ミッチェルの受難（或るいは私は如何にして心配するのは止めて清原を愛するようになったか？）：WHAT'S NEW PUSSYCAT!?：SSブログ

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ミッチェルの受難（或るいは私は如何にして心配するのは止めて清原を愛するようになったか？）　[ごきげんいかがワン・ツゥ・スリー（日記）] [編集]

Ｆあらためミッチェルはその日受難続きだった。
１２時から新潟で会議があり、明日の早朝から東京でまた会議がある。
両方彼のプレゼンに勝負がかかっていた。つまり大事な発表って事。
まず、仮眠をとって４時起きの計画だったはずが、彼はその深夜から延々と「エビオス錠を飲むか飲まないか」でＲ子とモメていた。10錠も飲むというのがＦあらためミッチェルにはどうしても納得できなかったが、
Ｒ子の究極の切り札「じゃあ他の人に頼むからいい」に膝を屈する羽目になった。

仮眠もへったくれもなかった。おかげで結局眠れずに、いささかぎりぎりぎみで出かけることになった。
電車の中で携帯を忘れたことに気づいたが、もうどうしようもなかった。
座席でうとうととしながら弱ったな、と思っているとＦあらためミッチェルと隣の人との、
わずか５㎝ほどのすき間に体を無理矢理突っ込んできたイイ顔の親父（参考画像↓）
がいた。親父はぐりぐりと体をねじこむと、全身から異臭をただよわせながら、Ｆあらためミッチェルにもたれかかってきた。まるで恋人が身を寄せるかのごとく。
Ｆあらためミッチェルは、死ぬかも…と呼吸困難な中、ようよう体を少し動かし、親父にかろうじて背を向けた。親父はしかし彼の肩から顔を外さない。手を奇妙に動かしながら、ますますＦあらためミッチェルによりそってきた。しかも口の端からは涎が…。
半泣きになりながらも、その日のレジュメに目をやることでどうにか現実逃避する。
飛行機から降り立つ頃にはようやく悪夢を払拭できていた。
Ｆあらためミッチェルはどうにかこうにか会社に着き、早速プレゼンにとりかかった。
お偉いさんが多い。生来びびり性な彼は、冷や汗をかきまくりながら、ビデオをセットした。
上映。５秒ほどで停止。上映、１０秒後停止。
討ち死に…と覚悟したその時、別なビデオデッキがあることを思い出し、なんとかプレゼンを無事終了することが出来た。
ついてない…。帰ったらＲ子がおでんを作って待っていてくれる。それだけがＦあらためミッチェルの希望だった。
帰りは奮発してスーパーシートにしていた。俺の気苦労をスーパーシートが慰めてくれるはず…と、乗った瞬間に荷物を広げ、完全なリラクゼーションの中に身を沈めていた。
なかなか出発しない。通路をはさんだ隣の席があいていた。
と、そこへどやどやどやとデカい数人の男が乗り込んできた。
「すんません、席番○○のＫなんやけど…」
ひときわでかい男は清原だった。
再びプレゼンの恐怖がＦあらためミッチェルに襲いかかった。つまり、席番○○のＫは今彼が座っている、その席だった。
彼の正しい席は通路をはさんだ隣だった。
グレーシーもかくや、という素早い身のこなしでなにごともなかったかのように正しい席に移り、
彼は目を堅く閉じ、全てを忘れようとした。
長い一日の果てにようやくＦあらためミッチェルはＲ子の待つ自宅へ帰った。
暖かな湯気のたつおでん。激しい期待の中ドアを開けると、ベッドで無邪気に寝こけるＲ子の姿があった。
おでんはどこにもなかった。Ｒ子はのんきに「ああ作るの忘れてた」とつぶやいた。
おでん…と恨めしそうな視線をＲ子に向けると彼女は「自分でセブンイレブン行って買ってくれば？アタシの分もよろすく」とあっさり。
そしてセブンイレブンのおでんを食った後はエビオス錠をきっちり10錠飲まされた次第。
Ｆあらためミッチェルの受難の日々は続く。