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「THE 少女マンガ!」第一夜 竹宮恵子『風と木の詩』 [アニメ・マンガ・小説]

今週の月曜から水曜まで、NHKのBS2で三夜連続で放映されました。
第一夜は竹宮恵子の世界:『風と木の詩』
第二夜は里中満智子の世界:『アリエスの乙女たち』
第三夜は木原敏江の世界:『夢の碑』

第一夜 竹宮恵子の世界 『風と木の詩』 (2006年1月23日BS2放映)

私はこの漫画を全17巻フラワーコミックスで持っていました。
過去形です。今から約10年くらい前に手放してしまいました。

初めて『風と木の詩』を読んだ時の衝撃は一生忘れません。ものすごい衝撃を受けました。
元々、中学生の時、友人のM子が、しきりに私に竹宮恵子さんを勧めてくれていました。
ただ、その頃の私ったら、何せ『アストロ球団』(爆)
竹宮恵子さんには見向きもしませんでした。(その頃、彼女は必至に「空が好き!」を薦めてくれてました。)
その後、高校に進学して、竹宮恵子さんの『ウェディング・ライセンス』という作品に偶然出会い、一気に彼女の漫画の虜となり、既刊本を買い漁りました。
その中に、当時、もう何冊か単行本も出ていた『風と木の詩』もありました。

検査学校を卒業した前後くらいでしょうか?連載が終了したのは。
ラストが衝撃的でした。
走る馬車に飛び込んでいくジルベール。
その背中には天使の羽が薄っすらと広がっていました…。
ですが、正直、その後のコマの記憶がありません。
あまりにも痛かったので、目でコマを追っていても、頭の中では映像を結んでいなかったのです。
今思えばあのラストの場面は雑誌プチフラワーの最終回を一度見ただけだったように思います。

『BANANA FISH』のアッシュ同様、ジルベールは生きていてはいけない存在だと直感していましたが、実際、この目でその最後を見取ってしまうと、とても辛くて哀しくて切なかったです。
ただ、私はアッシュの死は完全に受け入れていて、その死の安らかさを自分の感情としては悲しいけれど、それはそれで彼は幸せだったと確信しています。

が、ジルの場合は自分、納得していません。
今でも、ジルはあんなに早く死ぬ運命ではなかったと思っています。
ジルを殺したのはセルジュだと・・・。
セルジュと駆け落ちなどしなければ・・・。
でも、ジルにはその時、その選択が自分が幸せになれることだと信じていたのも事実・・・。

だから、アッシュの死は悲しくて、ジルベールの死は哀しい。

そしてオーギュスト、彼もまた哀しい人です。
この番組では殆ど取り上げられてはいませんでしたが・・・。
彼は『風木』の物語の中核を成す人物であるにも拘らず、番組でも扱いはほんのわずか。
なぜ、ジルがあんな最後を遂げねばならなかったのか?
誰を求めて走る馬車に飛び込んで行ったのか?
そこのところが完全に抜け落ちていたのが少し残念でした。(^^;  

そして、番組には元、竹宮恵子さんのブレーンで、小説家で、音楽評論家でもある増山のりえさんのインタビューも満載で、竹宮さんとの対談等盛りだくさんな内容に感激しました。
増山さんが竹宮さんと暮らすようになった経緯や、二人の作品に対する情熱、妥協を許さない姿勢等々の貴重なお話しを、実は私は昨年、その、増山のりえさんから直接お聞きしたと言う、至福の時を体験しているのです!!
番組で紹介されたエピソード他、たくさんのお話しをおうかがいする事が出来ました。

いつしか時代の流れの中、彼女たちが暮らし、互いを切磋琢磨した大泉サロンも新興住宅地と化し、彼女たちも時と共にそれぞれの道を歩み始めても、いつも変わらず友はそこにいる。

セルジュはジルを失った後、魂の抜け殻となった。
どうやって心を立ち直らせたのだろう?立ち直る事ができたのだろう?
その後の話は増山のりえさん著、小説・風と木の詩 『神の子羊』全3巻に載っています。
ただ、物語とは別に、セルジュは本当に立ち直れたのか?
ジルを永遠に失ってしまった、あの喪失感と罪悪感から・・・。

そして、その思いは第三夜:木原敏江の世界へと続きます・・・・・。

(里中さん、苦手なのでパスっす!/ (^^; )


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SIX

結局、番組としてはストーリーを展開しますよね、そりゃ。
だから、学院を出て行くあたりでビデオ止めました。
再読も出来ないのに、ナレーションやセリフ入りでこれ以上見れないっす。
あ、そうだ、羽、あった。
読みはしないけどパラパラとめくってみた。
めくるだけで具合悪くなる。
ので、結局やめた。
それくらい、影響があるんです!!!特に私には。

オーギュはあれでも、世界中の誰よりも何よりも、ジルベールを愛した一人だよね。
以前は撮っても嫌いだったけど、自分が年をとってきたせいか、オーギュの愛も哀しく響いてくる作品だなと思う。
「幸福の鳩」で描かれてたシーン覚えてる?オーギュとジルの。
悲しいというより温かくてね。まだジルの身体の温もりさえ残っているようなシーン。(すっかり冷たいはずなんですけど)

ε-(_- )ハァ リアルで読んでたら私どうなってたんだろう。
by SIX (2006-01-31 09:28) 

sknys

更紗さん、はじめまして。
番組の方は見逃してしまいましたが、原作の最後は看取りました。
竹宮先生も悪戦苦闘していたらしく、少コミ→PF移動時前後に、
同じ場面を執拗に描き直し(再構成)していたような記憶があります。
「風と木」は作者、登場キャラ、読者の三者が共に悩み、傷つき、
苦しんだ果ての、美しい結晶ではないですか?

竹宮作品では『私を月まで連れてって!』も好きです。
by sknys (2006-02-01 20:22) 

更紗

>SIXちん
オーギュの愛、わかるよ。わかる。
リアルの時はオーギュが嫌いだったのよ、私。
でも、今はわかる。
彼はジルベールを誰よりも理解し、誰よりも愛した唯一の人だと。
セルジュのその後なんてどうでもいい、オーギュのその後が私は知りたい…。

>sknysさん
はじめまして!&ようお越し(笑)&nice!をありがとうございます!
sknysさんもリアル組みだったのですね。
私、PF創刊号からの愛読者だったので、『風木』のPF掲載分はすべて雑誌で追いました。

>>同じ場面を執拗に描き直し(再構成)していたような記憶があります。
そうですね。表現力が増すと、どうしても描き足りていないと思うのでしょうね、大御所の先生でも。
たいせつな作品だから一切の妥協を許さなかったのだと、思います。

>>「風と木」は作者、登場キャラ、読者の三者が共に悩み、傷つき、苦しんだ果ての、美しい結晶ではないですか?
まったく同感です!!
『はみだしっ子』とその辺はどこか似たような感じがありますね。

私も「FLY Me」は好きです♪
お惠さまのカジュアルSF(自分命名/爆)大好きです!!
続編の『ブライトの憂鬱』、勢いで買っちゃいましたモン(^^;

そして、相変わらず、『木原敏江』編が未だUPできず…(泣)
by 更紗 (2006-02-01 23:30) 

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