤクかも?)を嗅いだり、腰の高さの机にビョ~ンと飛び乗ったり、レチタティーヴォ以外でも何やらぶつぶつ言っていたり…殺陣も実践的で、細身だけど筋肉質でフットワークの軽いキーンリーサイドの「お前じゃ相手にならん」という言葉には説得力があります。騎士長もマゼットも、正にコテンパンにやられちゃってました。墓場でのシーンでは、Bunkamuraのクリップに出てくるジャンプシーンはもちろん、騎士長の像の周りをピョンピョンと飛び回って一周、像の頭をつかんでバランスをとったり、像のおでこにキスしたり、レポレッロを追い回したり、脅しに使っていた剣をとり落としてしまったので鞘で代用しながら拾ったり(これはハプニング^_^;)、本当に一時も止まってません(笑)よく息が切れないものですね。全体的に暗いながらも、ブラック・コメディの要素の濃い演出だったと思うのですが、最期の地獄落ちはちょっと変わっていて、騎士長も彫像というよりはゾンビで登場してきて気色悪いです。こりゃジョバンニじゃなくても怖いわー(>_<)ジョバンニ断末魔の叫びがまたリアルで、怖さ倍増。背筋が凍るような声でした。まあ、同情の余地は無いんですけどね!それにしても、どうやったらあんなふうに叫べるんだろう?

歌は、聞いた人なら分かるのですが、どっちかと言うと「語って」ます。彼のキレのいいバリトンで、語るように歌われる歌は、物足りないと感じてしまう人もいるかもしれません。でも、私はジョバンニが突っ立って朗々と歌う方が違和感があるので、キーンリーサイドの歌い方は正にツボです。レチタティーヴォも生き生きとしていているし、朗々と歌うアリアのある他の貴族達(アンナ、エルヴィーラ、オッターヴィオ)との対比もはっきりしていて良かったです。1幕最後の"Viva la liberta!"でのフォルテと、セレナーデでの弱音の幅の広さは正に彼の本領発揮ですね。オペラハウス並みの音響だったらもっと良かっただろうなぁ。唯一の減点対象は、「お手をどうぞ」の二重唱で歌詞を抜かしたことですね。しかも、1音どころじゃなくて1行まるごと!

"La ci darem la mano, La mi dirai di si"

この部分は正にカラオケでした。よりによってこんな重要なところを抜かすな~!「君ははいと答える」って部分が無いなんて、口説きにならないじゃん!!あまりにも自然に歌わなかったので一瞬演出かと思っちゃいましたよ。初めて聞く人は気付かなかったでしょう。そういえばキーンリーサイドは以前にも夕食のシーンで歌をとばしたとか書かれていたなぁ(^_^;)この部分以外は私としては満足なんですけどね~。このためだけに今日も行きたいくらいです。

レポレッロペトリ・リンドロース(Petri Lindroos)も芝居も出来る歌手で、この主従のやり取りは本当~に面白かったです!家で一人で見ていたら、爆笑していたことでしょう。(1)にも書きましたが、エルヴィーラ登場シーンで主人より先に彼女に気付いたレポレッロは、爆笑しながら主人の姿を陰から見ていますし、そのお返しとばかり、変装シーンでは今度はぎこちなくエルヴィーラを誘惑するレポレッロをジョバンニが寝転がって観察しているし(笑)2幕の冒頭、愛想を着かしたレポレッロが暇乞いをするシーンでは、実際にレポレッロが一旦袖に引っ込んでしまって、ポツンと一人残されたジョバンニは仕込み杖や帽子やマントに八つ当たり!このシーンは本当にガキっぽい(笑)やっと袖から返事があると、嬉しそうなジョバンニは「金貨4枚」と言いながら紙幣を4枚、戻ってきたレポレッロの胸に入れてやります。が、エルヴィーラの小間使いをくどくための変装の話をしたとたん、レポレッロは「もっとお金くれないと…」とジェスチャーで催促。1枚投げ渡しても、「もう1枚~」(笑)これにはジョバンニもむかついて紙幣を丸めて床に投げつけていましたね(大笑)こんなことしている間もレチタティーヴォはどんどん進んでいく訳ですから、本当に字幕なんて見ていられません!ガキっぽいと言えば、夕食のシーンでも、ジョバンニはレポレッロにつけてもらったスープを飲みながら(ちゃんとコース料理ですね)歌いだしますが、さっさと飲み終わると今度は取り分ける前のスープボウルから直に(!)飲みだします(「凄い食欲」の辺り)。スープボウルに向かって「こりゃ旨い」と歌うのはこの演出だけでしょう(笑)レポレッロのつまみ食い(ちゃんと肉を食べてました)に対しては添えてある色とりどりの野菜を投げつけるし。その後忠告しに来たエルヴィーラにも「お前も食事を」と言いながらたまねぎやらパプリカやらブロッコリーやら投げつけてるし…それじゃ食べれないじゃん(^_^;)こんな主人を持ったら、退屈はしないけど大変だろうなぁ。でも、このジョバンニが本性を見せれるのはこのレポレッロにだけなんですよね~。今回の歌手の組み合わせでは、何だかんだ言いつつ破天荒なジョバンニを最期まで見守ってあげるレポレッロと、いじめつつもレポレッロを頼りにしているジョバンニの関係が良くでていたと思います。

今回もう一人楽しみだったドンナ・アンナ役のカルメラ・レミージョ(Carmela Remigio)は、豊かな声量と演技力で素晴らしいアンナを見せてくれました。スタイルもいいので最初の寝巻き姿は色っぽかったですね~。ドンナ・エルヴィーラ役のマルティーナ・セラフィン(Martina Serafin)も長身で(キーンリーサイドより大きい^_^;)しっかり者のエルヴィーラで、見かけも声もアンナとの違いがはっきりしていて良かったと思います。他の歌手達は、演技は素晴らしい、声はまずまず、不満は無いけど絶賛するほどでもない、という感じでした。ライナー・トロスト(Rainer Trost)の代役イェルク・シュナイダー(Jorg Schneider)オッターヴィオは…声は良いですけど、お腹も凄かった(^_^;)一人だけ体格が違って違和感が…。でも、アンサンブルまで含めてしっかり演技がつけられていて、ツェルリーナとマゼットは本当に結婚式をやっているし、ジョバンニが「見ろよ、別嬪揃いだ」と言っている間は食前の祈りの場になっていたり、「ぶってよ、マゼット」でツェルリーナとマゼットが最期に仲直りするまで友人達が後ろでヤキモキしていたり、貴族の召使達も生き生きと演じていたので飽きることがありませんでした。ずっと集中して見ていないと置いてかれるので疲れましたけどね(笑)こういう疲れはいつでも大歓迎です!


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Sheva

>>>「お手をどうぞ」の歌詞落ちは
やっぱりそうでした?!
私も思いました。
CD聴き直しました
きょう見てきますね!!!
by Sheva (2005-10-06 14:36) 

Sheva

でもこんな重要なとこ普通は間違えるはずないです。
狙いでしょ。
by Sheva (2005-10-06 14:37) 

Sardanapalus

Shevaさん>
>>「お手をどうぞ」の歌詞落ち
>きょう見てきます
お願いします!

>狙いでしょ
あれが演出の指示だとすると、わざと「答えを求めていない」ということを示しているのかも?でも2度目はちゃんと歌ってたしなぁ。ここの解釈でジョバンニ像が変わってくるので気になってるんですよ~!
by Sardanapalus (2005-10-06 14:45) 

dognorah

いつもながらの生き生きした詳細レポート、舞台を彷彿とさせてくれてとても楽しいです。これだけでも一時帰国した甲斐がありますね。
モネ劇場もロンドンから遠くないので一度行かねばという気になりましたよ。
by dognorah (2005-10-07 08:51) 

Sardanapalus

dognorahさん>
>舞台を彷彿
ありがとうございます!嬉しいです。でも、これでもまだまだいっぱい書きたいことはあるし、色々はしょってるんです~(^_^;)

>一時帰国した甲斐
ありました!(^o^)こんなに充実した休暇は初めてですよ。モネ歌劇場、私も近いうちに行きたいです。ユーロスターのホリデーパックで(笑)
by Sardanapalus (2005-10-07 10:36) 

おもしろい!!オペラは総合芸術、何気ない部分の「語り」が魅力的な歌手さん大好きです。
>>色々はしょってるんです~(^_^;)
続きもありますか?楽しみにしてます!
by (2005-10-08 00:46) 

ロンドンの椿姫

私は200年2月にROHでサイモンのジョバンニを観ました。その時は豪華なことにブリン・ターフェルとのダブルキャストでしたが、当然この役は断然サイモンの勝ち!ブリンのはじめてのジョバンニは、レポレロを長くやり過ぎたせいかまるで召使風で野獣のようで、それと比較するから特に際立つのでしょうが、サイモンのジョバンニは対照的なエレガントな若貴族。でもこっちの方が「悪」で、だけどぞくっとするほど魅力的。ジョバンニの真髄です。
しかし、二人は基本的に同じ衣装なのに、肌の露出度がブリンとサイモンではちょっとちがってたのが、驚きはしなかったけど、笑えました。

ところで、次のサイモンはENOのビリー・バッド。私は昨日切符買いましたよ。これもサイモンの十八番だし、共演がジョン・トムリンソンときたら、近くで観たいじゃあないですか。最前列が1枚あったので奮発しました。一番高い席です!
ジョバンニとはうってかわった頭の弱いセイラーのビリー・バッド、ROHのサイモンで観ましたが、これもどんぴしゃでした。本当にサイモンってすごい役者だわ。「1984年」もすごかったしね。
http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-10-08 07:24) 

euridice

Sardanapalusさん
鑑賞記、とても楽しく、そうそう、なるほどね!なんてうなづきながら読ませていただいてます。背中を押されてしまいまして、仕事帰りに寄り道してしまいました。一応記事にして、TBしますのでよろしく^^!

またエラーで、なかなかアップできません・・・
by euridice (2005-10-08 10:35) 

Sardanapalus

りょーさん>
>オペラは総合芸術
その通りです!クーラもですけど、役になりきってくれる歌手はいいですよね。続き、もう少し待ってくださいね~。

ロンドンの椿姫さん>
>ROHでサイモンのジョバンニ
あの脱ぎまくりジョバンニですね(笑)こっちでは「細く見えるのに意外とマッチョなんだ~!」と話題になってますよ(大笑)

>「悪」で、だけどぞくっとするほど魅力的
アンナもエルヴィーラもツェルリーナもそこに惹かれちゃうわけですからね。今回見れて大満足です♪

ビリー・バッドも楽しみ!私もさっさとチケット買わないと…。

euridiceさん>
>仕事帰りに寄り道
わ~ありがとうございます!記事待ってますね!!ドキドキ(^_^;)
エラーはこまりますね。so-netはどうなってるんだ~。障害多すぎ!!
by Sardanapalus (2005-10-08 11:29) 

Belle de Nuit

初めまして。
先週28日のタンホイザーでサイモン・キーンリーサイドに一目というか一声惚れ。
ちょっとオペラから遠ざかっていたため、全てに浦島太郎状態でしたが、
ネットでこちらを発見。とても参考にさせて頂いてます!
6日のドンジョヴァンニも、タンホイザーの翌日にチケットを予約。
(本当にギリギリだったのに手に入ってラッキーでした!)
一人で堪能してしまいました。(^^)

声の素晴らしさといい、片時も手を抜かない演技の細やかさや、
あの運動能力(というか、ダンサーのようなセンス?)も、
さらにルックスまで揃っていて、実に凄いバリトンですね!
今まで知らずにいて、人生相当に損した気分です……。

Sardanapalusさんの、詳細でツボを押さえた舞台レポート、
本当に映像で見ているようでうれしい限りです。
タンホイザーも、ドン・ジョヴァンニも今回の演出で
ぜひ映像化して欲しいですね〜(切望!)。
それまでは、こちらのレポートで感動を反芻することに致します。
今後とも、ぜひよろしくお願いします。
by Belle de Nuit (2005-10-08 15:27) 

haru

はじめまして。
昨日のドン・ジョウ゛ァンニでサイモン・キーンリーサイドにやられました。
こんな凄い歌手を知らなかったなんて、Belle de Nuitさん同様、
私も人生損してました…。
ドン・ジョウ゛ァンニ、こんな面白い話だなんて!やっぱりオペラは総合芸術。演出、歌手、音楽で全然違いますね!前観たドン・ジョウ゛ァンニはいったいなんだったんだ?って感じです。

最後のゾンビ騎士長へ、料理を用意しながら、スープボウルに唾吐いてたし、
本当に細かい演出でしたね。地獄落ちで、まさかあの骸骨の中にドン・ジョウ゛ァンニが放られるとは!口を開けたまま転がっているキーンリーサイドの姿も凄かった!
「お手をどうぞ」はちゃんと歌詞抜かさずに歌っていましたよ。
次はビリーバッドですか?この先の予定、もしご存知だったら、教えてくださいませ。ちなみにキーンリーサイドはイギリス拠点なんですか?
by haru (2005-10-09 16:02) 

tamiko

はじめまして。
キーンリーサイドにズブズブのtamikoです。

7年ほど前だと思いますが、NHKでフェラーラでの「ドン・ジョヴァンニ」が放映されました。
キーンリーサイドの甘い声とスマートな立ち振る舞いに、こんな素敵な人に誘われたなら、私だってOKしちゃうかもって思ったものです。

それ以来、キーンリーサイドの「ドン・ジョヴァンニ」をかぶりつきで観ることが私の夢となりました。
4日と6日は2列目。8日は8列目。思いは通じるといいますが、かぶりつきで堪能してまいりました。

キーンリーサイドは本当に素晴らしかったですよね。
演出もテンポ良く、出演者もばらつき無く良かったと思いました。
ドン・ジョヴァンニの人間性のとらえ方は、フェラーラでの方が好きですが・・・

私はオペラは歌芝居と思っています。
音楽重視なら、コンサート形式で充分ですからね。
歌と演技がお上手なことは勿論ですが、役のイメージに合う歌手でないとイケマセン。

キーンリーサイドは、ドン・ジョヴァンニにぴったり。
声は甘くて幅があり、スタイリッシュでいう事なしです。

新聞のインタビューでも「私自身はカメレオンのように、どんな役や歌劇場の公演でも柔軟に変われる歌手でありたい」と話されていましたが、私が観たパパゲーノもアルマヴィーヴァ伯爵もハムレットも役になりきっていました。

ヴォルフラムも好評だと知って、やはりワーグナーは苦手でも行くべきだったと反省しております。

12月はロンドンに4日間滞在しますが、ENOのビリーバッドが始まる3日にロンドンを出発なので、残念ながら観れません。

1月のウィーンのドン・ジョヴァンニも、11月末にウィーンに行くので、諦めています。
ヨーロッパにお住まいの方はお幸せですね。羨ましいです。

私の次の夢は「ラ・ボエーム」でアラーニャとキーンリーサイドの共演です。
シャイー盤での二重唱はとろけますよ。

彼がもう少しお年を召したら「仮面舞踏会」のレナートや「ラ・トラヴィアータ」のジェルモンも観てみたい(聴いてみたい)です。

大変充実しているSardanapalusさんのHP,今後も楽しみに拝見致します。
キーンリーサイドの情報楽しみにしています。

7年越しの夢がかなった、達成感と無力感でだらだら書いてしまいました。
by tamiko (2005-10-10 13:46) 

Laura

こんにちは。お久しぶりです。私はこのドン・ジョヴァンニを、一昨年の12月、ブリュッセルで数回観て参りました。しかし、サイモンに集中するあまり見逃してしまった部分も多々あり、結局完全なレポートをつくることはできませんでした。Sardanapalusさまの緻密なレポート(タンホイザーや1984における・・・)を読ませていただくにつけ、その集中力や洞察力の素晴らしさにはただただ感じ入るばかりです。さて、今回の来日公演ですが、私は8日のみ観て参りました。サイモンについては、微に入り細に入る演技は言わずもがな、観る者を唖然とさせる俊敏さやジャンプ力も健在でした。とてもこの夏、ミュンヒェンとザルツブルクの音楽祭を足の故障でキャンセルした人とは思えません。ブリュッセルの初演ではサイモンとレミージォに加えて、レガッツォのレポレルロ、ワークマンのオッターヴィオ、エルンマンのエルヴィラ、リズニックのツェルリーナという、現在望みうる最高の顔ぶれが揃っていました。登場人物の性格や個性も非常に鮮明に表現され、マクヴィカーの意図もわかりやすかったのですが、今回の配役は統一感に欠け、そのため肝心の焦点がややぼやけてしまったことが残念です。せめてトロストが出演してくれていれば、アンナとオッターヴィオの間に緊張感が生じ、場面ももっと引き締まったはずなのですが・・・。それでも、8日のカーテンコールは、ヨーロッパではともかく、日本では経験したことが無いほど熱狂的なもので、私も吃驚いたしました。日本の聴衆の心をそれほどまでに掴むということは、並大抵の技ではありません。その最大の要因は、マクヴィカーの創造性とキーンリーサイドのカリスマティックな存在感が相侯ったタイトルロール、ドン・ジョヴァンニの魅力に他ならないと思うのですが、いかがなものでしょう。ロンドンの椿姫さまがご覧になられたROHのドン、私もサイモンの公演は2度観て参りました。救いようのない悪人である点は同じですが、誘惑者としての魅力はより強烈で、今でもあの灼熱の終幕を思い出す度にどきどきしてしまいます。ビリー・バッドは仕事の都合で行けそうもないのですが、ごらんになられた皆様からのレポートを読ませていただけるのを楽しみにしています。
by Laura (2005-10-10 14:28) 

Sardanapalus

皆さんが折角コメントしてくださっているのに、なかなか返事が書けず申し訳ありませんでしたm(_ _)mちょっと地球を半周していたので、忙しくてネットに繋ぐ時間がなかったのです。無事に戻ってきて、ネットも復活しましたのでこれからは通常に戻ります。

>Belle de Nuitさん
はじめまして!記事へのお褒めの言葉ありがとうございます!頑張って書いた甲斐があります~。

>実に凄いバリトンですね!
>今まで知らずにいて、人生相当に損した気分
まだこれからもどんどん活躍してくれるでしょうから、今からでも遅くないですよ!私も実演に接したのは今年のROHの「魔笛」が最初ですから、まだまだ新参ファンです。

>ぜひ映像化して欲しい
本当に、「タンホイザー」はコロのものがあるので無理としても、「ドン・ジョバンニ」はぜひぜひ映像にして欲しいものです。来年のチューリッヒでの公演がDVDになることが早々と発表されていますが、そっちよりもこのマクヴィカーの演出が見たい~(^_^;)
by Sardanapalus (2005-10-11 00:49) 

Sardanapalus

haruさん>
はじめまして!「お手をどうぞ」は歌詞抜かさなかったですか、情報ありがとうございます。あれが演出でなくて良かった(笑)

>ドン・ジョウ゛ァンニ、こんな面白い話だなんて!
マクヴィカーの演出、お気に召されたのですね。勢いがあるし、斬新さと王道の程よく混ざった解釈がお気に入りの演出家です。オペラを食わず嫌いしている人に見せたい演出ですよね~。

>この先の予定
予定表ではウィーンの「ビリー・バッド」が次ですね。詳しくはファンによる情報ページ↓へどうぞ!英語ですが、インタビューや写真が盛りだくさんです。
http://www.simonkeenlyside.info/

>イギリス拠点なんですか?
今はロンドンに自宅があるそうなので、イギリスが拠点と言えるでしょうか。でも、世界中を飛び回っているので一概にどこが拠点、とは言い辛いです。今年はロンドンでの公演が多かったですが、来年はアメリカとかヨーロッパ大陸の方が多いです。

tamikoさん>
はじめまして。熱の入ったコメントありがとうございます。「ドン・ジョバンニ」、3回とも行かれたのですか!羨ましい~(>_<)

>NHKでフェラーラでの「ドン・ジョヴァンニ」
私もこれでキーンリーサイドを知りました!こっちはもっと貴族的な、スマートな感じのジョバンニでしたよね。私は、体調の良いときは今回のジョバンニ、疲れているときはフェラーラが見たいです(笑)

>音楽重視なら、コンサート形式で充分
私もそう思います。オペラは舞台芸術として、その全体的な雰囲気を楽しむものだと思うので、今回の公演は大満足でした。

>ワーグナーは苦手でも行くべきだった
私もワーグナー苦手ですが、ワーグナーの中では一番気に入っている「タンホイザー」だし、以前キーンリーサイドのヴォルフラムを見た知り合いからも薦められたし、ということで頑張って行ってきました。記事にも書きましたが、良かったですよ~。また来年の夏にミュンヘンでやるそうなので、その時はいかがでしょう?

>「仮面舞踏会」のレナートや「ラ・トラヴィアータ」のジェルモン
見てみたいですね~!それはこれからのお楽しみということで(笑)
by Sardanapalus (2005-10-11 01:56) 

Sardanapalus

Lauraさん>
>一昨年の12月、ブリュッセルで数回
>今回の配役は統一感に欠け、そのため肝心の焦点がややぼやけてしまったことが残念
ブリュッセルでの公演をご覧になられたとは、羨ましすぎます!何せ劇場の雰囲気と音の響きが違いますよね~。キャストも揃っているし、さぞかし素晴らしい公演だったことでしょう。今回の来日メンバーも、個人的には平均以上で満足でしたが、やっぱりオペラハウスでの上演で見たいです。

>アンナとオッターヴィオの間に緊張感が生じ、場面ももっと引き締まったはず
代役のシュナイダーは恰幅が良すぎ(^_^;)で、声はまずまずだと思いましたが、全体的な絵としてはちょっとちぐはぐでしたね。

>マクヴィカーの創造性とキーンリーサイドのカリスマティックな存在感が相侯ったタイトルロール、ドン・ジョヴァンニの魅力
この「ドン・ジョバンニ」は正にこの2人で作り上げた作品だと思います。個人的にこのコンビ(?)は相性が良くて、お互いの魅力を引き出しあっていると思うので「次は何かな~?」と期待しています。

>ROHのドン
>誘惑者としての魅力はより強烈
舞台写真や批評を読むと、タイムスリップしたくなります(笑)こちらもザンベッロの演出、マッケラスの指揮で私の好きな要素満載なので、早く再演してくれないかと思っているんですけど…。
by Sardanapalus (2005-10-11 01:57) 

ロンドンの椿姫

Saldanapalusさん、おかえりなさーい!! 楽しい日本滞在だったようでよかったですね。ロンドンでまたよろしく。

Lauraさん、
ROHのドン・ジョバンニは、仰るとおり最後に彼が炎に包まれるところが圧巻でしたね。サイモンは上半身裸で熱かっただろうに。ブリンは少し服着てたけど。でもそれで終わりと思ったら、最後にほんの一瞬、DGが全裸の女性を抱きかかえて、えっ?天国に行くのと思わせるシーンがありましたよね。
この舞台、そのときが新プロダクションで、その後ジェラルド・フィンリーが2年前にやってます。でも来年あたり又やるんじゃないかな、と私は思いますけどね。(私が勝手に思ってるだけだから、期待しないように)。

tamikoさん、
アラーニャとのラ・ボエームのCD、素晴らしいですよね。「ミミと別れた本当の理由はなんだ?」、「ミミは病気なんだ、もうすぐ死んでしまうんだ、わ~ん!」というシーンが一番好きなんですが、このCDだとつい泣いてしまいます。芝居なしの音だけでも、いいものはいいですよね。この二人なら絵的にもぴったりだから、そりゃ舞台で観たいですけどね。
http://ameblo.jp/peraperaopera/
by ロンドンの椿姫 (2005-10-11 05:24) 

Sardanapalus

ロンドンの椿姫さん>
遊びまくって帰ってきました!こんなに贅沢な休暇は初めて(笑)お陰でお金がなくなっちゃいましたけど(^_^;)

>来年あたり又やるんじゃないかな
折角のモーツァルト・イヤーですからね、来シーズン(来年後半)辺り…と思っているんですが、キーンリーサイドは既に結構スケジュールが詰まっている様子(笑)折角なんだからマッケラス指揮でもう一回やって欲しいものです。期待せずに待ってますよ。

>この二人なら絵的にもぴったり
アラーニャはまだまだロドルフォやってますが、キーンリーサイドは最近マルチェッロやってないんですよね~。それこそ、来シーズン辺りROHの新演出とかでやってくれたらいいのに!(笑)
by Sardanapalus (2005-10-12 08:55) 

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