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去年マリエンバートで [ブック]


時事ネタです
でも、メイプルソープではありません

blogを運営していると、時の流れを痛切に感じます
クロード・シモンに続いて、この人の追悼文も書くことになってしまいました…

「去年マリエンバートで、僕たちは出会った」

去年マリエンバートで (写真は、LD版です)

(以下、朝日新聞より引用)
ヌーボーロマン作家 ロブグリエさん死去

フランスの前衛的な小説手法「ヌーボーロマン」の旗手として知られた作家アラン・ロブグリエさんが18日、心臓病のため入院していた仏北西部カーンの病院で死去した。85歳だった。
仏西部ブレスト出身。従来の小説の枠を打破し、ストーリーの一貫性に乏しかったり、心理描写を欠いていたりするヌーボーロマンの理論を確立した。サミュエル・ベケット、クロード・シモンらとともに50~60年代、実験的な小説を発表。代表作に「嫉妬(しっと)」「消しゴム」などがある。アラン・レネ監督「去年マリエンバートで」では脚本を手がけ、1961年のベネチア映画祭で金獅子賞を受けた。自ら映画監督としても活動した。 (引用終わり)

アメリカ文学にはちょいと疎い私ですが、昔(大昔)、大学の法学部法律学科でフランス文学を専攻したおかげで(笑)、仏文には滅法強いです

で、アラン・ロブ=グリエですが、この人もなかなかのマルチ・タレントでしたね
彼がテクスト/台詞で参加した上記「去年マリエンバートで」は、一言で表すと「格調高い」映画(そう、ハリウッド映画の正反対です)
「バロックの対位法のように映画を創り上げた」とかで、超難解ですが…でも、さすがフランス映画、オシャレ度は抜群でした(衣装デザインは、シャネル)

http://www.youtube.com/watch?v=YzXIozFK6Cw

ヌーヴォー・ロマン(=アンチ・ロマン)というのは、「クロード・シモン」の記事にも書きましたが、1950年代・60年代にフランスで栄えた現代文学の一派
で、その代表と来たら、やはり「新しい小説のために」というマニフェストを著したロブ=グリエを挙げるしかないでしょう
すべての物語は語り尽くされてしまったという危機感から生まれた「新小説(反小説)」の運動ですが、文学の地平を切り開こうと奮闘したのにもかかわらず、結局読者の嗜好から乖離して商業的には惨敗
文学上の先駆的な地位も、「魔術的リアリズム」のラテンアメリカ文学に奪われてしまいます


集英社版 世界の文学 25 ロブ=グリエ/ビュトール
ロブ=グリエの作品「嫉妬」を収録
この集英社版の世界の文学って、今から思うと斬新ですごいですね
ヌーヴォー・ロマンでは他にクロード・シモンとソレルス、さらに「エルロック・オルメスの冒険」で紹介したドノソやバースもセレクトされていました


迷路のなかで
覗くひと
祝・初文庫化ということでゲットいたしました(どちらもまだ読んでない…)
でも、講談社文芸文庫は(学術文庫も)、値段高いな~

今日の1曲
急遽、差し替えました
To The End 「トゥ・ジ・エンド」/Blur
http://www.youtube.com/watch?v=RvCIPpWFo7Y
ブラーを少し見直しました

パークライフ

パークライフ

  • アーティスト: ブラー
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2005/07/06
  • メディア: CD


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コメント 4

sknys

モバサムさん、こんばんは。
A・ロブ=グリエの『嫉妬』は〈新潮・現代世界の文学〉で読みました。
『幻想都市のトポロジー』も書棚にありますよ。
昨年、中央図書館の移転に伴うリサイクル市で
『迷路のなかで』(講談社文藝文庫)を貰って来ました^^;

ヌーヴォー・ロマンの功績の1つは客観描写は不可能と証明したことかな。
嫉妬に狂った話者(語り手)によって「世界」が歪んでしまう。
マンディアルグの『オートバイ』も3人称なのに辻褄が合わない。

逆に「世界」そのものが歪んでいたら?
‥‥という発見が「魔術的レアリスム」を生んだのではないでしょうか。
合掌。
by sknys (2008-02-21 01:23) 

モバサム41

ロブ=グリエも守備範囲とはさすがですね。
でも、新潮社版「嫉妬」なんて、私も現物見たことないですよ。

今回は、なかなか鋭いコメントです。
では、さっそく、コメント・アート・ガーファンクル(?)に登録…って思ったら、すでにリンク貼ってあった~(笑)
by モバサム41 (2008-02-21 21:24) 

ymine

モバサム41さん、はじめまして。
『去年マリエンバートで』をたどってお邪魔しました。
そしたら、なんと、ロブ=グリエ氏、お亡くなりになられてたんですね。

「集英社版 世界の文学 25 ロブ=グリエ/ビュトール」は好きな巻でした。もっとも、ビュトールの「段階」の方に夢中になってしまったのですが。

『去年マリエンバートで』は大好きな映画の一本です。デルフィーヌ・セイリグさんが素敵ですよねぇ。スラッとした印象が残るのですが、わりと小柄で、変な笑い声でした。(笑)
by ymine (2008-02-21 22:38) 

モバサム41

ymineさん、コメントありがとうございます。
ymineさんの「去年マリエンバートで」についての記事、とても参考になります。
ビュトールは、ついに岩波文庫化されたので、記念記事を書くつもりです(読まないで…笑)
by モバサム41 (2008-02-21 23:33) 

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