SSブログ

「7つの黄金郷」と「オテロ」の『柳の歌』 [声楽]

山本鈴美香の未完の作品「7つの黄金郷(エルドラド)」をご存知でしょうか?
私は高校時代、歴史好きの友達に教えてもらって、夢中になって読みました。(ちなみに、「王家の紋章」「アンジェリク」も彼女に教えてもらいました。)
私が好きなのは影のある人物なので、もちろんロレンツォ(クレメンティ公爵)。
エリザベス一世統治下の英国が舞台のこの話の中で、ロレンツォがリュートを奏でながら歌う場面があります。
そのひとつが「柳の歌」。
「柳の歌」というのは当時の流行歌だったのでしょうけれど、いろいろな歌詞やメロディーがあったのでしょうか?
「柳の歌」といえば、ヴェルディのオペラ「オテロ」のデズデモナのアリアを思い出します。
デズデモナは、この淋しい旋律にのせて、これまでひたすらに堪えしのんで来た夫の疑惑への悲しみを(間接的に)歌うのです。
この旋律は大変英国的ですが、ヴェルディは実際にあった「柳の歌」を使用しているのでしょうか?
それとも全くのオリジナルなのでしょうか?
大変気になっています。
このアリアは台詞が多く、しかもその後「アヴェ・マリア」に続いているのですが、「柳の歌」のところだけ、書いてみます。
            ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
「柳の歌」

Piangea cantando        寂しい荒野に
nell'erma landa,         歌いながら泣く
piangea la mesta.        悲しげに泣く女
O Salce!Salce!Salce!      おお、柳よ!柳よ!柳よ!
Sedea chinando sul sen la testa.女は腰を下し、うなだれた。
O Salce!Salce!Salce!      おお、柳よ!柳よ!柳よ!
Cantiamo,cantiamo! Il salce funebre歌いましょう、歌いましょう!
sarà la mia ghirlanda.陰気な柳は、私の花冠になりましょう。

・・・・(台詞)・・・・・

Scorreano i rivi fra le zolle in fior;小川は、花咲く丘の間を流れる
gemea quel core affranto,あの破れた心は呻き
e dalle ciglia le sgorgava il cor そして睫毛からは、心の嘆きの
l'amara onda del pianto.苦い波が奔り出る。
Salce!Salce!Salce!   柳よ!柳よ!柳よ!
Cantiamo,cantiamo! Il salce funebure歌いましょう、歌いましょう!陰気な柳は
sarà la mia ghirlanda.私の花冠になるでしょう。
Scendean gli augelli a vol dai rami cupi小鳥たちは、暗い枝から
verso quel dolce canto.甘い歌のほうへ跳びおりてくる。
E gli occhi suoi piangean tanto,そしてその眼は、
da impietosir le rupi. 岩も心を動かすほど、それほどに泣く。

・・・(台詞)・・・・・

Egli era nato per la sua gloria,彼は栄光のために生まれ、
io per amar...       私は愛のために生まれたのよ

・・・(台詞)・・・・・

Io per amarlo e per morir...私は彼を愛するために、そして死ぬために
Cantiamo,cantiamo!    ・・・・さあ、歌いましょう、歌いましょう!
Salce!Salce!Salce!  柳よ!柳よ!柳よ!

・・・(「アヴェ・マリア」に続く)・・・・・

                                 (訳:鈴木松子)
            ~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
原作であるシェークスピアの「オセロ」にもこの柳の歌があるのかもう一度読みたいです。

7つの黄金郷(エルドラド) (第1巻)

7つの黄金郷(エルドラド) (第1巻)

  • 作者: 山本 鈴美香
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1990/12
  • メディア: -


オセロー  シェイクスピア全集 〔27〕 白水Uブックス

オセロー シェイクスピア全集 〔27〕 白水Uブックス

  • 作者: 小田島 雄志, ウィリアム・シェイクスピア
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 新書


オテロ*歌劇

オテロ*歌劇

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • 発売日: 2001/10/25
  • メディア: DVD

シェイクスピアの音楽

シェイクスピアの音楽

  • アーティスト: ミュージシャンズ・オブザ・グローブ, ミュージシャンズ・オブ・ザ・グローブ, ピケット(フィリップ), クラブトゥリー(リビー), エリオット(レイチェル), モーリー, ヘリングマン(ジェイコブ)
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルクラシック
  • 発売日: 2000/06/24
  • メディア: CD


nice!(0)  コメント(6)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 6

トスカ

柳の歌といえば泣く時の歌という相場のようです。
Willow weep for me というブルースのスタンダードがあります。
by トスカ (2006-02-19 11:19) 

Cecilia

トスカさん、コメントありがとうございます!
そのブルースは知りませんが、家にCDがあるかもしれませんので、探してみます。
情報、ありがとうございました。
by Cecilia (2006-02-20 08:27) 

shake

Ceciliaさん、おはようございます。
「7つの黄金郷」ワタシは読んだ事がないのですが、確かストーリーは完結していない・・・という話を聞いたのですが。作者の山本さん(「エースをねらえ!」の人ですよね)は何かの宗教の教祖さまにおなりになったというのは本当でしょうか(^-^;)・・・?
「オテロ」のアヴェ・マリアは私が初めて歌ったアリアです。なのにオテロ全部はまだ聴いたことがなくて、柳の歌というのも知りませんでした・・・。いつも不勉強なワタシ(^-^;)今度ぜひ聞いてみたいと思います。
by shake (2006-02-20 09:52) 

Cecilia

shakeさん、おはようございます。
コメントありがとうございます!
「7つの黄金郷」・・・ストーリーが完結していません!
私が高校時代から最近まで進展がありませんでした。
(ロレンツォが不幸な生い立ちの子供ばかり収容された館で親しくしていたラウルという人物・・・紅蜥蜴と名乗ってメアリ・スチュアートの不義の子ということになっている。ロレンツォが愛するオリビエが仕えているエリザベス女王にとって脅威。・・・・と再会する場面で終わっていた。)
山本鈴美香が新興宗教の教祖になったり、体調がよくなかったりで進んでいませんでしたが、二年ほど前に新しく発行されたものには、続きの部分が下書きではありますが、掲載されました。(大変見にくいです!!それでもファンにはたまりません!)
キリスト教的な背景がある話で、イギリス王家を中心とするプロテスタント(正確には英国国教会。)とバチカンを中心とするカトリックの対立、などを通して山本さんの独自の宗教観が垣間見られます。(「エースをねらえ」でもそうだと思いませんか?「ガラスの仮面」の美内すずえといい、どうして皆宗教がかっていくのでしょう・・・?)
是非読んでください!!はまりますよ。

それと「オテロ」の『アヴェ・マリア』・・・歌というより、祈祷文をよんでいるような感じで大変難しかったのですが、shakeさんはそれを歌われたのですね!
尊敬します!!(はじめて歌うアリアがそれなんて難しすぎる~~!!)
私がそれをレッスンで歌った頃、ダイヤモンドのCMで使われていて、好きになりました。(歌っていたのはレオンタイン・プライスだったと思います。)
「オテロ」全部・・・私も観ていません。
引っ越す前のところの図書館にはDVDがあり、観ることが出来たのですが。
(新しかったため、全部制覇する前に引っ越した私は「オテロ」を観ることができませんでした!)
by Cecilia (2006-02-20 10:22) 

shake

Ceciliaさん
「終わってない黄金郷」「教祖様になってた山本鈴美香」どっちの情報も当たってましたか(^-^;)珍しいぞ!>自分。なんだかハマリそうなストーリーですね。ワタシ、はまりやすいんですよ、マンガ・・・年をとり少し分別がついてきた今日この頃、新たな作品に手を出すのが怖いわ(笑)
「ガラスの仮面」もファンを翻弄する恐ろしい作品ですよね。ワタシがおばあちゃんになるまでには終わってほしい・・・。
『アヴェ・マリア』、はい、冒頭のレシタティーヴォは歌詞は意外に早く覚えたものの低いわ声が通らないわでとっても辛かったです(^-^;)でもその当時の先生(今の師匠とは別の方です)がその曲がとてもお好きで「鮭さんにとっても合うと思うのよ!」と実力度外視で割り当てて下さったのでした。出来は、音符を歌っただけ、という有様だったと思います(^-^;)今から6年前の話です。今ならもう少しマシに歌えるのかしら??
Ceciliaさんお勧めDVD、いつかぜひ「通して」なんの邪魔も入らず通して見たいと思います(^-^;)うちの区の図書館にもそんな素晴らしいコレクションがあれがいいのですが、DVD置いてないんですよねぇ・・・とほほ
by shake (2006-02-20 18:45) 

Cecilia

shakeさん、コメントありがとうございます!
9月の記事でも書いたのですが、大和和紀の「虹のナターシャ」はヒロインが声楽をしていてお勧めです!!(オペラ好きの林真理子の原作。)
あと、昔読みましたが小野弥夢という人の「DIVA」という漫画。オペラ歌手をめざす少女の話です。椿姫とかトゥーランドットが出てきますし、私が好きな「ジュ・トゥ・ブ」も。ジュゼッペ・シノーポリに似た指揮者も出てきます。
「虹ナタ」は宝塚でも上演されたそうです。はまりますよ!!
by Cecilia (2006-02-21 09:54) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。