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日本と軍縮・不拡散 [国際法・国際関係]

28日から今日30日まで軍縮不拡散講座というセミナーに行ってきました。

0930時から1800時で、各日5個の講座がある、というハードなセミナーでした。高校の時にはできたことが今はできない。体力の衰えを感じました。

講師の多くの人が軍縮や不拡散に関連して実務経験を持っている方であり、軍縮・不拡散の現場で何が起こっているのか、ということが色々知ることができて面白かったです。

軍縮・不拡散は世界の大問題です。日本にとっても北朝鮮問題、中国の軍備拡張、アメリカの核の傘やミサイル防衛等など重大な関心事項にあふれています。軍縮・不拡散で何が起こっているのか、これは是非とも知っておくべきです。

 

思うことは日本人が考えている軍縮・不拡散、そして核兵器への見方は世界の他の国とかなり違うのかな、ということです。

多くの日本人にとって核兵器は廃絶されるべきものであり、核軍縮は世界の共通の利益のために達成されるべきものである、と言うことだと思います。

一方、世界の他の国にとって核兵器は自国の安全を達成するべき手段であり、むしろ核兵器によって対立国との戦略的安定が達成されている、というものです。

最近の日本でもこうした意見を聞くようになりましたが、まだまだ少数であろうと思います。こうした考えでは核軍縮に対する考えも日本と異なるものなるのは当然であり、核兵器は無くすと言った意見はなかなか出てくることは無く、難しいものとなります。

そして持つもの、持たざるものの意見が対立し、しかも核を持っている国のなかでも意見が異っています。結局に何もできないまま事態だけが進んでいく、と言うことになるのだと思います。

 

戦略でものを考える、ということは結局、利益でものを考えるということであり、つまり、自分の国に利益となる、または、不利益とならない、と言うことがあれば、自国・他国が核を入手する、または増やす、ということを認めることがあり得る、と言うことになります。

フランスは自分が困らないので中国にミサイルを売ることをしているらしいです、

米国は北朝鮮に核ももたれているのは嫌ですが、必ずしも自国への明白な脅威とならないので武力を使ってでも阻止する、ということは余りありそうにありません。

 

このような世界の情勢の中日本は何故核兵器の廃絶という美しいことがいえるのか、

日米同盟があり、米国の核の傘に入ってるせいであろうと思います。で、なければ大国たる我が国において核の脅威をさしたる気にすることも無く、周りに明確に存在している権力政治の中、それでも今多くの日本人が考えているようなことがいえるのか、僕にはよく分かりません。

ある意味、現在の世界で核の脅威を受けているのは日本だと思います。

欧州は冷戦が終わりEUができ、ソ連の脅威をも無いです、

日本はどうか、中国はさておくとしても、北朝鮮。韓国には打たないでしょう。同族ですから。中国は味方です。ロシアは敵ではないでしょう。米国は遠すぎて北のミサイルが届きません。じゃあ、今の北の核は何処に打つことを想定しているのか。

こうして消去法を使っていくと、残念ながら北の核の脅威を受けるのは日本である、と言うことになるのだと思います。

いきなり悲観論に陥る必要は無いと思いますが、現在こういう状況であることは理解しておく必要があるでしょう。

 

こうした中で日本は軍縮をどのように捉えるべきでしょうか。明らかなのは他人事ではないということです。あと、僕は普遍的な理念として核廃絶を考えるべきではないと言っているわけではありません。

しかし、その前提として今の現状を理解する必要があります、また、自国の安全保障も考える必要があります、

理想を達成することを考えたとき、その理想が皆に共有された当然のものとは思ってはならない、世界を自国の価値観で捉えることなく、現実を見る、

そうすると理想、目的と言ったほうが客観的で良いかもしれませんが、が達成されるためにあまりにも障害は多い、そのなかで今できることは何か、ということを考え少しずつ実行に移していくべきなのだと思います。

 

セミナーの最後で「軍縮・不拡散外交に必要なことは”忍”の一文字である」ということが述べられました。物事が進まないことに苛立ちすぎることも無く、粘り強く交渉などを行う、これしか軍縮を達成する道は無いのでしょう。

 

お土産で、つい昨日できたばかりの『日本の軍縮・不拡散外交』という白書を手に入れました。政府の書いた文章は眠いのであまりの読まないのですが、ちょっと読んでみようかと思います。

 

追伸:上の文章を読むと僕が核武装論者のように見えたりする方もいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。僕は日本は核をもつことの無いように願っている国民の一人です。

以上。


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sinken

コウタさんのところから来ました。わたしは、北東アジアの平和を考えるブログをはじめたsinkenといいます。
もふさんの軍縮不拡散講座の紹介とても参考になりました。

国際法というだけあって、米ソ冷戦下のソ連アメリカの軍事力削減という枠組みのままなんですね。

わたしは、平和的生存権の承認、戦争の違法化、平和主義に基づく近隣諸国間共生を求める必要がある。そういう軍縮です。
by sinken (2006-04-18 21:15) 

mof

sinkenさん、こんにちは。
軍縮は安全保障のいろんな問題の基礎、もしくは補完するもの、ということで、東アジアとかいろんな問題を考えるにもまずはそれ自体で理解しなくてはいけないのかな、ということで勉強しております。
よろしければまた訪れてあげてください。
by mof (2006-04-20 03:18) 

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