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O先輩のこと [雑感・その他]

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愛する人が急にいなくなる悲しみ

私の場合、愛する人ではなく、先輩だったのですが・・。


ある年の11月に入ったばかりのころ、幼馴染のKちゃんから電話があった。

一年前に、旦那の実家に住むことになり、埼玉に越してきていた私は、久しぶりに地元の友人の声を聞いたのだが、その内容は、高校時代のO先輩が入院していて具合が悪く、もし良かったら会いに行ってあげてね、というものだった。

忙しい毎日におわれていた私は、急に耳にしたO先輩の名前の懐かしさと、電話の内容に驚いたが、近々の休みに都合をつけて、面会に行くことを約束した。

それから二日後の忘れもしない11月7日の早朝、ねぼすけの私が5時半ごろ、ふと、目があいて起きた。寒い。窓の外を見ると、小雪がちらついていた。もう一度布団にもぐり、もう少し眠って、出勤した朝9時過ぎに携帯が鳴った。「先輩、今朝、なくなったそうです。お通夜はあさって。来れる?」

衝撃だった。なんと返事したかは覚えていないが、ちょうど面会に行こうとスケジュールをとった日が、まさにそのあさってだったのだ。そして、お通夜で会った友人たちから、詳細を教えてもらった。

進行の早い若年性のガンだったこと。

8月ごろ、地元の仲間たちで毎年恒例のバーベキューがあるが、今年はO先輩は「なんだか胃の調子が悪くって」とみんなにもらしていた。

そんな先輩を心配して、仲間たちは「病院に行ってこい」と強く勧め、やっぱり胃が悪かったと、沢山の薬をもらったらしいが、一月も経たないうちに、入院してしまったそうだ。

そして、たった二ヶ月の間に2度の手術。

「俺、死ぬのかなぁ」

と、毎日お見舞いに行っていたO先輩の友人にポツリと言ったそうだ。

先輩は、告知されていなかった。。

お通夜の会場受付の脇には、先輩の思い出の品が飾られていた。個人を偲んでもらうために、みんなで飾ったと言う。先輩はスキューバダイビングが最近の趣味で、ダイビングスーツや、海に潜って撮った愛らしい海の生き物たちの写真、大切にしていたカメラ・・。

卒業してから、ほとんど会うことはなかった。そんな先輩が、私たちの結婚式に来てくれた。式当日もあまり話すことはなかったが、みんなに囲まれて撮ったスナップ写真には、やさしそうに微笑む先輩が写っていた。それが最後になってしまった。

 先輩には看護士の恋人がいて、先輩の最期をみとるまで、尽くしてくれたそうだ。お通夜には、その姿はなかった。無理を言ってシフトを変えて看護していたため、今日はどうしても抜けられないということだった。

たった数ヶ月で家族を失って、呆然としたご両親、二つ年下の弟さんは、大粒の涙。どこに目をむけても、涙せずに入られない。

それから、先輩のお顔に、会わせていただいた。やせ細る暇もなく消えていった命の抜け殻。穏やかな顔。先輩の声が聞こえてきた。

人間なんて、いつ死ぬかわからないんだから、精一杯、生きろよ。

お前にはまだ、命がある。生きることに、手を抜くな。

先輩の顔は、そう言っている、気がした。


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コメント 8

>生きることに、手をぬくな
。。。。今、こうして生きているのも
奇跡ですよね。。。人はいつその終わりがくるかわからない。。
死と背中合わせに生きてると思うんです。。
だから今まで生きて来れた事も奇跡。。。。ですよね。
私も同級生の最後の顔を見て、そう思いました。。
by (2005-03-18 12:39) 

on_your_mark

同じ病気で若くして亡くなったH先輩を思い出しました。
やっぱり「最近コーヒーがまずい」と言っていたそうです。
スキーで転んで腰を打ったらしいのですが、それがいつまでも完治せず、
やっと病院に行ったところでガンが骨まで転移しているという診断だったそうです。
彼女の場合は告知されていたかもしれません。
婚約期間中にガンが見つかり、結婚することなく逝ってしまいました。
棺の中での彼女はウェディングドレス姿だったそうです。

(私が)退部したサークルの先輩だったので、退部以来全くお話をしていなかったのですが、
すっっっっっごいショックでした。
若い人が亡くなるのは辛いですね。
by on_your_mark (2005-03-18 13:08) 

ぽっかぽか

明日もし死んでも悔いの無い人生送りたいですね。
by ぽっかぽか (2005-03-18 13:14) 

猫ネコ

ここ数年 身近な人が続けて亡くなりました。大往生だった人、まだまだ若いのにと言われつつ逝ってしまった人、全くの突然だった人・・・ そういう方々を思うといつも 本当に悔いのないよう 間際に「いい人生だった」と笑って言えるように生きなければと気持ちを新たにします。人に迷惑をかけない程度に 好きなことをして生きていきたいと思います。
by 猫ネコ (2005-03-18 16:34) 

hanamizuki

はじめまして。ハナミズキです。
昨年秋、大好きだった祖母が亡くなった時のことを思い出しました。(94歳で大往生だったのですが)
> 人間なんて、いつ死ぬかわからないんだから、精一杯、生きろよ。
> お前にはまだ、命がある。生きることに、手を抜くな。
すごく重みのある言葉ですね。
毎日、「今、ここ」を精一杯生きること、大切にしたいです。
先輩のご冥福をお祈りしています。
by hanamizuki (2005-03-18 19:41) 

素人写真

何だかんだ言っても,生きていることは素晴らしいことなんです。
それを実感できれば,自ずと生き方も変わりますよね。
by 素人写真 (2005-03-18 23:13) 

umeji

本当に、いつもこのようなお話を聞くと、
命を粗末にしてはならないと痛感します。身近にあればなおの事。
人間は儚いけれど、光を失わない生き方をしたいものです。
by umeji (2005-03-18 23:36) 

ねこにん

>suzuさん
奇跡・・そうですね。
こうして私たちは、親しい人を見送るたびに
彼らから、最後のメッセージを受け取っていくような気がしています。

>switchさん
ほんとうですね。
先輩の分も、私たちがたくましく生きて生きましょうね!

>ぽっかぽかさん
同感です!

>猫ネコさん
「お前のおかげで~ いい人生だったと~♪
俺が言うから~ 必ず言うから~~♪」
(byさだまさし「関白宣言」)
なんか、急に思い出しました。

>hanamizukiさん
ようこそ、いらっしゃいませ☆
「今を生きる」という映画のタイトルを思い出しました。なんでだろ(笑)
観た事ありますか?おすすめは「マイ・ライフ」です♪

>飛行機雲さん
生きていることは素晴らしい・・ほんとうにそうですね!

>umejiさん
そうですよね。
そして、先にこうして逝ったちかしい人たちの魂が
私たちの進む方向を照らしてくれているように思うこともあります。

>ichiroさん
よんでくださってありがとう!
by ねこにん (2005-03-20 07:20) 

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