男はタマヒュン、女はスカッとする「ハード・キャンディー」 [映画]

     

「ハード・キャンディー」
エレン・ペイジ主演、でいいよね。

【あらすじ】
出会い系サイトで知り合った十四歳の少女ヘイリーと、
そこそこイケてる32歳のカメラマン、ジェフ。
二人はリアルで会うことになり、待ち合わせる。
ヘイリーは大人ぶっているけれど14歳らしい子供っぽさもある少女で、
ロリコンのジェフは彼女の期待する大人の男性像を演じて、
自宅に招くことに成功する。
しかし連れ込んだ獲物だとばかり思っていたヘイリーに薬物を飲まされ、
気がつけばジェフは椅子に縛りあげられて自由を奪われていた…。


以下、ネタバレ有りの感想に続きます。

あらすじや大まかなストーリーで、
大体の雰囲気や結末などの想像がつくこの作品。
けれど観始めると意外にも飛ばす点のない脚本にハマります。
映像も、白と赤、黒やグレーなど、パキッとした色合いなので
おのずと主演の二人の会話劇が浮き彫りになります。

【あらすじの続き、ネタバレ】
ヘイリーはジェフの家の家捜しをしながら、
思わせぶりにジェフの嗜好を蔑みます。
また、待ち合わせ場所の掲示板に貼りだしてあった
ドナという少女の存在が、会話の中で意味深に登場します。

ヘイリーは家の中にジェフが人目にさらしたくないもの、
小児性愛嗜好の証拠品などが隠されていると指摘します。
また、ジェフが大事にしている元カノからの手紙などを発見し、
彼の執着心をせせら嗤います。
ジェフは必死で自己弁護しますが、
気色の悪い証拠品が発見されます。
ジェフはそれでもまだヘイリーの仏心、
あるいは14歳らしい子供らしさにすがって許しを請いますが、
ヘイリーは自分が何をするか、決意のもとに行動していました。

格闘のあとジェフが正気を取り戻すと、再びキッチンに拘束されており、
可動調理台の上で男性器の上に氷を乗せられていました。
手術着を着たヘイリーはジェフに
去勢をするのだ
と説明します。
ジェフは恐慌に陥り、脅したりすかしたり、
すがったりしてヘイリーの気を変えさせようとしますが、
ヘイリーは聞く耳を持ちません。
ジェフは自分が子供の時に叔母に受けた仕打ちを語り、
自身の変態性が自身のせいではないことを暗に訴えますが、
ヘイリーの心を打つことはありませんでした。

彼女がとうとうやり遂げて消えると、
ジェフはなんとか拘束を解きます。
彼はそこで自分が去勢されていなかったことに気づきます。
警察に電話しようとして、思い直します。
ヘイリーに対する復讐心と、
所詮相手は14歳の少女だという侮りが、
ジェフを愚かな行動に走らせます。

ジェフを撃退したヘイリーは自分の犯罪の痕跡を消しつつ、
警官のフリをしてジェフの元カノ、ジャネルを呼びつけます。

結局また、ジェフは拘束され、キッチンに吊るされます。
ジェフはヘイリーを脅しますが、
ヘイリーはちっともこたえた様子がありません。
三軒向こうの夫人がやって来てしまい、
姪のフリをした時、ヘイリーはうろたえた様子を見せます。(注①)
ジェフはヘイリーが完全な犯罪者ではないと思い、反撃に出ます。
ヘイリーは逃げますが、ジェフも警察を呼ぶようなことはせず、
後を追いかけて屋上に出ます。
煙突には意味深に輪のくくられたロープが巻いてあります。

ジェフはヘイリーを力で制圧しようとしますが、
ヘイリーは心理的にジェフを追い詰めます。
ジェフは逆転のための最後の手段として、
行方不明の少女、ドナを殺した犯人を知っていると告白します。
アイツが殺したんだ。
彼を追い詰めるのならなんでも協力するからとすがります。
ヘイリーは無慈悲に囁きます。
「アンバー(名前の記憶が曖昧)も首を吊るまで同じこと言っていたわ」
すでにヘイリーはジェフの共犯者を亡き者にしていたのです。
元カノのジャネルが今まさにこの家に来ようとしており、
ジェフは男として、人間としての最後の羞恥心から、
どうしてもジャネルには真実を知らせたくありませんでした。(注②)
ヘイリーは優しく囁きます。
自分で首を吊るなら、残した証拠を全部消してあげる、と。
しかしそれを信じてジェフが首を吊るのを確認しながら、
ヘイリーはまた意地悪につぶやくのです。
「なんてね」と。
                終わり


ヘイリーが何者で、実際の目的がなんなのかは、
詳しく説明されません。
必殺仕事人みたいな少女だと思うのが一番いいかもしれません(´Д`)
カッコイイよ(*´ -`)

たまひゅんポイントは疑似去勢シーン。
でもコレは、当時の観客はみんなホントにヤッてると思ったと思います(笑)
グロいシーンはいっさい映さなくても、
ヘイリーの渾身の芝居、ジェフの心神喪失しそうなショック状態を観たら、
もう、男性ならゾッとすること請け合いヾ(´∀`)ノ

女性としても、最後までジェフのしていたことは本当にそこまでの悪なのかな?
と、疑わせるような脚本になっています。
むしろヘイリーちゃんヤリすぎじゃないの?
と、突っ込ませることが目的っぽいような。
貧乳少女の写真くらいなら、ちょっと見ちゃうんじゃない?
とかね。
しかしちょろちょろと出てくるドナの名前…。
失踪したことになっているのだけど、
ヘイリーは終始一貫、殺されたと断定しています。
ジェフもまた、誤解だ、そんなことしていない、と否定の嵐。

二人の会話劇は、基本この、やったやらないで終始するんですが、
それを見入らせるのは演技力と脚本の成果だと思います。
ヘイリーもジェフも、インドア派で口が達者なんですよ。
時には詩的に自己弁護したり罪を追求したりする。

ジェフが警察に電話せず、自分でヘイリーを始末しようとし始めたあたりから、
視点が変化し、こりゃあ限りなくクロだな、この男、という雰囲気になります。
それでもまだシロクロつけない。
最後の最後、ヘイリーの囁きポイントまでジェフの罪は暴かれません。
最後のポイントでヘイリーがドヤ顔で囁いた時は、
私もドヤ、って気持ちになりましたね(笑)
性犯罪者は、一回につき玉を一個ずつ抜くというのはどうでしょう。
一回抜かれたらかなり懲りませんか?
それでもダメなら両方取っちゃいましょうよ。
機能的にどうなるのかわかんないけど、
真ん中も取っちゃうってことで(*´ -`)

私はあんまり会話劇って好きじゃないし、
淡々としているとつまんなくて早送りしたりしちゃうタイプなんですが、
この作品にはのめりこませてもらいました。
ほんと、ヘイリーちゃんにはこれからもどんどん
凶悪な(←ここ重要)小児性愛者を
狩って狩って狩りまくって欲しい
ものです。
そう、稲中の前野君と一緒に、たまきん狩りもオツなのかも(*´ -`)

男性は女性よりショックを受ける映画のようですが、
因果応報という言葉を噛みしめるためにも、ぜひ観て欲しい一作ですね。
女性はもちろん、生涯一度もなんらかの性的被害に遭わずにいられた、
という幸いな方はいないでしょうから(これホントだからね、男どもよ)、
ストレス解消にぜひオススメです。

(注①)このシーンがあって終盤の追いかけっこがあったので、
私はそれでヘイリーがわざわざ屋上にのぼって姿を見せたりしたのかと思いました。
つまり、ラストでジェフが包丁持って追っかけてくれば、
夫人が「キャー変質者」となって、罪が暴かれ一件落着、とね。
たぶんそういう展開も考えられたとは思うんですが、
それでは暗喩にならないというか…。
だって結局、生きてたらまたやるんでしょう? みたいなね。
実際の脚本のラストの方が、女性的にはスカッときました。

(注②)ジェフがそこまでジャネルを愛している、
とは思えないのですが、とにかくこの男、
少女しか愛せないだけあってプライドが高そうです。
大人の女にバカにされたら立ち直れないほどカッコツケ。
ジャネルとは若い時に付き合っていたようで、
ジャネルの方が出世してしまい、ジェフは捨てられました。
ジャネルに対する鬼のような憎悪表現もありましたので、
愛より憎しみの方が大きいのは間違いなさそうです。
そのジャネルに、「アイツ変態だったんじゃん」とか、
「うそ、こんなことやってたんだ、マジしゃれんなんない」とか、
「早めに別れておいて正解」とか言われちゃうことがもう、ジェフにすると
ンキーーーーーーッ
だったと思われます。


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