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『1950年のバックトス』 北村薫 [読書]

23の物語。
前回の短編集『紙魚家崩壊九つの謎』にがっかりだったので
それほど期待しないで読み始めたのですが
今回は「う~ん???」と思うようなことはありませんでした^^;
1995年から最近のものまで発表された順序で収録されてます。
私は後半の作品、ここ五年間くらいのものが好きです。

ラストは『ひとがた流し』に登場した女性の物語です。
思いがけずあの作品の余韻に浸ることができました。

『百合子姫・怪奇毒吐き女』
川原泉さんの「悪魔を知る者」を思い出した。
かわいい話です。

『眼』
身勝手な男の論理を身を賭してはねのける。
毅然とした女性の姿があざやかで魅力的です。

表題作『1950年のバックトス』
それまでさらさらと読んでいたのですが
この作品でグッと胸がつまってしまった。
野球というスポーツが媒体となる物語には弱いです。
50年もの長きにわたって心の底に封印していた
たいせつなものが偶然に導かれるように解き放たれる。
「ー 大阪球場でバックトスをした飯島節子といって下さい」
それだけでわかるはずだと節子さんは確信し
楓さんはそれを聞いただけで了解した。
「野球って、こういうものなんだね。
ー こうやって、誰かと誰かを結び付けてくれるものなんだね」

1950年のバックトス

1950年のバックトス

  • 作者: 北村 薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本

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