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『クローディアの秘密』E.L.カニグズバーグ [児童書]

昨晩、NHKの「SONGS」で久しぶりに大貫妙子の歌声を聴きました。
『Shall We Dance? 』以下5曲を歌ったのですが、その中の『メトロポリタン美術館』は「みんなの歌」で流れていたのでご存知の方も多いのでは?
この曲は、アメリカの女流児童作家カニグズバーグの1967年の作品『クローディアの秘密』から着想を得て作られた歌だそうです。

『クローディアの秘密』
主人公のクローディアは、あと一ヶ月で12歳になる女の子。
彼女はある日、家出を決意します。
その理由は二つ。
一つは不公平感。姉弟の中で‘長子で女の子’だからって、食器の用意をさせられるのは不公平よ!
もう一つの理由は、毎週同じことの繰り返しの日常が耐えられなくなってきたからなのです。

でも、一人で家出するのではなく、一番役に立ちそうな9歳の弟ジェイミーを連れて行くことにします。
ジェイミーは、おこづかいを一切使わず貯めこんでいるので、資金をたくさん持ってそうだし・・・。
なかなか、現実的なお姉さんです。

で、家出してどこへ行くのか?
クローディアの計画は大胆でした。
ニューヨークのメトロポリタン美術館で暮そうというのです。
何せ入場料は無料だし、中に食堂はあるし、寝るところはね・・・。
これだけ教えちゃいましょう。
美術館の中の陳列品のベッドで眠るのです!

計画を立てて、お金も倹約して貯めて、いざ実行の日がやってきます。
水曜日、クローディアはバイオリンのお稽古、ジェイミーはトランペットのお稽古がある日です。
二人は楽器は部屋の中にこっそり隠し、楽器ケースに着替えを詰めて家を出ます。

そして、まんまとメトロポリタン美術館で暮し始めた二人。
しっかり者のクローディアお姉さん
  ・・・メトロポリタン美術館で各展示室の内容を積極的に勉強していこうと提案します。
倹約家のジェイミー弟
  ・・・何かというとすぐタクシーに乗りたがる姉に「駄目!」と言って歩かせる、すぐれた会計係。

物語の転機となるのは、メトロポリタン美術館が最近購入した大理石の天使像でした。
これがミケランジェロの作品であると証明しようと、この二人が活躍するのです。

オチもなかなか凝っていて、私の大好きな作品です。
何より姉と弟の心が通い合っていく感じに、心がホッとします。

小学5年生くらいから読めるんじゃないかしら・・・。
ちょっと大人になりかかっていて、こんな自分でいいの?と迷いが生まれてきた頃の女の子に読んでもらいたい、‘子ども向け自分の存在証明探し!’(ちょっと大げさかな)の本です。

クローディアの秘密.jpg

クローディアの秘密

  •  作 :E.L.カニグズバーグ 訳 :松永ふみ子
  •  岩波書店
  •  2000/06
  •  18×12cm 208p

↓ こちらに大貫妙子の『メトロポリタン美術館』が収録されています。

みんなのうた45周年ベストメトロポリタン美術館.jpg

みんなのうた45周年ベスト曲集~メトロポリタン美術館/スシ食いねェ!~

  •  アーティスト: TVサントラ, KUKO, 水木一郎, NHK東京放送児童合唱団, 榊原郁恵, くまいもとこ, ピーカブー, 吉田直子, 五百木佑野
  •  コロムビアミュージックエンタテインメント
  •  2006/08/23
  •  CD


タグ:児童書 音楽
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コメント 14

かおり

え~~~~!!!
SONGS、ター坊だったんですか???
見損なったぁ・・・・ショック!

「メトロポリタンミュージアム」が”みんなのうた”で流れ始めたとき
飛び上がるほど嬉しかったのを想いだしました♪
「コロは屋根の上」もありましたね^^
大貫妙子も、私の青春なのです(笑)
本の話に触れられなくてゴメンナサイ^^;
by かおり (2007-06-08 00:58) 

sknys

びっけさん、こんばんは。
アンドレ・ブルトンは「ギュスターヴ・モロー美術館」に
ランプを持って夜中に忍び込むことを夢見ていたというから、
お気に入りの美術館や博物館、水族館に潜入して夜を明かすのは
少年少女の世界共通の願望なのでしょう。

ジュヴィナイル小説はイメージと乖離した挿絵が入っていて
興醒めすることも少なくないけれど、
カニグズバーグ女史には挿画も自筆で描いてしまうという強みがある。
『魔女ジェニファとわたし』『ぼくと〈ジョージ〉』‥‥
「ピーターラビットとわたし」の自作自演歌手が歌にする前から、
E.L.カニグズバーグのファンなのだ!
『ロールパン・チームの作戦』はタイトルが変わっちゃったのね^^;

「鉄の魚」(1977)は『クローディアの秘密』のアダルト版かな?
河野多惠子、恐るべし!‥‥超ヘヴィーなオチでゴメンなさい。
次はフィリパ・ピアスの『トムまよ』を、お願いします^^
by sknys (2007-06-08 01:28) 

マアカ

先月スカパーで「クローディアと貴婦人」という映画をやってました。
もちろん原作は「クローディアの秘密」ですね。
おもしろかったですが、やっぱり原作のほうが好きですね。
想像の余地があるっていうか。
by マアカ (2007-06-08 05:43) 

おきざりスゥ。

未読です。面白そうですね。
>お気に入りの美術館や博物館、水族館に潜入して夜を明かすのは
少年少女の世界共通の願望
…で<ナイトミュージアム>みたいに夜になると展示物が動き出すって発想は多く為されるけど“大理石の天使像がミケランジェロの作品であると証明しようする”なんてリアルで素敵。

<SONGS>見ました。
昔と変わってませんでした(ちょっと皺っぽくなったくらいで)
女優、歌手など人の前に立つ職業の方って老けませんねー。
     白鳥の水面下の如く努力と節制の賜と云われれば一言もないのですが…
by おきざりスゥ。 (2007-06-08 11:19) 

miyuco

こんにちは。
「カニグズバーグの作品にハズレはない」と
どなたかが書いていたので、読もうと思いながらも
まだ読んでないです^^;
「SONGS」を見ていて『メトロポリタン美術館』を
ポンキッキの唄だと思いながら聞いてたけど
勘違いだったんですね(v_v。)
大貫妙子さんの曲は矢野顕子のカバーで知っている程度で
『突然の贈りもの』も本人が唄っているのを
初めて聴きました。
「SONGS」は私たちの年代には楽しい番組ですよね☆
by miyuco (2007-06-08 17:13) 

びっけ

青い花さん、nice!&コメントありがとうございます。
見損なったとは、それは残念!
多分、リクエストが多そうですから、いずれ再放送もあると思うのですが・・・。
>大貫妙子も、私の青春なのです(笑)
私も、そうかも・・・。もっと昔の歌も聴きたかったです。
by びっけ (2007-06-09 00:14) 

びっけ

sknysさん、コメントありがとうございます。
カニグズバーグの絵は、もちろんお話にもピッタリ合うし、味わいもあって私は好きです。
でも、今どきのお子様には、いまひとつみたいなのです。
表紙と挿絵を見て(古臭そう)と言って、本を借りるのをやめた子が何人もいます。
読んだ子は皆、(良かった)(面白かった!)と言うのですけれどねぇ・・・。
フィリパ・ピアスは以前『まぼろしの小さい犬』について記事を書きました。
もし、よろしかったらお読みくださいませ。
http://blog.so-net.ne.jp/pippupgii/2006-11-02
by びっけ (2007-06-09 00:21) 

びっけ

マアカさん、コメントありがとうございます。
この映画は未見なのです。
某夫人をイングリッド・バーグマンが演じているのですよね。
イメージとしては美人すぎる気がしますが(笑)観てみたいです。
by びっけ (2007-06-09 00:41) 

びっけ

おきざりスゥ。さん、nice!&コメントありがとうございます。
奇想天外な話のようでいて、地に足が着いている物語です。
例えば、弟が拾ったチョコレートを食べようとすると、姉が
「麻薬がしみこませてあるかもしれないから、およしなさい。
 麻薬の売人は、そうやって麻薬中毒者を作って麻薬を売りつけるのよ。」
と言うくだりなどは、12歳の子どもがこんなことを言うところに、アメリカの現実を垣間見た気がしました。

大貫妙子・・・変わってませんでしたねぇ・・・髪型も!
by びっけ (2007-06-09 00:46) 

びっけ

miyucoさん、nice!&コメントありがとうございます。
カニグズバーグの作品は、児童書ではありますが、大人が読んでも十分、感じるところのある作品だと思います。
機会がありましたら、ぜひ!
>「SONGS」は私たちの年代には楽しい番組ですよね☆
本当に!
欲を言えば、もう少し長く60分番組くらいにして、もう少し曲数を多くしてもらえたら・・・いいなぁ。
by びっけ (2007-06-09 00:49) 

春分

これは知らないネタでしたが、おもしろそう。
メトロポリタンミュージアム♪は懐かしい。でも、見てみましたがベスト集は他の回がよさそうです。北風小僧の寒太郎の回は「私の紙風船」や「小さな木の実」「白い道」が入っているようだし。
でも、「イサレイ(フィジーの別れの歌)」は入ってない。聞きたいです。
by 春分 (2007-06-09 08:00) 

びっけ

春分さん、nice!&コメントありがとうございます。
春分さんのコメントを読んで、あわてて他のベスト集の収録曲のラインナップも見てみました。
私も「北風小僧の寒太郎」が入っている盤が一番好きかも!
「小犬のプルー」も「ドラキュラのうた」も入ってる!
「イサレイ」は・・・憶えてないです。
どんな曲なのでしょう? 気になります。
by びっけ (2007-06-09 10:23) 

ユウスケ

あの、メトロポリタン美術館には、
そんな素敵な物語があったんですね。
「クローディアの秘密」
あの曲はこどもながらに、
すごい印象に残っています。不思議で、
サビが頭に残るんですよね。。
by ユウスケ (2007-06-10 21:31) 

びっけ

ユウスケさん、nice!&コメントありがとうございます。
大貫妙子の『メトロポリタン・ミュージアム』・・・あの澄んだ声と不思議なメロディ・・・頭に残る・・・というのもうなづけます。
by びっけ (2007-06-10 23:01) 

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