SSブログ

パリは燃えているか? [国際法・国際関係]

「パリは燃えている!」

こんなセンセーショナルなタイトルの記事がヨーロッパで書かれているそうです。

今フランスではフランス人の若者を中心に暴動行為がかなりの規模で起こっているみたいです。主な暴動発生地域となっているのはアルジェリア人など移民が居住する地域で、死傷者も出ています。主な被害は車に集中しているみたいです。パリ周辺だけで、6000台以上の車が放火されたとのこと。また、暴動も最初に暴動が起こったパリ郊外から全国に展開されているようです。

フランスは事態を重く見てついに「非常事態宣言」を布告、いくつかの都市では夜間行動禁止令が出されました。なんでも、アルジェリア独立戦争(54~62年)開始直後に制定されて以来、50年ぶりだとか。今、よほどすごいことになってるんですね。今のところ、ようやく事態が沈静化してきたみたいですが、予断を許さないみたいです。

ちなみに、タイトルに戻って、「パリは燃えている!」という記事について、フランス政府が反発しているみたいです。なんでも、事件が起こっているのは街の郊外で観光客の来るような場所は問題がない、だから無為に観光客の不安をあおるような真似はするな、というとのことです。

 

そんな問題じゃないっての。

 

そんなフランスの主張を当然のように無視して日本の外務省もフランスに行くときは気をつけろ、という注意を出しています。当たり前ですが。

 

さて、今回の騒動の中心となっているのは移民系のフランスの若者で、イスラム系が多いみたいです。しかし、この問題は欧州vsイスラムというような昨今をにぎわす問題と違う原因で起こっているようです。イスラムが多いのはフランスにもともとイスラム系の人間が多いことによるものでしょう。

むしり問題は労働移民問題としてみるべきであると思います。フランスは現在外国人労働者を受け入れる政策をとっていますが、彼ら移民系フランス人の待遇は良いとは言えないのが現状です。特に若者の中には職に就けないものも多く、その上、移民ということへの差別も存在しているみたいです。

この移民・外国人労働者問題は先進諸国の重要な課題といえるでしょう。先進国では労働人口が知識集約型のサービス業に傾斜して、工場等の労働者人口が足りなくなりつつあります。また、こうした製造関係の仕事において労働者の賃金を低く抑えるには外国人労働者は先進国にとって都合の良い人間なのです。また、彼らはもはや国民がやりたがらないような危険な、またはきつい仕事も仕事もやってくれます。

そういうわけで、彼らの所得水準は高いといえません。また、経営者にとって彼らは解雇しやすい人たちであり、社会的な待遇も良いといえません。また本国の人間からはやはり外国人として差別を受けてしまいます。

そうしたことに加えて、移民・外国人は治安上の問題として扱われます。彼らは集住する傾向があり、一概には言えませんがその集住地域の治安が他地域に比べてよくないと言われます。今回の事件はそうした考え(偏見?)を増長することになるでしょう。

加えて、本事件とあまり関係ないと思いますが、逆の厄介な問題として存在しているのが、本国の工場労働者等の問題です。経営者としてはなるべく安い労働者を雇いたいわけで、不満もあまり言わない(しゃべれない?)外国人労働者は、組合を作ったり、賃上げ要求をしたりする本国の労働者より、はるかに有益な存在です。そのため移民・外国人が雇われながら、本国労働者の首が切られる、という状況が存在します。たとえば隣国ドイツではポーランド系移民などの排斥運動が起こり、ネオナチの進展が見られるなど大問題になっています。

こうした問題はグローバル化の一連の中での人の流れの自由化として理解されることが多いようです。フランスは治安強化とともに、若者の雇用条件の改善実施を約束しています。

グローバル化経済の浸透の中、日本も移民問題は避けて通れないような気がします。今問題になっているのが、看護婦の問題です。医療現場では医者も足りないが、看護婦も足りない、しかもなり手がなかなかいない、ということでは移民によってこれを補充すればよいのではないか、という議論が出ています。そこで注目されているのがフィリピンです。なんでもフィリピンはお手伝いさんを育てて外国に働きに行かせるという、「人間輸出国」ともいうべき状態らしいです。

日本ではまだまだ移民への理解が十分と言えず、特に、中国人等の不法就労者問題から、治安上の問題を指摘する人が多いみたいです。しかし、日本は既に外国人労働者がいなくなると困る分野もあるらしく、このままグローバル化が進めば、移民問題は避けて通れないというの意見が多いみたいです。

ほかにも重要な問題として憲法問題・人権問題があります。人権の世界的な浸透のなかで日本の労働環境は問題視する声も出ています。移民を受け入れることになるとますます人権問題は出てくるわけで・・・

なんにしろ、これから日本にとっても移民問題は重要なテーマになるでしょう。その意味でも、フランスでの騒擾事件は他人事として見ているわけにはいけない、と思います。

ぜひ理性的な、実際的な議論を展開してほしいと思います。

 

そういえば、「パリは燃えているか」で有名なヒトラーも労働者問題をひとつのてこにのし上がったはず!・・・うーん、ちょっと無理やり結び付けすぎたか・・・


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 
共通テーマ:ニュース

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

『科学する麻雀』ホワイトハウス ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。