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福知山線の惨事に思うこと [ニュース]

あまりにも多くの方が書かれているので、
事実関係についてはここでは触れません。

まず、この事故の犠牲になったたくさんの方々に、心からお悔やみ申し上げます。

そして私は、この事故の背景に、
「ちょっとだけ症候群」と(私が勝手に)呼んでいるものがあると思えてならないのです。

「ちょっとだけなら、(ルールに反しても)大丈夫。」
皆さんは、そう思ってしまうことはありませんか?

「車で走っていて、信号が黄色から赤に変わっちゃったけど、
スピードを上げて、交差点に突入してしまう。」
私にも、こういうことがあります。

ほとんどの場合、何も起きないでしょう。

でももし、あなたが交差点に突入したのが右折のためで、
あなたが気づいていない、渡り切れなかった歩行者が、
道路上に残っていたら…

本当に低い確率かもしれないけど、
惨事に至る危険は、いつも存在しているのです。

「ちょっとだけ」スピードが出すぎてるけど、
「これぐらいなら」大丈夫。
運転士はそう思っていたのではないでしょうか。
何の確たる根拠もなく。

ひょっとしたら、過去に今回の事故のときと同じぐらいのスピードで、
何事もなくあの場所を通過したことがあったのかもしれません。

真相はこれからの捜査を待たなければいけませんが、
置き石があったのかもしれません。
しかし、たとえそうでも、
速度超過がなければ、あのような惨事にはならなかったかもしれないのです。

人命を預かる運転士が、厳しく責められるのは当然です。
しかし、表面的な犯人捜しに終始しては、
この事故の本質的な原因解明にはならないと思います。

わたしがもっとも問題だと思うのは、今の日本の風潮です。

何事においても、
「ちょっとだけ」ならルールを破ってもいいから、
結果的に目的を達成する人が有能で、
そうでない人に対して、
「バカ正直で要領が悪い、使えない奴だ。」
「ルールは破るためにあるんだよ。」
そういう評価を無意識のうちにしていませんか?

定時運行のためには、ちょっとだけルールを曲げてもいい。
一秒単位で定時運行を管理しようとしたJR西日本には、
こういう風潮があったのではないでしょうか?

直前の40mオーバーランを、8mだったと報告することを、
車掌もためらった痕跡が見られません。
仲間内の不祥事はとことんかばいあい、
ルールを守ろうとする人を、疎んじることはなかったのでしょうか?

先日のJALの度重なる不祥事も、根は同じところにあると思います。
経済効率のために、「ちょっとだけ」なら、マニュアルに反してもかまわない。
そう考えていた節が見られます。

最近、コンプライアンスと言う言葉がよく使われていますよね。
日本語では、法令順守、などといわれていますが、
法令に限らず、社会のルールを破らない。
つまり、今回のようなケースなら、ルールを守って、「速度超過をしない。」
これがコンプライアンスです。

ルールをちょっと破って一時的に利益を得ても、
(今回の事故なら「定時運行できる」という利益ですね)
結果的には訴追を受けることになったり、
企業イメージの失墜といった重大な損失につながるからこそ、
きちんとルールを守るほうが結果的に得で、
企業の社会的責任もきちんと果たせますよ、というのが
コンプライアンスの精神なのではないでしょうか。

したがって、JR西日本は、コンプライアンス意識が
著しく欠如した組織であると言わざるを得ないでしょう。

そしてもうひとつ恐ろしいのは、「ちょっとだけ」のレベルが、
だんだんエスカレートしがちなことです。

最初は後ろめたさもあって、逆に細心の注意を払ったりします。
しかし、「ちょっとだけ」が日常になってしまうと
どんどん行動が大胆になっていき、
引き起こされる結果も重大なものになってしまうのです。
…今回のように

さて、皆さんの心の中にも、同じような気持ちがありませんか?

限りなく自戒をこめて。

(加筆に付き再アップ)


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