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ネクロポリス 恩田陸 [読書]

懐かしい故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。
死者たちを『お客さん』と呼び、
温かく迎えるヒガンという祝祭空間
英国と日本の文化が融合した
ファンタジックな世界で起こる連続殺人。
懐かしい死者との再会、精霊による恐ろしい儀式・・・。
次々と直面する摩訶不思議な現象に翻弄される生者たち。
めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。
朝日新聞社のネクロポリスのページです。
これを見るとイメージが掴みやすいかもしれません。

   

おもしろかった。好きな本です。
上巻の後半部分から一気読みでした。
欠点はあります。ツッコミどころも満載です。
きっと誰でも一言いいたくなるでしょう。

それでも、この世界はとても魅力的。
ワクワクしながら読みました。

アナザー・ヒルに初めて足を踏み入れるジュンと同じ目線で
読者も異世界に導かれていきます。
そこは死者の町。アナザー・ヒルでヒガンを過ごすと
そこに現れる死者に会えるという。
しかし、今回のヒガンはいつもと違う。
アナザー・ヒルの入り口にある大鳥居に
ぶらさがっている血まみれの死体。
そこはまさに聖域との境界線上。
次から次へと思いも寄らない出来事が続きます。
以下、ネタばれがある…かな。

   

ラインマンの名前は最後まで出てきませんでしたね。残念。
この本では彼が一番好き。
謎めいた彼も、姉と再会した後は、何だか幼く思えた。
もっともっと活躍してほしかったな。
主人公のジュンは印象が薄かった。意味もなく力を持ちすぎ。
死者はさりげなく出てくるだけかと思ったら、
ダイナミックにでてきた方もいましたね。
お爺ちゃん、とってもチャーミングでした。
死者の記者会見(?)なんだかのんびりしていておかしかった。

ツッコミどころは山ほどありますね。
几帳面な方にはお勧めできないです。
謎を生み出しそれを効果的にみせる腕は確かなのですが、
収める部分が弱い。
仕掛けに命をかけている恩田陸です。

「君は影に対する免疫がある」「君は我々の切り札なんだ」
こう言われてジュンは博士とラインマンと共に
祈りの丘を目指しますが、
その結果があれでは拍子抜けです。
3人の行為は全く意味がないですから。
いきなりの大円団です。

血塗れジャックはどうなったの?
フェードアウトって感じでしたね。
不気味な言葉を残しましたが。

ラストの不完全燃焼ぶりは
恩田陸の作品にはよくあることのようですね。
それでも、異世界を彩り豊かに見せてくれる部分はすごく好き。
イマジネーション豊かな恩田陸ワールド。
(今回は後味の悪い死人がでませんでした)

 

ネクロポリス 上

ネクロポリス 上

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2005/10/13
  • メディア: 単行本
ネクロポリス 下

ネクロポリス 下

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2005/10/13
  • メディア: 単行本

 


タグ:恩田陸
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コメント 10

けろろ軍曹

“プチBBS”にスバヤイお返事嬉しゅうございました。
      再放送は 教育TV(日)8:05~8:34
              総合TV(日)13:50~14:20 のようです。

『ブレイブ・ストーリー』の検索から辿り着いたら
ブログタイトルが『milk pan ,milk crown』…あれあれ?これは…!?

大島弓子も 『ハチミツとクローバー』『タイガー&ドラゴン』 も大好きな私。
遡ってROMしていましたが昨夜TV見ていてフト
MIYUCOサンも松尾スズキ好きなんじゃないかなあ?と何の根拠も無く思ってツイ初投稿。

恩田陸も秋里和国が表紙だった『六番目の小夜子』から読んでいます。
彼女も松尾スズキも’63年生。私達と同年代の感じ、すごくしますね。

ではまたお邪魔します。
by けろろ軍曹 (2005-12-15 13:58) 

miyuco

>けろろ軍曹
ブログタイトル、本当は『White Field』にしたかったのですが、
すでに大きなサイトがありますので、諦めました(*^_^*)v
『milk pan ,milk crown』は分かる人には分かるタイトルかもしれません。
この作品も大好きなんです。「ケープだったんだわ」というラストが好き。

恩田陸は今年になって読み始めたので、読んでいない作品がたくさんあります。次は「ユージニア」を読む予定です。楽しみ♪

またどうぞいらしてください。お待ちしております。
by miyuco (2005-12-16 08:57) 

nanayo

トラバ返しにやってきました。nanayoです☆
確かに、突っ込みどころ満載ですよね(^^;)
でも、それでも読んでて楽しめるっていうのは、
恩田さんこそなのかも。
広げた風呂敷をすみずみまでたたんでいこうとすると、
きっと800ページでも足りないすごい長編になってしまいますもんね。
by nanayo (2005-12-17 00:14) 

miyuco

>nanayoさん
読んでいただいてありがとうございます。
きれいに収める事ばかりを考えて
奔放な仕掛けができなくなってしまうならば
恩田陸の魅力が失せてしまいますよね。
それではつまらないです。
そう思いながらもついモンクを言ってしまってますが^^;
by miyuco (2005-12-17 08:14) 

香穂

はじめまして^^
初の長編ファンタジーなんですよね、この作品。
色々と疑問が残りましたが、とても面白かったと思います。
私も大好きです!!!
死者は静かなイメージがあったので、積極的な死者を見てビックリ&可笑しかったです。
確かに、お爺ちゃんチャーミングでしたねぇ☆☆
by 香穂 (2006-05-06 22:25) 

miyuco

>さくさん、はじめまして。
おもしろかったですよね!
これからどう展開するんだろうって、どんどん読み進んでしまいました。
本を読むって本当に楽しいと思いながら。
謎めいたラインマンもお気に入りなんです♥
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-05-07 17:12) 

トム

こんにちわようやくネクロポリス読みました。
最後がもうちょっと綺麗活、なんらかのカタルシスが得られるような締めくくりでしたら心に残る作品になったのですがちょっと残念です。
恩田さんの作品にはママあること、なんとなく同感です。
最後ページが足りなかったのか恩田さん自信が息切れして飽きちゃったかのかな。
ラインマンよいですねスナフキンにロードオブザリングのストライダー(馳男さん)をちょっと混ぜたような感じです。
by トム (2006-07-05 23:18) 

miyuco

>ホシさん、こんにちは
おもしろいストーリーでしたよね。ごちゃまぜのディティールも魅力的でした。
あの読ませる手腕はさすがだと思います。
ラストは…仰る通り息切れというかんじでした^^;
ラインマン、いいですよね☆
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2006-07-06 10:26) 

びっけ

恩田陸の本、初めて読みました。
上巻でBCRの「SATURDAY NIGHT」ならぬ「土曜日の騎士」が出てきたときは、読むのをやめちゃおうか・・・と思いましたが(笑)、最後まで読んでよかったです。
しかしまぁ、よくもこれだけ小ネタを出してくるなぁ・・・と感心しました。
これから、お稲荷さんを見るたびにオムレツが思い浮かびそうです。(^^;

ラインマンのストイックな感じ、私も好きです。黒犬も精悍で、いいコンビですね。

※ ジュンが「俺」というところだけ違和感ありました。なんとなく「ぼく」っていうタイプに思えちゃって・・・。
by びっけ (2007-05-28 22:04) 

miyuco

びっけさんってスゴイと思う!
初めての恩田陸体験が「ネクロポリス」なんて[!!]
ちょっとクセがあるし何しろ長いからとっつきくいかもしれません。
たぶん「光の帝国」か「夜のピクニック」から
読み始める人が多いのではないかな。
(ウチのダンナさんもこれ二冊で籠絡しました^^;)
でも、何と言ってもオススメは「チョコレートコスモス」
「ガラスの仮面」を読んでいる人にはたまらないですよ。
…ジュンくんは影が薄かったですね…
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-05-29 13:40) 

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