SSブログ

『最後の願い』 光原百合 [読書]

連作短編集。
新しく劇団を作ろうとしている度会恭平。
メンバーを集める過程で、持ち前の洞察力と人間観察の鋭さで
謎を解いていくというお話し。
一話ごとにメンバーが揃っていきます。
役者、制作スタッフ、稽古場の提供者、スポンサーなど。
この趣向はおもしろかった。
ラストの語り手もわたしは好きです。

口当たりがよく読みやすい。
ミステリーとして期待しなければおもしろい本です。
「人間として、そういう行動は不自然だ」
という視点から想像力をふくらませて謎を解く。
でも、これだけでは、ちょっと無理があります。

ワタライとカザミのキャラクターの区別がしづらかった。
容姿や服装の描写でそれとわかるけれど、
もっとくっきりと書き分けることができなかったのかな。

「壊滅的に優しい」ショウジさん。
彼の最後の願いをかなえるためにとった手段。
それは残された者への救いにもなりました。

最後の願い

最後の願い

  • 作者: 光原 百合
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/02/23
  • メディア: 単行本

さだまさしの「もう愛の唄なんて唄えない」という曲の歌詞について
ワタライが辛辣な考察をする場面があっておもしろかった。
さだまさしの歌詞は完全主義の彼らしくきっちりと作り上げられています。
私にはそれがちょっと息苦しい。
きっちりしているだけに、見方を少し変えれば、簡単にひっくり返るような気がして。
…よけいなことでした。 


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0