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SPEAK OF THE DEAD ~ RAGE [ ∟00's HM/HR]

最近毎記事のように書いておりますが・・・更新&ご訪問滞っておりましてすみませんです。

さて、今日はRAGEキターーーーーーーーーというわけで、私にとっては本年3つ目の傑作。ドイツの重鎮、RAGEの新作は、軸が変わっていないのに新しい、期待を裏切らない作品だと思います。これぞHeavy Metal!! な1枚。

 

まず本作の話題の一つは、オーケストラとの共演です。ちょうど10年前に「Lingua Mortis」というアルバムでチェコフィルとの共演アルバムを作成しておりますが、本作はその第2弾?ということなんでしょうか。その作品を聴いていないのでなんとも言えませんが、多分新作です。

前半22分、Suite(組曲) Lingua Mortis と題して、8曲でオーケストラサウンドとのコラボを聴かせてくれます。

ちなみに「Limgua Mortis」はラテン語で、これを英訳すると「Speak Of The Dead」ということになるらしい・・・ 更には、先日本BLOGで紹介した、ムソルグスキー作曲「展覧会の絵」に、「Con Mortuis In Lingua Mortua」(死せる言葉による死者への呼びかけ)という曲がありまして(バーバヤーガの前の曲)、実際96年の「Lingua Mortis」はそれにインスパイアされたもののようです。
 

そして始めに言ってしまうと、前半こそオーケストラとのコラボですが、後半はいつも通りの純度の高いRAGE節、メロディアスでヘヴィなパワーメタルをちゃんと聴かせてくれます。

早速曲紹介行ってみましょう。

 前述の通り、1-8曲目は組曲形式でして、その一発目、CD入れて初めて聴く音、「Morituri te salutant」は金管楽器の華々しいファンファーレです。これ聴いてまさかメタルのアルバムだとは思わないだろうな~な華やかさ、でも物語の始まり、まさに「開幕宣言」といえる曲です。

2曲目 「Prelude of souls」はピアノによる「リフ」から始まり、ドラムがリズムを刻み始め、更にギターも入ってくるのでロックらしくなってきます。本当のオーケストラによるオーケストラヒット、そして旋律やバックで弦楽器が華々しく演奏しております。まだまだ題名通りの「プレリュード」で、RAGEっぽさは出てこないですが、ビクターのギターは格好いいですね~

そして3曲目、「Innocent 」でピーヴィーの歌が入ってきてようやくRAGEだー!となります。これがまた哀愁を強く帯びたメロディとヘヴィネスが融合した佳曲です。本格的なメタルとオーケストラのコラボレーションですが、歌の部分およびRAGEな音の部分ではどうしてもオーケストラはシンセ・キーボードと同じような役目となってしまいますね。 でもそれがかえって違和感を感じさせないのかも。普通にメタルの曲として聴けます。

 叙情的な弦楽サウンドの4曲目「Depression 」を経てディスコード交えた凶悪でヘヴィなイントロから始まる5曲目「No regrets」は、重々しく絶望感すら感じさせるミドルナンバー。多少の希望が見えるギターソロから、オーケストラと絡んで荘厳に進む後半への曲展開はまさにドラマティック。

再びバンドサウンド主体で格好良さが光る6曲目「Confusion」、静寂に包まれた闇を思わせるオーケストラによる短いインストの7曲目「Black」に続いて最後を締めるのは・・・

これは名曲です。8曲目「Beauty」、久々に「泣き」が聴けるバラードナンバーです。まずメロディが泣いていますし、ヴィクターのこれでもかと言う「泣き」のギターソロには、涙を流すか鳥肌立てるかのどちらかしかないでしょう。まるで「祇園精舎の・・・」の琵琶みたいなアコギのフレーズや、絶望のみで終わるといった感のオーケストラによる壮大なフィナーレも、それぞれアクセントとして曲に色を添えますが、やはりこの曲は「泣き」の一言に尽きます。

オーケストラのコラボといっても、RAGE演出の劇音楽といった感で、こうして聴けばその点を強調してもやっぱりRAGEの曲だなあ、と思います。これまでのファンが聴いても「なにやっとるんだ」ということはまず無いでしょう。(多分。)むしろその音楽性の広さに感嘆してしまいます。

さて、ここまでがレコードのA面とすれば、ここからはB面、前述の通りRAGEらしい強靭なバンドサウンドが聴けます。

9曲目「No Fear」がまず素晴らしいです。ザクザクのギターリフで始まるイントロ、これぞメタル!聴いただけでヘドバンしたくなります。脳天というより腹、横隔膜を揺さぶるようなヘヴィな音が終始炸裂、キャッチーなサビやテクニカルなギターソロなど、メタルの美味しさが詰まりに詰まった、濃い1曲です。これも名曲だー!!

10曲目「Soul survivor」は疾走感とヘヴィネスの両立が嬉しいスピードナンバー、これまた格好良すぎです。ジャーマンらしいヒロイックさも感じられます。

11曲目「Full Moon」は、メジャーコード混じりのアコギによる前半が穏やかに更ける夜、といった趣を感じさせるかと思いきや、マイナーコードに転じて後、激しさ爆発といったアグレッシブなフレーズに変わる様は、題名通りまさに満月を見て変身し、暴れだす狼男を連想させます。聴きやすいけどダークでもあるサビのメロディも印象的な1曲です。

ロックな雰囲気だけでなくプログレっぽい曲調やいかにもジャーマンなヘヴィネスもある、多彩な12曲目「Kill your gods」、叫ぶようなピーヴィの歌い方もインパクトでかいです。

メロディアスという点では本アルバム1,2を争うミドルナンバーの13曲目「Turn my world around」は、泣きのAメロとテンポアップもして激しさの強調されるサビと、引き続き多彩さが光る1曲です。

14曲目「Be with me or be gone」も、プログレっぽいイントロから激しい縦ノリのAメロ、RAGEらしいメロディアスで激しいサビ、再びプログレっぽいギターソロと、聴き応え十分すぎて、もうおなかいっぱいですわ・・・

が、まだまだ、次でトドメを指してくれます。 ラストの15曲目「Speak of the dead」は、サビや基本のメロディこそキャッチーでメロディアスかつ激しさ抜群ですが、加えてノイジーなフレーズやディスコードが頻繁に出てくるあたり、私は新しさ、モダンヘヴィネスみたいなものも感じました。この辺が前作「Soundchaser」の音で留まらずに進化を続けていると感じさせる要因かもしれません。 

ボーナストラックで更に聴く者の度肝を抜いてくれます。11曲目「Full Moon」を、ピーヴィ本人が日本語で歌います! 題名もそのまんま「満ちし月」。 海外アーティストが自分達の曲を自身が日本語で歌う(カバーする)なんていうのは、私は他に例を知りません。凄いとしか言いようが無い・・・
 これがまた、ピーヴィの声なんですが日本人かと思うほど流暢です。歌詞も言葉が多すぎず足りないことも無くきちんと曲にあった語数になってますし、予備知識無しで聴くと日本のメタルかと思います。 ・・・まあドイツの方なので「ら行」が巻き舌になるのはご愛嬌(笑)。
 ちなみに海外で売られているCDでは、この曲のスペイン語バージョンとかドイツ語バージョンとかロシア語バージョンなんてのも収められているようです。

トリオ編成とは思えない、デスでもエクストリーム系でもないのにこの激しさと音圧、しかもメロディアスで、加えて強烈な個性を放ちつつ進化を続けるこのバンド、正統派のヘヴィメタルとしては最高峰と言っても過言ではない、と私は思います。

 
曲目:

01.Suite Lingua Mortis - Morituri te salutant (Instrumental)
02.Suite Lingua Mortis - Prelude of souls (Instrumental)
03.Suite Lingua Mortis - Innocent (Instrumental)
04.Suite Lingua Mortis - Depression (Instrumental)
05.Suite Lingua Mortis - No regrets
06.Suite Lingua Mortis - Confusion (Instrumental)
07.Suite Lingua Mortis - Black (Instrumental)
08.Suite Lingua Mortis - Beauty


09.No fear
10.Soul survivor
11.Full moon
12.Kill your gods
13.Turn my world around
14.Be with me or be gone
15.Speak of the dead
16.Michi-shi Tsuki (Bonus)

http://www.rage-on.de/

オフィシャルの中の↓で、「No Fear」がフルで聴けます。
http://www.rage-on.de/content/en/media.html

曲の一部ちょっとだけですが全曲が↓で試聴可。
http://www.nuclearblast-musicshop.de/album_info.php?album_id=133142

先日紹介のAMORPHIS「Eclipse」といい、IN FLAMES「Come Clarity」といい、今年は本当絶好調ですね、NUCLEAR BLAST (Europe)さん。


 

スピーク・オヴ・ザ・デッド

スピーク・オヴ・ザ・デッド

  • アーティスト: レイジ
  • 出版社/メーカー: マーキー・インコーポレイティドビクター
  • 発売日: 2006/03/24
  • メディア: CD
 
こちらの田舎のCDショップでも普通に売られているのにまだ写真無しですか?つれないなあ、AMAZONさん。 

というわけで恐らく本年最大の話題作、Queensrycheの「Operation:MindcrimeII」の陰に隠れて売り上げさっぱり、と言う事が無い様祈ります・・・ や、この内容なら杞憂ですな。 メタラーなら要チェックの1枚だと思います。

 


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コメント 2

てる。

こんばんわ~♪
トラックバックさせていただきました♪
あまり予備知識なく、HDDWできいていたら、
ん?これ日本語?なんておもってしまいました(笑)
軸のしっかりしてるバンドだから、いいですよね~。
RAGEはやっぱかっこいい♪
by てる。 (2006-04-04 00:53) 

stromblad

>てるさん
コメント遅くなりまして失礼対しました。nice&TBありがとうございます。あの曲、ファンサービスなのは明らかなんですが、手抜かずにしっかりやっていることもわかりますよね。曲がどうこう、演奏がどうこうとか言う気になれません。(あ、言ってるか) でも曲も、あれをやったRAGEも、おっしゃるとおり、手放しで格好いい!と思います。
by stromblad (2006-04-05 23:12) 

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