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廃油・塩析石けんの作り方 【その2】 ホットプロセス・塩析1回目 [├ 粉石けん・リバッチ石けん]

ディープ廃油を石けんにする際、塩析をして気になる色や臭いをある程度取り除く方法
step-1 として、ホットプロセスでの石けん化と塩析の1回目です。

全体のフローチャートと注意点は「その1 : 作業フローチャート、道具」の記事を参照ください。
手作り洗濯用粉石けんに関しては「ガイドライン」の記事もご参考に。

■目次
その1 : 作業フローチャート、道具
その2★本記事 : step-1)ホットプロセスで石けん化、塩析1回目
その3 : step-2) 塩析2回目・塩抜き(必要なときのみ)
その4 : step-3) 仕上げ: 粉石けん化 or 固形石けん化

※手作り石けんの作り方の基本をご存知の方を前提に、ホットプロセスの詳細は省きます。本サイトでは今のところ手作り石けん基礎の基礎の記事は用意していません。
他の詳しいサイトをご参照ください。→ 小幡有樹子さんのサイト

■手順---------------
分量等は廃油1000gあたりで示します。油を増減されるときは計算しなおしてください。
廃油とは、常温で液体のサラダ油、キャノーラ油などの揚げ物油の廃油を想定しています。他の油を足したりするときは再計算してください。エコナなどの健康系オイルを含むときの注意点は「その1 : 作業フローチャート、道具」の記事に戻って確認してください。

【材料】

ディープ廃油1000g (1kg)
苛性ソーダ140g : サラダ油で鹸化率102%相当
水(ホットプロセス用)400~500g :油の40-50%。精製水が良いけど水道水でも可
食塩(精製塩)200g :ミネラルの多い海塩、あら塩、岩塩はダメ
熱湯(塩析1回目用) 1500g : 油の1.5倍 水道水でも可


【道具】

ステンレス鍋5-6リットルほどの蓋つき鍋
↑を入れ子にして湯煎できる大鍋(あれば)10リットルサイズ
泡だて器、ブレンダートレースまでかき混ぜるための道具
耐熱プラスチックやシリコンのヘラトレース以降、塩析まで使用
苛性ソーダを溶かす容器 1リットルくらいのプラスチック容器
秤、加熱源(ガス火、IHヒーターなど)、ゴーグル、マスク、ゴム手袋

【手順】

step-1

  1. ホットプロセスで石けんを作る
    • 苛性ソーダ140gを分量の水(400-500cc)に溶かす。冷まさなくてよい。
    • 廃油を鍋で70-80度に温め、一旦火から下ろす
    • 苛性ソーダ水と油をあわせ、しっかりトレースが出るまでよく撹拌する
    • 湯煎か直火(超とろ火)で2-3時間加熱。
      20-30分ごとに様子を見て混ぜ合わせる。
      直火の時は焦げ付かないようにこまめに面倒を見る(水分を50%にしておくかIHヒーターを使えると気楽)。または加熱して毛布等で保温をこまめに繰り返す。
    • 透明感が出てもったり~マッシュポテト状(水分により)になったら終了。
      毛布などで保温して数時間置くとなお確実。
      ただし冷ましてしまうと後が大変なので温かくてタネが軟らかいうちに塩析を開始すること。
    • 写真:ホットプロセス開始~トレース頃~終了の頃
  2. 塩析1回目
    ※1回目は少し薄めの食塩水で弱めに塩析する。下記"注意&ポイント"も参照のこと
    • 1500gのお湯に200gの食塩を溶かす。
    • ホットプロセスの石けんが冷めていたら温めなおす
    • とろ火で加熱、撹拌しながら石けんにゆっくり塩水を加える。沸騰するかしないかくらいの火加減でゆっくり混ぜ続ける。
    • 石けん分がプルプルになり水分と分離し始める。塩水と石けんがよく触れ合うように大きく混ぜながら5-10分ほど加熱を続ける。
      混ぜないで加熱を続けると熱湯が石けんで蓋をされた状態になり、突然沸騰して吹き上がる危険がある。
    • 火を止め、自然に冷ます。急冷しないほうがよい。
    • 一晩~一日おく
    • 写真: 塩水を加えたところ、撹拌中、ヘラを差し込んで放置中
  3. (step-2)塩析石けん1回目の取り出し
    • 写真:
      左) 一日おいて固まった石けんを取り出す。鍋の周囲がきっちり固まっていたので菜箸で穴を開けて空気を入れてから、差し込んであったヘラで引っ張りあげた。
      中) やや弱めの塩析のため、水分を多く含んでがっちりとは固まっていない。丸のまま抜けずに壊れてしまったが、問題ない。
      右) 残った茶色い塩水は捨てる。過剰のアルカリが溶け出ている可能性があるので素手で触らないほうが無難

■塩析の注意&ポイント---------------

  • 今回は2回塩析する予定なので、1回目は薄めの塩水を多めに使ってゆるく塩析する。このほうが色が取れやすいのだとか(ホントかな?)。しかし石けんが軟らかくなって若干取り出しにくいので、取り出しやすくしたいとき、1回しか塩析しないときは熱湯1500gに塩を250gに増やしてもよい。
  • 塩析は水分が沸騰するくらいの熱をかける。加熱後はゆっくり自然に、中まで冷ますようにする。
    しっかり熱をかけたあと、時間をかけて温度を下げていくことで薄い塩水でもしっかり石けん分が固まり(塩水を吐き出し)、石鹸中への塩分残留が少なくなる。中心部が温かかったり、急冷すると水分の多いふわふわ石けんになることがある。
    外側が冷めたようでも内部の温度が下がるまでには時間がかかる。↑写真のステンレス鍋(パスタポット)は厚手のため、4-5時間経ってもまだ外側に温かさが残っていた。
  • 強アルカリに強いステンレス。でも意外なことに塩(塩化物イオン)に弱いので、塩析中のまま長期間放置しない。石けんを取り出したら直ちに塩水を捨てて洗うこと。(日常で塩分の濃い料理も鍋のまま放置しちゃダメ)
  • また、ステンレスは種類の異なる金属と長時間接触すると錆びることがあり、塩水との相乗効果絶大なので、ヘラ等を突っ込んだままにするときはシリコンやプラスチック製のものにすること

次回 【その3】 塩析2回目・塩抜き に続く!


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コメント 7

砂ねこ

素晴しい!
ホットプロセス石けんから続けて塩析できるなんて!
塩析後急冷するとふわふわになるとか、ステンレスはCl- に弱いとか
ものすごく役に立つ情報満載です!
プロフェッサーと呼ばせてください (_ _)
何とか廃油を入手してやってみたい衝動満々です
やはり「バイブル」出して欲しいです
私絶対買います!
by 砂ねこ (2008-02-22 04:01) 

ゆりくま

■砂ねこさん
HPから直接塩析できるっていうか、直接やらないと面倒っていうか。

ステンレスが塩に弱いってことは注意してみると鍋の取説にちゃんと書いてあるんですが、意外と知られていないんですよね。

プロフェッサーのバイブルですか・・・?
たいしたことない実験をもったいぶって説明する手法について。かな。
by ゆりくま (2008-02-22 20:37) 

よこやん

塩せきは沸騰するくらいに暖めて→ゆっくり冷ますとよいのですね。
この間作ったものは、冷塩水でふわふわでちょっと扱いにくかったから
今度はアツアツでやってみます。

ちょっとやるきになってきたかも~。
その3も楽しみにしています。
by よこやん (2008-02-22 20:45) 

ソーダライト

ほんとほんと、ぜ~ったい本を出していただきたいです。ブログだけじゃもったいないです。
私も絶対買いますよ。
きっと今までにない素晴らしい科学的石鹸作りのバイブルになりそうです。
きっとベストセラーですよ。
ゆりくまさんは科学のプロなので、出版してくださったら、石鹸の化学的なことを根本から学べる本になることでしょう。
今までの石鹸本とは違う、専門的観点からの書になりそうですね。

塩析の話から外れてしまい申し訳ありません。
by ソーダライト (2008-02-23 00:58) 

ゆりくま

▼コメントありがとうございます。

■よこやんさん
じっくり冷ますことで石けんの凝集が進むようです。どうしても早く出したくなっちゃうんですが、がまんがまん。

■ソーダライトさん
うーん。お言葉はうれしいですが、どうかなぁ。
では「屁理屈を人に読ませる17の方法」あたりを考えてみます。
タイトルに入る数字は素数がいいなぁ。なんとなく。
by ゆりくま (2008-02-23 21:53) 

ぶたさん

久しぶりにきてみました。。
ああ、なんとも熊さんらしい記事でした。
HPのりばっち記事みて懐かしく思いながら記事読んでました。
さすが熊さんのプロダクトプロセスです。
すばらしかったです。

昔自分がやってた時は、
1回目を25%位の濃い塩水で塩析してました。

水洗い乾燥の後に、
2回目は15%の温塩水でぐつぐつと暖め再塩析してました。
そのあとで再度の氷水洗い。
お玉で掬って、またまたフィルターで水切り乾燥。
ええ、ぼろぼろの感じのせっけんになりました。

これを生地の1割位のお水を入れて暖めた鍋に投入し更に
1割位のグリセリンを入れて溶解して、
火を止めた後に1割位のエタノールを入れて型入れしてました。
このエタノールは後で石鹸の乾燥をさせる時に、
水抜きを早くするためです。

それほど石鹸には残留しません。
この石鹸は細かい気泡が一杯できるので、
湯船に浮きました。

近頃少し落ち着いてきたので、また石鹸作って見ようかなそんな事
おもってます。

by ぶたさん (2008-02-28 21:34) 

ゆりくま

■ぶたさん

ああっ! お久しぶりです。
こちらからも中途半端にご連絡したきりにしてしまってごめんなさい。
また訪問いただけてうれしいです!!!

2回塩析するなら1回目をどうするかは結構悩みました。
時間短縮ならがっつり塩を入れてすぐ取り出せるくらいのほうがいいですよね。
塩水をたっぷり排出するのにも抵抗があって(といってもそんなに違わないですが)、台所の主婦目線で選んでみました。

そのまま全量固形石鹸にするならグリセリン大量投入もいいですね。エタノールとは。。。なるほど(メモメモ)
私も実験中に水に浮く石鹸作りましたよ。持った感じも軽くて不思議です。

また色々アドバイスいただけたら幸いです。
by ゆりくま (2008-02-29 12:48) 

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