伊方町で開かれた経産省主催の「プルサーマルシンポジウム」に参加 [仕事とその周辺]
昨日,愛媛県伊方町で開かれた,経済産業省主催の「プルサーマルシンポジウム」にパネリストとして参加した.伊方原発でのプルサーマル実施のためのイベントである.
http://www.meti.go.jp/press/20060511006/20060511006.html
経済産業省から電話があったのがわずか二週間ほど前だったので,多分予定したパネリストの誰かの代役だろうと思ったが,地元の反対運動の人たちの話を聞くと,シンポの公表自体も直前で,しかも国が許可の決定を出した後だという.そのため,プルサーマル実施のためのアリバイ作りに過ぎないとして,反対運動の人たちの多くがボイコットしたようである.そのような事情も知らずに引き受けてしまったが,パネル討論や質疑応答の部分に関しては,かなり良い内容だったと思う.賛否両論それぞれの中味が明らかになったと思う.地元にはケーブルテレビで,また全国にはインターネットで全てライブ中継された.
ホテルの出発が朝10時前,11時ころから打ち合わせ,そして1時から6時ちょっと前までのシンポ本体と,かなりの長丁場で疲れた.夕方はお疲れさん会でもあるのかと思ったが,松山のホテルまでマイクロバスで送ってもらったあと即解散.官「官」接待回避ということなのかも知れないが,ちょっと味気ない.
愛媛県も,これは県としての「決定」前だが,夏に討論会を計画している.そのパネリストには,どうも昨日のメンバーをそのままコピーするつもりのようだ.しかし「国のお下がり」というのでは余りにも安易だ.もっと独自性を出してもらいたいものだ.反対派も,国内だけでなく世界中から専門家を探し,「最強メンバー」で応戦してもらいたい.
以下,当日配布された私のレジュメの冒頭部分と,たくさん提示したスライドの中から2枚を紹介します.
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(レジュメの冒頭部分)
プルサーマルについての6つの観点
前提:使用済み燃料の再処理計画(青森県六ヶ所事業所)と一体のものとして計画されているので,その全体で評価しなければならない.
1.原子炉の安全性の問題
2.放射性廃棄物は増えるのか,減るのか.放射能の種類は変わるのか
3.環境への放射能の放出(再処理施設)
4.資源の節約になるのか
5.核兵器との関連性(余剰プルトニウムを解消するか)
6.経済性
(スライドのうちの一つ)
海外との比較 (原発の規模,富化度,燃焼度)
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出力 核分裂性プルトニウム 燃焼度 赤印
万kW 富化度 GWD/t
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伊方3号 89 8%以下(ペレット最大) 45 2
玄海3号 118 8%以下(ペレット最大) 45 3
フランス 90まで 3.0〜3.7% 42 0
ドイツ 140前後 3.1〜4.65% 48 2
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地震と原発・プルサーマル
1970年〜30年間に発生したマグニチュード5以上の地震
アメリカ 322回
フランス 2回
イギリス 0回
ドイツ 2回 以上、ISC(国際地震センター)カタログ1904~2000より
日本 3954回 (気象庁「地震年報」より)
つまり、ほとんど地震がゼロの地域でプルサーマルが実施されている。アメリカは地震の多い西海岸には原発をほとんど建設していない。
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