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クリスマス・ムーヴィーズ―その2 [ぼくのシネマノート]

今日ご紹介するのは『ラヴ・アクチュアリー』、2003年の英・米合作映画だ。

過去のヒット曲のクリスマス・ヴァージョンで起死回生を狙う往年のロック歌手から、合衆国の言いなりになることに忸怩たる思いを抱いている英国首相まで、幾人もの登場人物のクリスマスを巡る思いや恋を描いたよくある群像劇だが、登場人物がやたら豪華なのと、混線しないように鮮やか描き分けられたストーリーで、見終わった後がすっきりさわやかなクリスマス映画である。

   

米大統領をぎゃふんと言わせてやりたい英国首相にはヒュー・グラント。
妻も子どももいないかれは、首相官邸の新人で言葉遣いはちょっと下品だけどこころ優しいナタリー(マルティン・マカッチョン)に恋をする。

      

ヒューの妹夫婦はエマ・トンプソンとアラン・リックマンだ。
そういえばリックマンが冷酷非常なテロリスト集団のリーダーを演じた『ダイ・ハード』もクリスマスを舞台にした映画だった…。

   

リックマンのオフィスで働くサラ(ローラ・リニー)とミア(ハイケ・ミカシュ)にもそれぞれ思いを寄せる男性がいる。

   

エマの友人クワイ・ガン・ジンことリーアム・ニースンが演じるのは再婚相手の女性を亡くしたダニエル。
かれは、義理の息子サムの恋の相談に乗るのだが、そのとき見せるヴィデオがなぜか『タイタニック』なのだ。
励ましてるんだか悲しませてるんだか^^;

    

まだ小学生のサムが思いを寄せる彼女は学校のクリスマス・パーティでマライア・キャリーの「オール・アイ・ウォント・フォー・クリスマス」を唄うのだが、これがまためちゃくちゃうまい。

   

かれは彼女のハートをつかみたい一心で日夜ドラムの練習をする。
く~、けなげだなあ~(涙。

恋人を弟に取られてしまったコリン・ファースは小説を書くためにひとりで別荘へ赴く。
そこでオレーリア(ルシア・ニモス)というポルトガル人の女性を秘書に雇うのだが、ことばが通じないために小さなトラブルが…。

   

『パイレーツ・オヴ・カリビアン』でブレイクする直前のキーラ・ナイトレイが演じるのは新婚のジュリエット。
夫の親友のマーク(アンドルー・リンカーン)がなぜか彼女に冷たいのが気になっている。

   

すっかり過去の歌手になってしまったビリー・マック(ビル・ナイ)は、クリスマス・ソングで一発逆転をねらうのだが…。
ちなみにビリーのPVはアレですね、なんて言ったっけ、ロバート・パーマーのヒット曲のパクリ^^   

   

陽気なアメリカ娘にもてることを夢見てアメリカへ出かけるコリン(クリス・マーシャル)のエピソードだけはさすがにやりすぎだと思うが、まあ監督が3人の美女をスクリーンに出したかっただけかも知れないなあ(笑。

   
   (この3人にはそれぞれ「アメリカのドリーム・ガール」「アメリカの天使」「アメリカの女神」と
    いうニックネームがつけられている)

そして、この映画もまた音楽の使い方がじつにうまい。
ジュリエットの結婚式で歌われる「愛こそはすべて」で始まってビーチ・ボーイズの「God Only Knows」で終わるのだから、スタッフの世代が推し量られるが(笑)、ジョニ・ミッチェルの「青春の光と影」が重要な役割を果たしたり、ベイ・シティ・ローラーズ、ポインター・シスターズからマルーン5まで素敵な曲がふんだんに使われる。
ヒュー・グラントのヘンテコな踊りまで飛び出して思わず噴き出してしまいそうになるのだ。

2003年 ユニヴァーサル 135分
DVD シネマスコープ(スクィーズ)
画質=★★★★☆(最高は★5つ、☆はオマケ)
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MORE

こちらの方があちらよりは記憶に新しいです。(当然か…)
ヒュー・グラントはこういうゆるいユーモア溢れる雰囲気の演技をやらせると上手いですね。アメリカ人には出せないタッチなところがハリウッドでももてはやされる所以だと思います。
エマ・トンプソンもこういう洒脱なコメディーをさらりと演じられるところが「大人の女優」だなあと思います。(ダイアン・ウィーストに通じるか?)
この映画が成功したのは同時進行のショート・ストーリーを上手に繋げているところですね。
こういう手法って日本映画では太刀打ちできる人っていませんね...
(黒澤の「どですかでん」と伊丹の「タンポポ」くらいしか良い作品は思いつきません)
クリスマス時期にケーブルかなんかで見つけたら見てしまいそうな作品ですね。
最近だとジュード・ロウでリメイクしたAlfieがありますが、あれはちょっと…でした。(謎爆)
by MORE (2006-12-23 12:32) 

DEBDYLAN

遼さん、こんばんは。
実は映画はあまり詳しくない私です。この映画はこの記事で初めて知りました。面白そうですね。是非、観てみたいと思います。
遼さんの記事からは、色々な事を教えてもらっている私です。ありがとうございます。
by DEBDYLAN (2006-12-23 22:17) 

MASA

この映画は確か「ブリジット・ジョーンズの日記」のスタッフが作った作品ですよね?ヒュー・グラント、コリン・ファースと出演してる役者さんも何人かカブってるし(笑)。残念ながら観てないんですよねえ。遼さんの記事を読んで観たくなってきました^^。
by MASA (2006-12-23 23:01) 

parlophone

MOREさん、いつもどうもです。
ヒュー・グラントってどうもよくわからないんですが、「ノッティングヒルの恋人」とかも大好きなんですよね~。
この映画のヒューもとっても魅力的(笑。
とくにあのダンスは最高でした^^

>クリスマス時期にケーブルかなんかで見つけたら見てしまいそうな作品ですね

それはいえますね。
オムニバス風なのでどっからでも見れるし、エピソードのひとつひとつも魅力的なので、ついつい引き込まれてしまいますよね。

>ジュード・ロウでリメイクしたAlfie

ああ、見てないなあ。
ロリンズのテーマで有名なオリジナルは素敵な映画でしたね。
by parlophone (2006-12-24 02:40) 

parlophone

DEBDYLANさん、こんばんは~。
そんなにお礼を言われるほどのことはないんですが、この映画はなんとなく「あ~、恋っていいなあ。クリスマスだし、好きな人に気持ちを打ち明けてみようかなあ~」と思わせる魅力を持ってますね。
音楽もいいし、ぜひ一度ご覧になってくださいね^^
by parlophone (2006-12-24 02:43) 

parlophone

MASAさん、どうもです。
ちょっと調べてみたら、たしかに
製作のティム・ビーヴァン、リザ・チェイシン(共同製作)、エリック・フェルナー、デブラ・ヘイワード(共同製作)
そして脚本のリチャード・カーティスって共通ですね。
全然知りませんでした。
ちなみにリチャード・カーティスはオープニングの結婚式のシーンでトロンボーン奏者として出てるみたいです^^

MASAさんがご覧になってもたぶん損はないと思います。
エンディングの「God Only Knows」が流れてきたときには思わずニンマリ、という感じでした。
ぜひお暇なときに見てくださいね。
by parlophone (2006-12-24 02:55) 

DEBDYLAN

DEB DYLAN REVISITEDです。
この記事とは関係ないのですが、他に連絡するところがないので・・・
事後報告でスミマセン。今日私が書いた記事で、遼さんの「紙ジャケCDの誘惑」の記事をリンクさせて頂きました。ご了承お願いします。m(__)m
by DEBDYLAN (2006-12-24 23:07) 

parlophone

DEBDYLANさん、こんばんは~。
ブログ拝見しました。
『BLONDE ON BLONDE』ゲットされたんですね。
95年の紙ジャケが霞んでしまうような素晴らしい復刻でしたから
さぞかし満足なさったんじゃないでしょうか。
ブログもDEBDYLANさんの日常生活が偲ばれる、とてもこころ温まる記事でした^^
by parlophone (2006-12-25 01:12) 

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