エンド・ゲーム 恩田陸 [読書]
「裏返さ」なければ「裏返される」。
裏返されたら、どうなる?
正体不明の「あれ」と戦い続けてきた一家。
最後のプレイヤーとなった娘が誘い込まれたのは、罠と嘘の迷宮だった…。
『光の帝国』の中の一遍『オセロ・ゲーム』で描かれた拝島親子の物語の続編。
穏やかな常野一族の別の顔ですね。
彼女たちが闘っている“あれ”とは何なのか。
はっきりと説明できるものではなく、存在を脅かすものとして現れてきます。
「裏返された」らどうなるのか。
“洗濯屋”と呼ばれる常野の人たちの仕事と同じような作用が働くと考えていいのかな。
母親の暎子の章と娘の時子の章が交互に描かれます。
章の幕切れが鮮やかでした。to be continued.
ハラハラしながら先の展開を期待してしまいます。
真実だと思っていたことがひっくり返り、またひっくり返る。
オセロ・ゲームをプレイしているような(拝島母子の比喩ではなくて)ストーリー展開でした。
おもしろかった。
読者をストンと納得させるような親切な説明は例によってありませんが
それはこの世界では、それほど重要ではない気がします。
登場人物達は“迷宮”のような、イメージの世界に迷い込んでいきます。
グロテスクでゾッとする迷宮。
恐怖に共鳴して震える柱。柱に吸い込まれるシーンがあります。
似ているシチュエーションがどこかにあったような…
Amazonのレビューを読んでいて思い出しました。萩尾望都「スターレッド」
謎めいた洗濯屋、火浦。
彼だけが真実を知っていて、拝島一家より有利に立っているように見えましたが
やっぱり彼女たちはタフでしたね。
今回は暎子の「グロリア」っぽいところがあまりなくて残念でした。
(「グロリア」はジーナ・ローランズ。
リメイクのS・ストーンじゃありません)
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