SSブログ

Ryan Bingham 「Mescalito」 [Today's Album]

「Mescalito / Ryan Bingham」 (2007)
Click the Picture!

Mescalito

Mescalito

  • アーティスト: Ryan Bingham
  • 出版社/メーカー: Lost Highway
  • 発売日: 2007/10/02
  • メディア: CD

①Southside Of Heaven
②The Other Side
③Bread And Water
④Don't Wait For Me
⑤Boracho Station
⑥Sunshine
⑦Ghost Of Travelin' Jones
⑧Hard Times
⑨Dollar A Day
⑩Take It Easy Mama
⑪Long Way From Georgia
⑫Ever Wonder Why
⑬Sunrise
⑭For What It's Worth

現在ではネイテヴ・アメリカン・チャーチでのみ使用が許されている幻覚剤サボテンのペヨーテ。そのペヨーテを自省のために使用した時のみ感知できる境地を"Mescalito"と呼ぶらしい・・・。

唯一メジャー傘下で大物ルーツ系アーティストを多数抱えているLost Highwayから期待の新人。

今年の新人王決定!

これ以前に未聴ながら自主盤が2枚ほどあるようだが、今年メジャー・デビューだから権利はあるんですよね?ハゲた新人王のペドロイアさん?

いわゆるアメリカーナ系のSSW。まだ25歳ということだが、とてつもない奥行きが感じられる。その唄い回しにはDylanの影もちらつき、Woody Guthrieが持っていた放浪、Hank Williamsの孤高といったイメージが、繊細さも感じられる酒焼けした歌声から滲み出る摩訶不思議な若者。かといって彼の音楽は単なる古臭いフォークとかカントリーの焼き直しではない。Mark Ford(ex Blackcrows)のプロデュースとバックのThe Dead Horsesによって一体感のあるスケールのでかいルーツ・ロック・サウンドを聴かせ、聴く物を圧倒する。

Ryan BinghamはTexasの非常に貧しい牧場で育ち、経営に失敗した両親と共に荷物を解く間もなく町から町へと移り住む幼少期を過ごす。10代中ごろには牧童やブル・ライダーとしてロデオ競技で自活し始める。
幼少時からバーを経営する叔父の影響で音楽には慣れ親しんできたが、本格的にめり込んだのは17歳の時、隣人であったマリアッチ・マン宅に入り浸り、ウイスキーを酌み交わしながら(合法か!?)ギターを伝授されてからだった。
これらのHardな体験が彼の書く曲に投影されているのは間違いない。

Mark Fordも随所で素晴らしいサポートを聴かせているが、本人もかなりインパクトのある上手さより豪快さが目立つスライドを多くの曲で聴かせている。
①BluegrassやWoody Guthrie、Jack Elliottのプレイで聴かれる伝統的なフラット・ピック奏法とハーモニカのイントロにドラムのロールと心地良い歪みのエレキのオブリやマンドリンが重なる。ラストはアップテンポでバンジョーも・・・・。掴みとしては充分すぎるフォーク・ロック。
②アコギの弾き語りかと思いきや、The Bandのような粘り気のあるリズム隊にバンジョーやアコギによるスライドも絡めてくる。
③重たいリズムに豪快なスライドとバンジョーが圧巻なイントロ。リズムの裏を取るハンド・クラップにより勢いを増して、居場所を追われた孤独感が暴走する・・・。只者ではない。
④シンプルなバックに乗せて切々と訴えかけるスローな曲。ドブロを弾いているMike StarrってAlice In Chainsの人じゃないですよね?
⑤名も無きマリアッチ・マン直伝の哀愁のスパニッシュ調弾き語り。
⑥アコギのシンプルなリフでグイグイ引っ張るヘヴィーな曲だ。ブリッジ部ではスライドとフィドルで畳み込む。
⑦ロー・レンジでのTerry Allenのピアノが効果的な重たいエイト・ビートのアコースティック・ブギー。バンジョー、セロ、スライドと様々な音が聴かれるが決して煩くない。
⑧これもThe Bandを彷彿とさせるようなタメの効いたリズムにMark Fordのスライドが唸る強烈なロック・ナンバー。虐げられ、打ちのめされてきたRyanの“Hard Times”がここに凝縮。
⑩ファンキーなギター・カッティングに意表を衝かれるハードなナンバー。

悪い曲は無いのだが言わせてもらえば曲が多すぎ。2~3曲減らしてもらった方がグッとアルバムの密度も増すと思うのだけど・・・。私も年かな・・・。

Lost Highwayがどこまで我慢して使ってくれるかは微妙だが、このような逸材に出会える喜びを与えてくれたことには感謝したい。25歳の若者がこんな曲を書き、歌うことが出来るのに十以上年上の私には何があるのだろうか・・・?凄い良いアルバムだがなんか落ち込むなあ・・・。

過酷な体験がもたらした感情の吐露と自戒の叫びが聴く者を"Mescalito"へと誘う!


Lost Highwayのプロモーション用その1
「Southside Of Heaven」


その2「Bread and Water」


その3「Ghost Of Travelin' Jones」


その4「Take It Easy Mama~Sunshine」


曲名がわかりません!私にはCharlie Danielsの「Sweet Louisiana」をカバーしているように聴こえますが・・・。わかる方いらっしゃったらご一報を願います。


nice!(1)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 5

Mudslideslim

deacon_blueさん、ありがとうございます。
by Mudslideslim (2007-11-03 22:10) 

matsuda76

本年度新人王はRyan BinghamかLow Stars(バンドとしは一応新人?)か・・・
いや、今年のリリースもので今のところNO.1かも。
それぐらい好きで聴きまくっています。
最高!!!
by matsuda76 (2007-11-04 09:38) 

Mudslideslim

matsuda76さん!今回は意見が合って安心しました(汗)
いやぁ、ほんと、Ryan Binghamは新人のみならず全部ひっくるめても今年の1、2を争う出来と私も思ってます。

Low Stars、以前認知はしてたんですけど未聴。matsudaさんのコメント見に行きま~す!いつもありがとうございます。
by Mudslideslim (2007-11-04 19:37) 

オーディオおやじ

早速購入してみました。
声質はScott Thomas(Scott Thomas Band)のような雰囲気があって気に入りました。こういうのにおやじは弱いんですよね(笑)!クー(涙)っときちゃいますよ。
所々にTom Waitsっぽい雰囲気を感じてしまったのはおやじだけでしょうか?
T先輩も良かったとおっしゃってました!今年一番というのも納得です。
by オーディオおやじ (2007-11-23 07:13) 

Mudslideslim

オーディオおやじさん、どうもです。
私にはScott ThomasやTom Waitsは全く繋がらなかったんですけど、まあ良い物には変わりないということで・・・。こちらには中々登場してくれないですが、Tさんとはこの前あった時にちょいと話しといたんですよ!
by Mudslideslim (2007-11-23 14:54) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。