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KING CRIMSON 『IN THE COURT OF THE CRIMSON KING』 [音楽(レビュー)]

デビューアルバムというものは、
そのアーティストのファースト1stインスピレーションとなる一枚であり、
次回作以降への一つのハードルとなる作品でもある…
 
 
クリムゾン・キングの宮殿(紙ジャケット仕様)

クリムゾン・キングの宮殿(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

 
KING CRIMSONのデビュー作、
それは一つの完璧だった。 
1969年発売。今年で36年が過ぎ
当時ロックミュージックができて20年が経つ頃の出来事である…。
 
これはアルバムを“シングル曲集”ではなく、
“コンセプトを持たせて一つの作品とした”アルバムである。
 
それだけでなく、ロックでありながら、
ジャズなど様々なジャンルを取り入れつつ、
独自の解釈を加えた、先進的かつ難解なロックであるところは、
しばしばプログレッシブ・ロックとして語られる所以だろう。
 (プログレッシブ・ロックの意味や詳細はコチラにあるが、
  ジャンルの定義として未だはっきりと決まっていない…。)
 

01.  21ST CENTURY SCHIZOID MAN including: MIRRORS

 元の邦題は「21世紀の精神異常者」。しかしながら、

 当時来るべき21世紀を前にして“倫理上不適切な表現”を理由に

 「21世紀のスキッツォイド・マン」ということで治まっている。

 しかしながら、この演奏については

 サックスを絡めた強烈なイントロ、

 画期的なディストーションヴォーカル、

 中盤の緊張感あるユニゾンプレイ、

 そして、絶妙でギリギリいっぱいのリズムプレイ、

 どこを取っても治まるワケが無い!

 

02.  I TALK TO THE WIND

 邦題「風に語りて」

 先程とは打って変わって随分と落ち着いた表情。

 奏でられるフルートがそうさせるのだろうか、

 それともメロトロンの音がほんのりと安らぎを与えるのだろうか。

 でも、落ち着くからこその哀しみを味わえるのは

 この前にも後にも続く展開からして、

 こんな雰囲気こそ“無常”であるからに他ならないのだろう…。

 

03.  EPITAPH including:

      (a)MARCH FOR REASON

      (b)TOMORROW AND TOMORROW

 邦題「墓碑銘」

 先のアニメ『火垂るの墓』がトイレに行けなくなった映画であるならば、

 この曲は個人的にトイレに行けなくなった楽曲である。

 途方もなくとぼとぼと歩き続け、まだ見ぬ明日に恐れを叫ぶ…

 そんな惑い哀しむ様が壮大なスケールで描かれている。

 大音量を響かせてあらゆる音の虜になるもよし、

 極端に音量を絞って楽曲の本質を楽しむもよし、

 どちらにしても最高の恐怖感が待っています。

 

04.  NOONCHILD including:

      (a)THE DREAM

      (b)THE ILLUSION

 邦題はそのまま。

 LPで言うB面の最初の曲となる。

 いわゆるプログレ・クラシカルな楽しみ方を味わうのならば

 (個人的には)前の曲から1分ほど置いてから聴くのが味わい深い。

 全曲までの余韻を堪能し、次への心の準備を兼ねて…。

 私たちの住む地球から見る

 月面のあの廃墟な様を想像すれば良いだろうか。

 哀しみといっても、「EPITAPH」とは別の哀しみである。

 実際には3分ほどで終わる楽曲。それが、

 長編インプロヴィゼーション(個人的には“別曲”と切り離している)

 よってより深みのある楽曲となっている。

 

05.  THE COURT OF THE CRIMSON KING including:

      (a)THE RETURN OF THE FIRE WITCH

      (b)THE DANCE OF THE PUPPETS

  邦題「クリムゾンキングの宮殿」

 アルバムのメインテーマになる曲か。

 そう思うとそれまでがこの曲のための序曲に思えてしまう。

 今までの4曲で味わった恐怖や哀しみが

 一気に解き放たれるような感覚になれる。

 音としての開放とともに自分の心も解放される…

 その感動に涙腺が緩んでしまう。。

 

この作品以降のKING CRIMSONが

一体どんな作品を作っていくか、楽しみになるところ。

しかし、実は既にバンドとして分裂が始まっており、

結局、この1stが唯一のオリジナルメンバーでのアルバム

言ってしまえるのは皮肉だったりする。

しかし、だからと言って凄いアルバムが出せなくなったという訳ではなく、

『LARKS' TONGUES IN ASPIC』『RED』など

特に後期と呼ばれる時期において名作が生まれているのも事実だ。

これを機会にKING CRIMSONを聴いてみては?

 

ポセイドンのめざめ(紙ジャケット仕様)

ポセイドンのめざめ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

リザード (紙ジャケット仕様)

リザード (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

 

アイランド (紙ジャケット仕様)

アイランド (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

 

太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)

太陽と戦慄 (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

暗黒の世界 (紙ジャケット仕様)

暗黒の世界 (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

 

レッド (紙ジャケット仕様)

レッド (紙ジャケット仕様)

  • アーティスト: キング・クリムゾン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサルインターナショナル
  • 発売日: 2004/01/28
  • メディア: CD

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コメント 10

鎚鋸

>gackさま
nice!、TBともに感謝しています!
クリムゾンはまたレビューを作成する予定なので
よろしくお願いしますね♪
by 鎚鋸 (2005-11-22 23:54) 

rootwest

僕も大好きなアルバムです。
このレビューの気合いの入れ方最高です!!
by rootwest (2005-11-23 00:13) 

鎚鋸

>rootwestさま
初めまして、鎚鋸(つちのこ)と申します。
お褒めの言葉ありがとうございます!

このレビューは適度なペースで増やしていきますので
またお越しくださいませm(_ _)m
by 鎚鋸 (2005-11-23 07:29) 

気合の入った素晴らしいレビューですね。
私はKING CRIMSONはこの1stしか持っていませんが、とても大好きな一枚です。今後もクリムゾンのレビューを楽しみにしております。
by (2005-11-23 22:01) 

鎚鋸

>ファランさま
これはこれはようこそいらっしゃいました!
お褒めの言葉ありがとうございます!

いえいえ。私の方こそ
御レビューで紹介される楽曲は
知らないものばかりですので、とても参考になりますよ。
この気合が続いていくよう、気長にアップしていきます。
by 鎚鋸 (2005-11-23 22:23) 

KING CRIMSON・・・後世のバンドに
多大なる影響を与えた、すばらしいバンドですよね!
丁寧なレビュー、いつもながら感心です♪
by (2005-11-23 22:45) 

鎚鋸

>へなちょこカウボーイズさま
いつもお世話になっております!

素晴らしいバンドながら(といっても毎度のコトですが…
それ相応の気合を込めて書かせていただきました。
…そして私自身もまたハードルが高くなってしまった感が。。。
また近いうちにアップします!
by 鎚鋸 (2005-11-23 23:55) 

yubeshi

おぉぉぉぉぉぉぉぉ!クリムゾンだー!
このアルバムを初めて聴いた時の何とも言えない衝撃は忘れる事は出来ません。レビューも素晴らしいです。
by yubeshi (2005-11-25 23:15) 

鎚鋸

>yubeshiさま
ようこそお越しくださいました~!
個人的観点丸出しのレビューではありますが、
楽しんでいただきありがとうございます。
基本的にジェフ・ベック狂なので
そちらも近いうちにレビューするかも知れませんw
by 鎚鋸 (2005-11-26 01:08) 

鎚鋸

>CAMEL MILDさま
ようこそお越しくださいました!
nice!に感謝です♪
by 鎚鋸 (2005-11-28 00:49) 

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