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CHARA @渋谷AX [LIVE OR DIE ?]

渋谷AXという、水色で美しい金魚鉢の中。
2階席という名の鉢のヘリに腰掛け。

ステージの淡いブルーの様子を、無数の貝殻が波内際に寄せられるように。
そんな光景が広がって。

8年ぶりの彼女を待つ。

8年前のあの頃の僕には、感じ得なかった美しさや、時に感じる尖ったものだとか。
そんなものを鉢の中で見せ付けられる。

感想を1つ言うならば。
ハートの形は、2つの丸みを帯びたやさしさと、
1つの尖ったやさしさが創り上げる形で、SWEET過ぎるものではないと言う事。

実に、彼女を諦めて8年。
逢えるとは想わなかったし、逢うつもりもなかった。

そんな彼女に逢うための時間を作った僕とは裏腹に、、
金魚鉢の底は期待と愛に包まれた四角にも似た扇形の景色。

時々聴こえる子供の声と、目の前で踊る小さな子供の、ヒラヒラ舞うダンスに時間を呑まれながら。
さほど無い期待感を抱きつつ、ただ流れる時間に身を任せようと。

少し前に、「UNION」の記事を書いたが、訂正したい。 正しくあったはずの主観は崩れ。現実に感ずる客観は妄想で。

素直に書くと、16年経ち40歳に手が届きそうなCHARAの存在感は、
ただの歌の好きな女の子が、飛んで跳ねて。
そして、大きな声を出して。時に僕らを甘い時間で包み。
そして、緩やかなバラードの主眼は、恋の小さなトゲを歌った。

そんな時間の応酬。
今まで見た幾度のCHARAを捨てても、
本当に素晴らしい時間のSHOWにも似た構築は見るものを幸せにし、聞く者を喜びに溢れさせ。

彼女の体の動きを、フロアに散らばる無数の貝殻は宝物に想うのだろう。
「JUNIOR SWEET」は分岐ではなく、基点であり。

貝殻もCHARAもまた、「しましまのバンビ」「ミルク」「やさしい気持ち」など、
9年前に赤坂ブリッツで聞いた楽曲ですら、時間の経過で素直に身体に染み込む。

まるで、尾ひれが紫色の美しい熱帯魚が、
色彩々のサンゴに囲まれ、素早くそして、尾ひれを美しく泳がせながら、
貝殻に話かけてるようにも見えるくらい、その姿に愛しさを感じたのです。

コール&レスポンスのライブの魔法を信じない僕は、彼女のかける魔法ですらも疎ましく想い、
彼女の下を去ったわけだけど。

淵から眺める眼下の景色は、CHARAとフロアの調和を、客観的に目の当たりに出来。
僕と僕の間を隔てる感情は無く、観客すらもミラーボール同様、舞台装置でしかないわけで。
そうなれば、忌み嫌うものですら、HAPPYに感じるのだから。
この場所は、僕の感じるCHARAの全てだと思えるくらい。

「HAPPY TOY」を聞きながら、向けるマイクの先の無数の声は実に晴れやかに伸びやかに。
CHARAの声の代わりを果たし。
CHARAもそれを本意として、愛を説いた。

下にいたならば、僕はきっと閉じこもり。
彼女の姿を再び閉ざしてであろうが。
眺める景色の雄大さと寛容な空気は、決してニセモノではなく。
彼女の織り成す音楽への愛が、ホンモノの感情を揺り動かし。
音楽と結婚したと話すだけの世界を、UNIONを創るのだと実感しました。

実に素晴らしいステージの果て。
14歳の時CHARAを始めて知った「SWEET」

リフが鳴った瞬間、思わず立ち上がってしまうくらい。その瞬間を胸に焼きたかった。
あの夜、大きな唇に赤い口紅を落とした彼女を初めて観た。

あれから、15年。
まさか、あの曲を目の前で聞くことになるなんて、想像も出来なかったから。
もう嬉しくて、瞬きを忘れるくらいに。

CHARAが、履くステージの靴はブギーシューズ!だなんて。
CHARAは、その体を大きく見せるために、随分底の厚い靴を履いていた。

UNIONという冠の如く、美しくそして愛溢れる彼女の生き方の道程。
多くの人間が彼女を、チャラを愛し。
それをCHARAが受け止めながら、セットリストは素晴らしいものだった。

最後の「Tiny Tiny Tiny」

若かった僕には、最高の「こいのうた」だった。
今夜、ゆっくり流れた幸福の果て。
彼女は鍵盤をゆっくり抱きしめながら、僕らの心に変わらない気持を置いた。

僕は気付いたのです。
ここは金魚鉢なんかじゃなくて。

ここは、こんなにも美しい青い海だったことに。
彼女は、囲まれた空間で泳いでいたのではなく。
僕らもまた波に包まれる青い海の中にいたことに。

時に、気持を高揚させ。
時に、ゆっくりと夜の海を紫の尾を振りながら。
僕らは、彼女のダンスに酔いしれ。
彼女が繋いだ手を離して、僕らはAXに戻る。

僕は、CHARAのただただ、張り上げた声や細く伸びる声の余韻を感じながら。

またいつか泳げるのでしょうか。
願うならば、もう1度。


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コメント 6

deacon_blue

☆ お世辞でなく,心が洗われるように感じた。
by deacon_blue (2007-04-14 09:53) 

ミック

いろんな美しさが伝わってきました。
ナミがココロを何度もナデていくように。
by ミック (2007-04-14 22:22) 

ルースターズ

>deacon_blue様
ありがとうございます。

ステキなコンサートでした。
何度か鳥肌がね。それぐらいの心地でした。
by ルースターズ (2007-04-15 08:44) 

ルースターズ

>ミック様
CHARAにしか出来ない空気かなって、思いました。
ただ1階の貝に混じるか。静観するか。
それで感情の流れの場所もスピードも違うと想います。

僕は上から彼女とそして多くのお客さんを眺めてる方が、
気持ちがとっても穏やかになります。
by ルースターズ (2007-04-15 08:46) 

mimi

ルースターズさんは、CHARAのライヴに行かれてたのですねー。
野音は気持ちよかったです。代々木のスカパラを聴きに行ったルースターズさんが羨ましい。心から羨ましいっ!
。。。に、しても、ルースターズさんのR&Rなコメント欄に私のピアノ写真があまりにも浮いてて自分で笑ってしまいます。
nice!ありがとうございました。
by mimi (2007-04-15 21:05) 

ルースターズ

>みた様
行きましたよー。翌日意気揚揚と買ったパーカー着てたら、
行ったんですか?と何人かに声かけられました。

いいじゃないですか(笑)
コメントは緩く行きますよー。
ピアノでブギー。
by ルースターズ (2007-04-17 07:16) 

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