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「MAHOROBA」上演記念ちょっとだけ古事記1 [┣宝塚作品関連本等の紹介]

月組公演「MAHOROBA」をより深く理解するために、「古事記」の本を読んだので、公演に関係のあるところを抜粋してみようと思う。
参考にしたのは、こちらの本です。

神と歌の物語―新訳古事記

神と歌の物語―新訳古事記

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2005/10
  • メディア: 単行本

舞台は、まず、イザナギ・イザナミの二神による、「国造り・神作り」から始まる。
舞台センターからイザナギ(瀬奈じゅん)、上手のスッポンよりイザナミ(彩乃かなみ)がセリ上がるが、それ以前、舞台には天女役の娘役たちが踊っている。
実際には、神世七代と言われる神々が、イザナギたちに先行して存在している。
最初に現れた神の名は、どうやら天の御中主の神(あめのみなかぬしのかみ)というらしい。天の中心にあるというこの神は、実体が見えない。ここから下るにしたがって、神々は実体を表し、そして男女神に分化し、同時に生殖を行うようになる。
こうして、生まれた、イザナギ・イザナミは、神々から使わされ、天の浮橋の上で、混沌の中に「天の沼矛(あめのぬぼこ)」を突き刺す。そして泥の中から滴った雫から、オノコロ島が誕生する。
天の沼矛は、この一度しか使用されない。
だから、瀬奈は沼矛を放置して、彩乃と踊り始めるのだ。
芝居の中で、幻想的なデュエットダンスが踊られたら、それは、男女の営みである…という宝塚のお約束通り、オノコロ島に降り立った二人は結ばれ、次々に国を生んで行く。
淡路島、伊予の島(四国)、隠岐の島、筑紫島(九州)、壱岐の島、対馬、佐渡島、そして豊葦原の瑞穂の国、つまり本州である。この八つを大八島(おおやしま)と呼ぶ。(北海道は含まれていないらしい。)
二人は、その後も小さい島を生んでいくが、舞台は、神々の創造へと進んでいく。
二人は、まず三十五柱の神を生むが、舞台では、今後の展開に必要な神に限定されているようだ。
海の神・大綿津見の神(おおわたつみのかみ)、水戸(みなと)の神・速秋津日子の神(はやあきつひこのかみ)、妹速秋津比売の神(いもはやあきつひめのかみ)。
そして、風の神・志那都比古の神(しなつひこのかみ)、木の神・久々能智の神(くくのちのかみ)、山の神・大山津見の神(おおやまつみのかみ)、野の神・鹿屋野比売の神(かやのひめのかみ)、
最後に火の神である火の迦具土の神(ひのかぐつちのかみ)を生んだ時、イザナミは陰部を火傷して、命を落す。
…と、ここで、重大なことに我々は気づく。
生む、という言葉を普通に書いてきたが、どうやら、本当に国や神を出産していたらしい、ということに。
本州まで産むとは…イザナミ、どんだけ、でっかいんだ…

そして、亡くなったイザナミを追って、イザナギが黄泉の国に行った話に繋がるのだが、ここは、ロマンチックな話ではないので、舞台ではあえなくカットされている。

簡単に書けば、黄泉の国において、決して姿を見てくれるなと言ったイザナミとの約束をやぶって、つい、イザナギが見てしまったら、既に蛆のわいた化け物のようになっていて、イザナギは千年の恋も冷めて逃げ帰った。それをイザナミは追いかけて、よくも恥をかかせてくれた、許せない、と激怒。それで、この地上の人間を毎日千人殺してやるとイザナミは言い、それなら毎日千五百人生んでやるとイザナギは言い、こうして、地上の人間は生まれ、そして死んでいくようになった。

黄泉の国の穢れを落すため、イザナギは禊をする。
左の目を洗うと、天照大神(あまてらすおおみかみ)、右の目を洗うと、月読の命(つくよみのみこと)、そして鼻を洗うと、建速須佐之男の命(たけはやすさのおのみこと)が生まれた。これを三貴神と呼ぶ。

少し先になるが、クマソ征伐の場面で、クマソの神として、火の迦具土の神(青樹泉)が登場する。
なんで敵の神に?と思うが、実は、彼の誕生によって、イザナミが死んだため、怒ったイザナギは生まれた火の迦具土の神の首を刎ねてしまう。
この時、刀や血から多くの神々が生まれたが、刀の柄に付いた血から生まれた神が、闇淤加美の神(くらおかみのかみ)と闇御津羽の神(くらみつはのかみ)、龍神であったり水神であったりする。
ショーでは、普通に速秋津日子の神らの次に紹介されていたが、実はこんなエピソードと共に生まれてきたのである。

【去年の今日】
「あかねさす紫の花」全国ツアー、前半の感想。
すごく細かく調べて、いろいろ検証しているが、つまるところ、中大兄皇子素敵!という内容なところが、我ながら、相当イタい…。


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菜緒

>夜野さま
私も以前、ちらっと古事記を読みかじったことがあります。やはりイザナミが日本を生み出したことにびっくりしましたが、その時思ったことはイザナミが「どんだけ、でっかいか」ではなく、丸い赤ちゃんを産むだけでも痛い(らしい)のに、あんなギザギザな島国を生むなんて、どんだけ痛かったことだろう?でした。大きさは・・・きっと小さく生んで大きく育てたのかな、と。(育つのか?)
by 菜緒 (2007-10-09 00:18) 

夜野愉美

菜緒さま
コメントありがとうございます。
もしかしたら、ジェル状だったり、ドロドロ状態で産んだものが、固まって大きな国土になったとか…まあ、想像すればいろいろと考えられますね。
小さく産んで大きく育ったというのも、納得です(笑)
by 夜野愉美 (2007-10-09 22:45) 

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