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外国人労働者拡充問題。そして文章の書き方? [国際法・国際関係]

+α「文書の書き方講座(っぽいもの)」

昔、どっかの討論大会に出たということを言いましたが、パソコンのデータを整理していたらそれが出てきました。大会終わったしいいや、ということでそのとき書いた文章を公開します。

テーマは「外国人労働者の受け入れを拡充するべきか」

その肯定・否定、両方の主張をそれぞれ千字程度で論じなさいを言われて出したのが、↓の二つの文章。

よくみるとそれぞれの主張を言われているのに、同じ内容しか書いていません。労力最小限作戦ですね。肯定派と否定派がどのようにして違えられているか分かるでしょうか?文章の後に、どのように文章を書いたかを入れました。


 日本は外国人労働者受け入れを拡充すべきである。

 「外国人労働者」は、主に高度技術を有した外国人労働者、単純労働者、不法就労者に分類される。現在日本は、高度人材については、積極的に受け入れる方針である。よって、単純労働者の受け入れが「拡充」の主な問題となる。外国人の受け入れを単純労働においても拡充すべきであるというのが、我々の意見である。不法就労者は取締りの対象であって拡充の対象ではない。

 理由は主に四点ある。

 第一に、日本は現在、中長期的な人口減少期を迎えつつあり、日本の経済活動を維持発展させるために必要となる労働力を確保しなければならない。日本経団連は、経済をより一層活性化させるに、外国人の持つダイナミズムを活用するために受け入れを拡充すべきであると指摘する。

 第二に、アジア諸国との激しい競争に打ち勝つために、日本の労働力も市場の変動に対応にできる必要がある。現在、製造業を中心として、就業しようとする日本の若者は減少傾向にある。必要な所に、必要な人材が迅速に動くことも国際競争に勝つ条件である。現在、国籍を問わず優秀な人材を確保し、戦略的に活用する重要性は高まっている。

 第三に、今後アジアとのより緊密な経済関係が期待される現状において、ヒト・サービスの交流に向けた取組みが重要になってくる。アジアでの経済活動の共通基盤形成に向けて、外国の日本に対する理解、日本人の外国に対する理解を促進するためにも、積極的な外国人受け入れが望まれる。日本は受け入れ態勢を規制緩和とEPAなどを活用しながら促進させる必要がある。

 第四に、日本と他のアジア諸国との現実の経済格差の中で、ヒトの移動を通じたサービスの輸出による外貨獲得はアジア諸国の重要な手段である。FTA/EPA交渉における相手国の重要な関心事項として、アジア諸国を中心に日本の労働市場におけるアクセス拡大の期待が大きい。

 以上のように外国人労働者を受け入れる要請がある一方、受け入れ拡充については懸念も存在する。犯罪の増加、将来的な雇用機会の縮小、外国人労働者を雇用階層の底辺部に固定化するといった社会構造の二層化などがそれである。

 しかし、こうした懸念は、外国人労働者受け入れの必要性と調整しながら、受け入れ制度を設計する段階で考えるべき問題である。貧困の温床となっている請負制度の見直しを図るなどの労働環境及び生活環境の整備、社会保障制度・外国人雇用状況及び移住環境の改善を行う必要がある。また、日本語学習の機会を提供し、コミュニケーションの能力の向上を図ることも重要である。そして、こうした外国人受け入れ態勢を構築しつつ、外国人受け入れを拡充するべきであると考える。

◆主なデータ入手先…外務省『外交青書(2005)』;外務省シンポジウム「『国境を越えた人の移動』 - 経済連携協定と外国人労働者の受け入れ - 」(2003年7月27日)報告書;経済産業省『通商白書(2005)』;経済産業省「外国人労働者問題-課題の分析と望ましい受け入れ制度のあり方について-」(2005年10月);厚生労働省『外国人雇用問題研究会報告書』


で、下が否定派の議論。構成殆ど同じですね。


 外国人労働者の受け入れは拡充するべきではない。

 但し、我々の意見は外国人労働者受け入れを永遠に拡充するべきではないというのではなく、現段階では、時期尚早であり拡充すべきではない、というものである。
「外国人労働者」は、主に高度技術を有した外国人労働者、単純労働者、不法就労者に分類される。現在日本は、高度人材を積極的に受け入れる方針である。よって、単純労働者についての問題が「拡充」の主な問題となるが、単純労働者の受け入れ拡充は行われるべきではない。不法就労者は拡充するべきではないのが当然である。

 理由は主に四点ある。

 第一に、外国人による犯罪の増加である。近年、留学生・就学生の受け入れ増加に伴い、不法就労・刑法犯罪の増加が指摘される。ただ、こうした犯罪の大半が日本での生活を維持できないことが直接の原因となっていることに留意される必要がある。

 第二に、外国人労働者には所謂3K(汚い、きつい、危険)と言われる労働に従事するものが多く、低賃金・長時間労働の常態化など劣悪な雇用環境を温存する一因となっている。雇用環境の調査や報告を促す制度の構築が現段階では不十分である。

 第三に、将来的な雇用環境が縮小される懸念がある。製造業中心に、低賃金・長時間労働をいとわない外国人労働者が多数浸透することにより、こうした分野における日本人の雇用機会が失われることが懸念される。

 第四に、社会構造の二層化がある。外国人労働者には低賃金労働への就業が多く、日本人との生活レベルに開きが見られる。加えて、彼らは日本語能力が低く、故に地域のコミュニティとの融合が図れない。また、社会保障費の未払いも多く見られ、将来的には犯罪の取り締まりと合わせて、年金など社会コストの増加につながる可能性が高い。

 とはいえ、本格的な人口減少時代を迎えつつある日本にとって、外国人の存在は重要である。しかし、受け入れ態勢を整備する前に、安易に受け入れを拡充するべきではない。低所得外国人労働者の社会が形成された場合、2005年にフランスで発生した移民の暴動のようなことが、起こらないとはいえない。労働環境の整備、日本語の習熟のためのサポートなども、地方の特区などで始まったばかりで、まだまだ国レベルでの制度は十分に整っていない。また、国民の外国人に対する理解も、近年深まってきているとはいえ、未だ不十分である。

 以上のように、わが国は外国人受け入れのための制度整備、及び国民の外国人への理解の促進を図るべきであり、安易な外国人労働者の受け入れ拡充を行うべきではない。

◆主なデータ入手先…外務省『外交青書(2005)』;外務省シンポジウム「『国境を越えた人の移動』 - 経済連携協定と外国人労働者の受け入れ - 」(2003年7月27日)報告書;経済産業省『通商白書(2005)』;経済産業省「外国人労働者問題-課題の分析と望ましい受け入れ制度のあり方について-」(2005年10月);厚生労働省『外国人雇用問題研究会報告書』


気をつけたのが文章の書き方。

問題はかなり大きいものなのに1000字しか書けません。すると、わかりやすく、かつ、内容をこめて、書かなくてはいけません。

これがなかなか矛盾することが多くて大変です。例えば、文中に「社会構造の二層化」ということばあります。

「外国人労働者の拡充は社会構造の二層化を招くことが懸念されるので妥当ではない」

ということを書くとします。文章は短いですがこれは意味が分かりません。そこで、その意味を解説しなくてはなりません。特にこれが他説ではなくて自分の意見を支えるときには重要です。すると文章は必然的に長くなります。

ちょっと抽象的ですが、ふと自分を客観化して「初めて読んだ人に伝わるか」これを常に考えながら文章を書いてください。

論点を必要不可欠な分だけ盛り込んで、一つ一つの文章を分かりやすく。資料を沢山調べたかはともかく、これには注意しました。

あと、構成がちゃんと見えることも大事でしょうね。

見ていただければ分かっていただけると思いますが。段落ごとに意味を与えながら書いています。そしてそれぞれで何が言いたいのかということを明示しているつもりです。

今回の構成は比較的良く使われる文章パターンで、

結論

結論の補足的説明

理由(今回は四点)

反論

それに対する回答

、ということで書きました。文章が苦手な人は段落ごとの意味づけを意識すること、および、文章の展開のパターンをいくつか始めに作って(もしくはどこかからか学んで)、その形に文章を当てはめることをお勧めします。

まずは形から。昔読んだ『ホンモノの文章力』というほんで、形を先に学んでそれを使っているうちにそれを自分のものとすることができる、という旨のことが書いてあったように思いますが、一理も二理もあるとおもいます。

まずは何も考えずに、

結論

理由(表現に自信の無いうちには理由と分かる表現をはじめに入れておく)

反論(「確かに」が一番便利かな)

それに対する反論(「確かに」と使うと「しかし」がこれに対応する。人間というのは不思議なもので、「確かに・・・しかし・・・」という表現を使うだけで「確かに・・・」の主張がダメなように見えます)

結論の確認(「以上より」、とか)

で文章を書くというのが文章をうまく書くコツだと思います。

これで、中身が無くてもとりあえず言いたいことを相手にわかってもらえます。よくいませんか?沢山勉強しているはずなのに、何を言っているのか分からない人。

僕はそれよりは、中身は無いけど言いたいことが分かる人のほうが良い様に思います。まだ議論で説き伏せられますから。

無論、分かりやすくて、中身のあるものが理想ですが。

ホンモノの文章力―自分を売り込む技術

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  • 作者: 樋口 裕一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2000/10
  • メディア: 新書


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