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はっぴいえんど 『風街ろまん』 [音楽(レビュー)]

一年以上の時を経て、こちらも少しずつですが復活いたします。

 

この間、THE BEATLESのアルバム

『SGT.PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND

40周年を迎えたとのニュースがあり、(リンク

何故か思わずこのアルバムを聴きたくなったのだ。

そ、言えば今日って6月9日=ロックの日だっけか???

気まぐれ失礼…

 

風街ろまん

風街ろまん

  • アーティスト: はっぴいえんど, ハッピイエンド
  • 出版社/メーカー: エイベックス イオ
  • 発売日: 2002/09/11
  • メディア: CD

 

「ロックに日本語の歌詞がノるのか?」

 

THE BEATLESが↑のアルバムで

「ポピュラーミュージックを根本から変えた」のであれば、

彼らはこのアルバムで先記の答えを楽曲で示し、

「日本の新たなポップミュージックシーンを動かした」

言っても過言ではないであろう…。

 

http://mu-mo.net/id/ihapy/

http://www.avex-io.com/happyend/

http://musicfinder.yahoo.co.jp/shop?d=p&cf=12&id=30078

 

 

時は30年以上も前の話。

細野晴臣大瀧詠一鈴木茂松本隆

彼ら4人が出会い、はっぴいえんどを始動したのは1970年。

放たれたファーストアルバム『はっぴいえんど(通称・ゆでめん)』

世に「完成した」と問うにはまだ浅かった。

 

それは音楽的時代背景として、

日本はもちろんのこと世界的にも

“ロック”についてのあり方を示す

新たな風が必要とされていたこと。

(THE BEATLESの解散、

 JIMI HENDRIXを始めとするミュージシャンの他界、

 日本における“ロックは日本語or英語”の論争はこの時期)

 

そして社会的時代背景として、

東京オリンピックの開催やそれ以降に伴うインフラ整備、

とりわけ東京を中心とした都市の変遷による

今過ごしている街への懐しむ想い…

 

これらを求められる時代に一つの答えを出すこと、

それが、この後に次代に先駆ける音楽を創る原動力となったのだ。

空想の都市『風街』。

ここにはあの時の幻想そのままに

今も生きた音が、生きた言葉が、

あたかも現実のように存在している。

 

 

これでもか!と言わんばかりに日本語の奥深さを詰め込んだ

歌詞の世界。そして内に激しいドラミングが印象的な松本氏 

一説に歌い難いとされる↑の歌詞を

滑舌よくわかりやすく、かつ大胆に歌い上げる大瀧氏

まさに天性の才能と言わんばかりの

ギタープレイで和洋折衷する鈴木氏

それらを具合良い間とタイミングでベースやピアノを加え、

ふっとあるヴォーカル曲で独特な存在感を示す細野氏

また、当時最先端だった8トラックのマルチレコーダー使用という

機材面での後押しも加わり、

名実ともに『もんすたあアルバム』の誕生となったのである。

 

 A-「風」

  01.  抱きしめたい

     煙を炊いて走る機関車と煙草をふかすぼくが重なり、

     遠くのきみのところへ向かう心地よいそよ風

     そのアツい心がついついきみを燃やしてしまうのだろうか…

 

  02. 空いろのくれよん

     あの空さえもキャンパスになってしまう

     この世界観がとても近くて届かない…

     この風邪ひきぼくの、あのヨーデルは

     思わずクシャミに聞えてしまうんです。

 

  03. 風をあつめて

    何気ない曲のようで、

    その時を生きたまま封(風)をした感覚が凄い。

    かなり挑戦的な歌詞と楽曲が垣間見え、

    敢えて難しい日本語、言葉を織り交ぜて

    あの空に音を放つ感じがとてつもない。

    映画Lost In Translationに使われたことで有名。

 

  04. 暗闇坂むささび変化

     麻布にある坂を舞台にしたヒトコマ。

     今でもももんがは見られるのだろうか?

     味わえるノスタルジーな感覚が

     新鮮ならぬ新風か?

 

  05. はいからはくち

     高襟(はいからー)白痴?肺から吐く血?

     一聴、ロックにかぶれたおバカなロックンロールチューン。

     実はきみに振られた哀しきひと時。。

     こかこおらのようにハジけた、この

     絶妙なことば遊び&音遊びがたまらん!

 

  06. はいからびゅーちふる

     先の後始末か???

     「はくち」の逆か(ギャグか)???

     ブルージーにヨレヨレなメロディが

     哀しくとも美しいか?

 

 B-「街」

  01. 夏なんです

     目に見えない日差し眩しい夏なんです。

     思わず蝉の声まで聞えそうな、

     思わず空から通り雨が降ってきそうな、

     そんな夏なんです。

     -日傘くるくる ぼくはたいくつ-

 

  02. 花いちもんめ

     かつての街を想わせる日常とともに

     まるで、竜巻や煙突が

     これから来る時代の変化を表すかのように

     揺さぶり、景色を変えていく…

 

  03. あしたてんきになれ

     先と同じく、未来の移り変わりに対して、

     このままでいてほしいという

     願望(天気)とも感じられるか。

     ファルセットな軽いタッチ

     雨天を連想させるような心地…

 

  04. 颱風

     台風第23号の接近だそうです。

     これはもはやハードロック

     どうやら風速40メートルらしいです。。

 

  05. 春らんまん

     個人的には彼等の勝利宣言とも聴き取れる

     言わば、和風カントリーロックとでもしておこうか?

     …そして日本のPOPシーンに次の春がやってくる。

 

  06. 愛餓

     「愛餓を」と表記されることもあるが、

     松本隆氏の直筆クレジットには↑になっているため

     こちらを採用。まぁ、「あいうえお」ってコト(笑)

     50音を歌にしたダメ押しともとれる楽曲。

     この曲も意味しているかは定かではないが、

     愛だ好きだを直接的に言わず、遠まわしに伝える

     とこが日本人らしいかな?

 

写真のアルバムのように、

その時やその瞬間をとらえ、パッケージングすることを

所謂、アルバムとするならば、この作品はまさにそうと言えるだろう。

メロディと日本語の調和。これの成功により

彼らは、彼らの体感したあの時を永遠のものにしたのとともに

新たな第一歩を歩みだしたのである。

ただ、裏返しに彼ら一人一人の旅立ちへの一歩だったのかも知れないが。

 

はっぴいえんど

はっぴいえんど

  • アーティスト: はっぴいえんど
  • 出版社/メーカー: エイベックス イオ
  • 発売日: 2002/09/11
  • メディア: CD

 

イエロー・マジック・オーケストラ

イエロー・マジック・オーケストラ

  • アーティスト: YMO
  • 出版社/メーカー: Sony Music Direct
  • 発売日: 2003/01/22
  • メディア: CD

A LONG VACATION 20th Anniversary Edition

A LONG VACATION 20th Anniversary Edition

  • アーティスト: 大滝詠一, 松本隆, 大瀧詠一
  • 出版社/メーカー: ソニーミュージックエンタテインメント
  • 発売日: 2001/03/22
  • メディア: CD

 

バンドワゴン

バンドワゴン

  • アーティスト: 鈴木茂, 松本隆
  • 出版社/メーカー: 日本クラウン
  • 発売日: 2000/12/16
  • メディア: CD

 

キャラメルママ

キャラメルママ

  • アーティスト: ティン・パン・アレー, 林立夫, 松本隆, 鈴木茂, 荒井由実, 松任谷正隆, 細野晴臣, J.ザルスキー
  • 出版社/メーカー: 日本クラウン
  • 発売日: 2000/12/16
  • メディア: CD
<COLEZO!>ザ・モップス VINTAGE COLLECTION

<COLEZO!>ザ・モップス VINTAGE COLLECTION

  • アーティスト: ザ・モップス
  • 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
  • 発売日: 2005/09/22
  • メディア: CD

 

「ロック・サーフィン・ホットロッド」+「レッツ・ゴー・モンキー」

「ロック・サーフィン・ホットロッド」+「レッツ・ゴー・モンキー」

  • アーティスト: 尾藤イサオ 内田裕也, 内田裕也, 尾藤イサオ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 2006/09/06
  • メディア: CD

 

ザ・ビートルズ

ザ・ビートルズ

  • アーティスト: ザ・ビートルズ
  • 出版社/メーカー: 東芝EMI
  • 発売日: 1998/03/11
  • メディア: CD


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コメント 4

deacon_blue

☆ 誰もそう思わないとは思いますが「風をあつめて」は明らかにプログレッシヴな音楽でした。そして今では見事なスタンダードです。日本語の輝きを正確に捉えた音楽の誕生(^o^)。
by deacon_blue (2007-06-09 10:33) 

鎚鋸

>HALさま
いつもお世話になります。
nice!ありがとうございました☆
by 鎚鋸 (2007-06-09 23:05) 

鎚鋸

>deacon_blueさま
初めまして!お越しいただきありがとうございます。

私がかつて案内した
“独自の解釈を加えた、先進的かつ難解なロック”を
プログレッシブ・ロックと言うのならば
あの「風をあつめて」もそうと言えるでしょうね。

あの時の情景をまるまる取り込んだ普遍的な音楽かつ
聴けば聴くほどストイックに響いてくる歌の世界が
たまらなく好きです!
個人的には自然と危険が共存するような。
by 鎚鋸 (2007-06-09 23:22) 

鎚鋸

>Rucciさま
お久しぶりでございます。
nice!ありがとうございました!!
by 鎚鋸 (2007-06-13 01:53) 

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