『クジラの彼』 有川浩

スウィートなラブストーリー六編の短編集。
『海の底』のスピンオフがふたつ、『空の中』からひとつ。
自衛官が絡む物語ばかり。

お堅そうな自衛官を登場させて、これだけ甘いっていうのも
なかなかいいんじゃないでしょうか。
女の子たちがかわいいです。

どうしても、スピンオフ３編が楽しみになってしまう。

「クジラの彼」は『海の底』の冬原の物語。
冬原は早々と結婚して子煩悩パパになっていると
『海の底』にありました。
合コンでの出会い、潜水艦乗りとの恋愛は障害が多い。
潜水艦の航行スケジュールは防衛機密。
次にいつ会えるかわからない過酷な恋愛です。

「有能な彼女」こちらもスピンオフ、夏木と望の物語。
望ちゃん、有能ですね。
『海の底』を読み、二人の出会いから見ていると、
ほほえましいです。
「遠慮なく怒れるのってすごい楽だって気がついちゃったの！」
それを受け止められる人間はあまりいない。
強面イメージなのに、若くきれいで有能な彼女に
引け目を感じたりする夏木くんが好きだな。

「ファイターパイロットの君」
『空の中』の光稀（ミキ）と高巳の物語。
今では結婚して娘がいるふたり。
娘の名前は「茜」　とてもいい名前です。
光稀の気持ちが伝わってくる。

「ロールアウト」
確かにトイレは切実な問題ですよね。
がんばる女の子が好印象。

「国防レンアイ」
腹筋割れてたっていいじゃない。
ホントにバカな男と寝なくて良かったよ。

「脱柵エレジー」
「だっさく」で変換してもこの文字は出てこない。
業界用語だもの。
ドラマチックなレンアイに酔う若者はこ
れからも絶滅することはないでしょう。

サクサク読めてとても楽しかったです。

クジラの彼

• 作者: 有川 浩
• 出版社/メーカー: 角川書店
• 発売日: 2007/02
• メディア: 単行本

 

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