SSブログ

『まんまこと』 畠中恵 [読書]

まんまこと まんまこと…真真事・ほんとうのこと 


江戸は神田の古い名主の家に生まれた麻之助。
支配町から持ち込まれる騒動を幼馴染の色男・清十郎、
同心見習の堅物・吉五郎の三人の活躍で解決いたします。
  

 「しゃばけ」シリーズと同じように温かい手触りの物語でした。
主人公・高橋麻之助は22歳。
高橋家は八つの町を支配町としている名主で、古い家柄。
麻之助はただ一人の息子なので周りからの期待は大きく
本人も期待にたがわず生真面目で勤勉な若者であった。
が、十六になったとき、突然“お気楽な”若者に化けてしまった。

悪友、清十郎もまた町名主の息子。
涼やかな顔立ちと優しげな物腰の女好き。
吉五郎は武家の出で今は同心の家の養子となっており
お城の石垣よりも固い石頭。
三人は神田の道場で知り合った幼なじみ。
困り事が起こると三人はまとまって事にあたり
難を逃れてきた。

名主のもとにはさまざまな揉め事が持ち込まれる。
それを麻之助たちはどんなふうに解決するのか。
それが見所です。

麻之助さんはお気楽に見えてなかなか世知に長けてます。
そして人が悪いところがある。いいですね。
ケンカも強いし。

この物語には秘めた想いがほのめかされているようです。
それがさまざまな場面でほろ苦く浮き上がってくる。

そんな麻之助に縁談が持ち込まれる。
わけありの縁談相手はお寿ずさん、心優しき才女。
彼女には思い人がいる。
しかしその男は重い病でもう先が無いと医者に言われている。
そちらと縁組みすることはできない。
麻之助の名前をお寿ずの親に出したのは吉五郎であった。
お寿ずを麻之助に託したかった。(吉五郎には事情があり許嫁がいる)
そこにも秘めた想いがある。

芯の強いお寿ずさんが魅力的です。
その強い意志で恋しい男、水元又四郎の最期を看取りました。
死にゆく又四郎からお寿ずのことを頼むと言われた麻之助。
縁談は本人たちの意志を無視して着々と進んでいきます。

けれども、口に出せない思いが麻之助にはある。
その人は清十郎の父の後妻になっている。
「なんて…大事に、大切に思っていたんだろう」
折に触れ思い出す。
「ただ側にいる。
二人は墓に入るまで、そんな間柄なのかもしれない。」

シリーズはまだまだ続きそうです。
麻之助とお寿ずの成り行きが気にかかります。

 


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。