疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展 [ デザインの部屋]
杉浦康平
疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展
名古屋の国際デザインセンターで「疾風迅雷 杉浦康平雑誌デザインの半世紀展」を見る。
私にとっての杉浦康平は、工作舎から目もくらむような(あるいは、本の常識を覆したような)装丁を施された本の類いがイメージされる。はじめて「全宇宙誌」を手にした時、この本の中に宇宙が詰まっている...という期待感でワクワクしたことを覚えている。
今では、マルチメディアやインターネットという手法によって、重層的に、あるいは多義性を持たせながら物事を表現していくことが、比較的楽になった(と思う)。しかし、この本は、1979年、今から四半世紀以上前に、活字によってのみつくられたものだ。そういった意味では、活字媒体の持つ可能性を極限にまで高めたいという強大なエネルギーが伝わってくる。
当時は工作舎の仕事の他、「SD」といった建築系の雑誌のデザインも手がけている。これも表紙から知的エネルギーが溢れ出していた。確か、何処かの国の切手のデザインの話もしていたように思う。
今回の展覧会を見て、これら懐かしい作品を目にすることができ、また、比較的新しい仕事である「噂の真相」や、専門性の高い数学や科学の雑誌など、幅広い活躍を確認でき、杉浦康平の懐の深さ...といったものを感じた。だからこそ、50年もの間、トップでいられたのだろう。
ただ、そうした感動的な彼の仕事を紹介する展示としては、物足りなさを感じた。展示手法に、彼の仕事に見合っただけのエネルギーを感じることができなかったのである。これは、名古屋会場だけの問題なのかもしれないが...。
■杉浦康平の作品
- 作者: 杉浦 康平, 若桑 みどり, 筑紫 哲也, 上野 千鶴子, 森村 泰昌, 池沢 夏樹, 石川 好, 竹村 和子, 中沢 新一, 小森 陽一
- 出版社/メーカー: 日本カメラ社
- 発売日: 2005/04
- メディア: 単行本
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