『ハピネス』 嶽本野ばら [読書]
死にゆく女の子も見守る女の子も、たんたんと現実を受け入れていきます。
死を扱っているにも関わらず、何かを突きつけられるような強い印象が残らない。
私にはダメでした。
繰り返されるロリータ服の描写。これを使うのは一作品だけにしておけばよかったのに。
何度も使える手法ではありません。
作者のファッション通自慢なのかと思ってしまう。
祭壇を花で埋め尽くしてほしいという娘の願いを叶えるため
大好きだった赤とピンクの薔薇も飾ろうとしたところ、
祝勝会のようになってしまう、非常識だと思われると、葬儀社に拒まれます。
それを聞いた父親は感情をむき出しにして激怒する。
普段はめったに怒ることのない人なのに。
大島弓子『四月怪談』の火葬場での母を思い起こします。
彼女が一度だけ泣いたシーン。
「本当は、自分が作ったカレーを食べさせたかった」
彼が手元の残したものはカレーを入れて彼女が持ってきた鍋でした。
コメント 0