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「自分の仕事」よりも「自分」を見て! [読書日記]

                                                             吉田典生著                                                    『「できる人」で終わる人、「伸ばす人」に変わる人』                                     日本実業出版社、2006年6月


内容(「BOOK」データベースより)
「わからない」「できない」を四つの対話で「わかった」「できた」に変える。人のあらゆる成長プロセスに対応した“使える育て方”。

以前、著者の前著『なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?』についてこのサイトでも紹介したことがある。上司と僕の関係、上司である僕と部下との関係に置き換えてみると非常に示唆に富んだ本であり、かつ僕は今の「できる」上司の下にいると自分が全く成長できないのではないかと言う漠然とした不安に駆られたものである。

その吉田氏の近著である。前著では「できる上司」はなぜ「できる部下」を育てられないのかという理屈が述べられていたが、では上司がどう部下と接することが部下を伸ばすことに繋がるのかについて、いわゆるハウツーの解説はなされていなかった。近著は、この部分を詳述することを狙って書かれたものである。

一言で言ってしまえば、相手の「行動の結果」ではなく、「相手自身」に関心を払えということであるように思う。単に目標を達成したことに目を向けるのではなく、目標を達成した相手に目を向けることを求めている。何日か前の記事の中でも述べたことであるが、僕も最近上司からもったいぶった面談を持ちかけられ、僕の体調や精神面への心配りの優しい言葉でも先ず下さるのかと思ったら、いきなり新たな仕事の話だったというのでショックを受けたという出来事があった。これなど本書の趣旨から言って「できる上司」がやってしまいがちな過ちであると思った。

また、本書はこんな指摘もしている。「できる人」への安易な依存、あるいは放任が蔓延していると。それで組織がうまくいけば大きな問題にはならないが、実際には仕事を背負いすぎた人が心身を蝕み、「できる人」であるがゆえに不幸になってしまう現実が後を絶たないと。僕は上司ほど「できる人」だと自分のことは思っていないけれども、それなりに仕事はこなしているつもりだ。組織への忠誠心もある。そういうのに安易に依存している輩がいかに多いことか。かく言う僕自身も、できる上司には安易に依存しているところがないとは言えない。身から出た錆という部分もあるだろうが、それに悪乗りしている周囲にも問題がないとは言えない。(多分、著者が昨年著している『部下力』にはそのあたりのことが中心に書かれているのだろう。)

とはいえ、前著でも感じた不満が相変わらずある。本書では、概して「できる人」が、しっかり仕事をしている相手の様子がわかると、あまり手を差し伸べようとはしない、指示はするが、指示に沿って相手が動いているのがわかると、その行動の背景がどうなっているのかは考えようとしないと指摘している。そして、仕事ができている相手への関心も維持するため、忙しくても「対話の枠組み」を作る工夫をせよと述べる。しかし…。

そんな時間があったらとっくの昔にやっている。                                                  大事なことはわかっているけれど、実際にやるのは非常に難しい。著者はそれに対してどうすればいいのか答えを提示しようと試みているのだけれど、なんか説得力に欠けているように思えてならない。                                       


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