第10シンフォニー [音楽]
『のだめ カンタービレ』のおかげで、すっかり注目のブラームスの交響曲第1番。
「交響曲を書くなら、ベートーヴェンを超えるようなものを」と考えたブラームスが、着想から完成まで 21年(!)もの歳月をかけただけあって、これぞ交響曲といった壮大な曲で、名指揮者ハンス・フォン・ビューローはベートーヴェンの“第9”に続く“第10”と称しました。
特に第1楽章は、ブラームスの執念というか怨念というか(笑)、積年の思いが込められていて、聴く側にもそれなりの気合いを要求されるのですが、そうでもない一枚を選んでみました。
ギュンター・ヴァント指揮、北ドイツ放送交響楽団です。
“暗くて重い”ブラームスを期待する方は、肩透かしを喰うかもしれません。ゆったりとしたテンポでおどろおどろしく演奏されることも多い第1楽章の序奏も、さらりと早足で通り抜けます。
あとは音の洪水に身(耳)を任せるだけ。勝利の瞬間まで導いてくれます。
ブラームスの苦悩や諦念に思いを馳せたいという方にはやや物足りないでしょうが、ブラームスの音楽が美しく構築されたものであることを分からせてくれる一枚として聴いて損はないでしょう。
【哲学の秋の気分度】 ★★★
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