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『一瞬の風になれ 第二部 --ヨウイ--』佐藤多佳子 [読書]

「俺さ、おまえとかけっこしたくて、この部に入ったんだよ」
連の言葉はまっすぐで気持ちいい。
「連は俺のエネルギーの源泉だ。」という新二。
天性の才能でスプリンターとして前を走っている連に
追いつきたいと願う。
友達であり、ライバル、そんな相手に巡り会えたふたりは幸運です。

100m一本だって走ってみなきゃわからないのに、
それが四人分あって、
おまけにもっとギャンブルなバトンが三回あるんだ。
4継ほど、やってみないとわからない競技はない。

あっさりした性格の連が4継(400mリレー)にこだわる。
ケガをした身体で無理して走ろうとする。
どうしても南関東のリレーに出たいという。
どうしてそうもこだわる?
意地を通したいだけのわがままなのか。
そうではなかった。
最後の大きな試合になる先輩のために走りたかった。



叱られる連を前に守屋先輩は、こう言います。
どこかで一ノ瀬に期待していたのかもしれない
自分にそんな気持ちが少しでもあったら、
一ノ瀬があきらめてくれるわけがない。
自分勝手でした、と唇をかみしめる。
いい部活だな。いい先輩だな。
一ノ瀬連が変わっていくわけです。

「ここをいい場所にしたかったんだ。春高の陸上部をな…。」
守屋先輩から新二は部長というバトンを受け継ぐ。

連の課題は基礎体力をつけること。
新二は練習の才能があるので
フィジカルをアップさせることは簡単なこと。
でも、連にはきつい。
新二の課題は走りの技術を身につけること。
連には天性に備わっているものを
新二はゆっくりと自分のものにしていく。

連の試合前の平常心と集中力は
宇宙人のようだと新二は思う。
新二は緊張でダメージを受けることは少なくなってきたが
集中力には欠ける。
対照的なふたりです。

ウェイト・トレーニングとサプリメントと
スポーツ小物を偏愛している新入部員、桃内くん。
本番直前、トイレに駆け込む新二に
「おなかによう効くテーピング」をするモモッチ、さいこー。

部活顧問、三輪先生、
通称みっちゃんの苦い陸上人生が明らかになる。
「夢が実現するようにいくらでも手は貸すが、
俺はおまえらの夢を先にみるようなことはしねえ」
夢を押しつけたりしないというみっちゃん、好きだな。

「走るの、好きなんだ」という谷口若菜ちゃん。
運動能力がないから、
マネージャーをやったほうがいいのかもしれない
そのほうが役に立つかもしれないけれど、
練習きつくても、タイム伸びなくても好きなの。
一生懸命な女の子。
新二が好きになるのもわかります。

大好きな兄、健ちゃんが大けがをした。動揺する新二。
どうすればいいのか、
混乱する新二を引き戻すのは連でした。

つぎの第三部、
ふたりがどんな‘かけっこ’を見せてくれるのか、楽しみです。

一瞬の風になれ 第二部

一瞬の風になれ 第二部

  • 作者: 佐藤 多佳子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/09
  • メディア: 単行本

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