ラッキョウでイイダコを釣ろう その1 [季節を遊ぼう!ゆる釣り部]

みなさん、釣りは好きですか? 釣りっていうと、いろいろな道具を揃えたり、仕掛け作りが難しかったりと、ちょっと面倒臭い遊びだと思われるかもしれない。実は私もそう思う。一匹でも多く釣るための張りつめた緊張感とかも大の苦手だ。
でも釣りっていうのは、それこそ魚の種類以上に釣り方があり、その中には気を張らないでできる“ゆるい釣り”もたくさんあるのだ。このコラムでは、そんな季節ごとのゆるい釣りとその周辺模様を紹介していきたいと思う。

text by 玉置 豊

それは3年前の秋だった

釣りといえば、当たり前のように「魚」を釣るイメージがあるが、実は魚以外にも、イカ、タコ、エビ、カニ、カイなどなど、バラエティに富んだ獲物が釣りで結構狙える。どれも魚釣りとは一味違った釣り味があってなかなかにおもしろいのだが、今回はその魚以外のターゲットの中から、秋限定の釣りであるイイダコを狙って千葉県の富津港にやってきた。

実は今回のイイダコ釣りにきた背景には複線があって、3年前の10月末に友人とチャレンジしているのだが、その時にかなりハードな体験をしているのだ。ということで、まずは今回の釣りレポートに先駆けて、その3年前の様子をお伝えさせていただきたい。

ゲスト紹介

まずはゲストのご紹介。飯田コツリくん(仮名)という友人で、釣りはザリガニ以外釣ったことがなく、アウトドアといえばお墓参りくらいというインドア派の青年だ。そんな彼となんでイイダコ釣りにくることになったのかというと、ええと、すっかり忘れた。

ちなみに彼は三半規管があまり丈夫にできていないらしく、山手線に乗っていても酔うことがあるらしい。この日もここ富津港に来るまでの車中でキッチリと酔ってしまったらしく、見ての通り顔色がわかりやすく悪い。こんなに顔色が悪い人は久しぶりに見た。


写真は色補正していません。

顔色も悪いが天気も悪い。今日は明らかに今年一番の寒さである。さらには今にも雨が降り出してきそうな空模様。イイダコ釣りは岸からすぐ近くの穏やかな海でやる釣りとはいえ、この天気にこの体調、飯田君は船に乗って本当に大丈夫なのだろうか。彼の今後がとても楽しみ、いや心配である。

船に乗り込もう

我々がお世話になる船宿(釣り船屋さんを船宿という。宿泊施設がなくてもね。)は、富津港の川崎丸さん。富津なのに川崎というネーミングのややこしさがチャームポイントだ。


悪天候にもかかわらず、満員のお客さんでした。

イイダコ釣りの船は朝6時半出船なので、6時前には現地についていたのだが、すでに船上には熱心な釣り人達がたくさん乗っており、我々は空いていた船首側に陣取ることとなった。

この席順が、後々大きな影響を及ぼしてくることになるのだが、この時は思いもしなかったのだった。


船首側に陣取ったのですが、これが失敗だった…。

レクチャーを受けよう

この川崎丸では全くの素人でも楽しく釣りができるように、出船前にイイダコ釣りのレクチャータイムがある。船長さんからリールの使い方からイイダコの誘い方、掛かった後にどうするかなど、一連の流れを丁寧に説明していただけるのだ。初心者の飯田君にはもちろんタメになるし、私も飯田君に教える手間が省けるので大変助かる。人に教えるほど私もわかっていないしね。


船長からのレクチャー付きなのが嬉しい。

イイダコはラッキョウをエサにして釣る。こういうと、釣りにまったく興味がない人や、普段から私にウソをつかれている人はなかなか信じてくれないのだが、イイダコは昔から本当にラッキョウで釣っているのだ。

釣り方を簡単に説明すると、まず生のラッキョウが縛り付けられたテンヤと呼ばれる針とオモリがセットになった仕掛けを釣り糸の先に結ぶ。この仕掛けは船宿が貸してくれる。リールから糸をだしてテンヤを海底まで落としたら、竿先をちょこっと上げてテンヤをヒョコヒョコと動かす。この時、テンヤが完全に海底から離れない程度動かすのがポイントだ。

このようにヒョコヒョコと動くラッキョウを食べ物だと思ってイイダコが抱きついてくる。要はルアー釣りみたいなものだ。竿先にイイダコの重さを感じたら、思い切りよく竿先を90度くらい上げてやり、イイダコを針に引っかける。あとはゆっくりとリールを巻いてやれば、無事にイイダコが釣れるという訳だ。こう書いていてもなかなか怪しい話だが本当だ。本当だったら本当だ。

あ、書いていて今思い出した。飯田君とイイダコ釣りにきた理由は、彼が「ラッキョウでタコが釣れる」という私の話を信じなかったからだった。

ちなみにエサは一般的にラッキョウを使っているが、白いものなら貝殻でも豚の脂身でも瀬戸物でもエシャロットでも何でもいいらしい。テンヤに結びやすくて、タコが抱きつきやすいサイズの白いものがたまたまラッキョウなのだ。


これがラッキョウが縛り付けられたテンヤ。

確かにテンヤに縛り付けられたツルッとした白いラッキョウはなんだかエロティックで、針がついているとわかっていてもイイダコが思わず抱きしめたくなる気持ちがなんとなくわかる。うん、ヤツとはソウルフレンドになれるような気がする。

つづく


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