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プルサーマル問題の要点整理 [社会]

(31日:末尾にリンク追記)
読売に事前の電話取材をもとに私の意見が掲載されましたが,これはその時話した内容のほんの一部(以下の項目1のみ)に過ぎません.簡単に重要項目を整理します.海外で実例があると言っても,規模や富化度など条件が違い,「実験」であることに間違いはありません.新技術と言うものは何ごともはじめは実験なのですが,プルサーマルはそれを行うに値するものかどうか,という総合的な判断が重要です.

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安全性ばかりが取りざたされますが,これ以外に主要な項目だけでも5つあると思います.
1.原子炉としての安全性
2.核兵器との関連
3.放射能を環境に放出
4.使用済みMOX燃料の放射能
5.資源の節約になるか
6.経済性

以下,各項目について簡単にコメントします.

1.原子炉としての安全性の問題
世界最大級の実験.玄海原発は118万kWで,核分裂性プルトニウム富化度は6.1%.規模は,フランスでは90万kW級まで.ドイツでは144万kWまでやっているが,富化度は4.6%まで.

2.核兵器への誘惑の危険
六ヶ所村の再処理施設で新たにプルトニウムを抽出する.これがプルサーマル計画と一体である.「余剰プルトニウム解消」どころか逆に増える.

3.日常的に大量の放射能を環境に放出
同じく六ヶ所村の再処理施設では,例えば気体放射能は一つの原発の百万倍の放射能を放出することを見込んでいる.放射能は海中にも大量に放出される.また再処理によって放射能で汚染された物質の体積は増大する.

4.使用済みMOX燃料の放射能はウランよりたちが悪い
プルトニウム燃やすことによって,より重い,長寿命のアクチニドが多く生成する.放射能のレベルも使用済みウラン燃料より10倍程度高い.(MOX燃料とはプルトニウムを混ぜたプルサーマル用燃料のこと.)

5.資源の節約はわずか
経済産業省系のサイトでは元の燃料の25%を回収,としている.

6.経済性
これがマイナスであることは,経産省や電力会社も認めている.

当ブログの関連記事は,検索窓に「プルサーマル」を入れて下さい.

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追記:昨日のニュースでは,大臣が佐賀県を訪問して安全を「確約」したということですが,これはまるで,数学の定理が正しいことを大臣がハンコを付いて「確約」したと言うようなものですね.

(31日:リンク追記)
当ブログの主要関連記事:
プルサーマル公開討論会での発言
青森県産の米やニンニク等から放射線が出ると青森県が公認

九州電力が05年2月20日に玄海町で行ったプルサーマル公開討論会の佐賀新聞による詳報(05年4月2日付け,全面2ページpdfファイル)
http://www1.kyuden.co.jp/library/pdf/nuclear/pluthermal/toron/all.pdf

推進側サイト:日本原燃株式会社

原子力百科事典ATOMICA
(文部科学省の委託を受けて独立行政法人科学技術振興機構が運営)

批判派の側の有力サイト
美浜の会 ストップ・プルサーマルの部屋
京大原子炉 原子力安全研究グループ


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コメント 2

yamamoto

リンクを追記しました.
by yamamoto (2006-03-31 08:04) 

さざなみ

なんで貴方方は、中国のプルサーマル・核燃サイクルに一切批判をなさらないのですか?
by さざなみ (2007-02-08 03:18) 

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