「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」 リリー・フランキー [読書]
表紙をめくると読みにくい文字で縦書きの
「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」
これがオトンの字かあ。
オトンが芸術を爆発させて書いたお品書き(読めない)と
息子の書いた暖簾に囲まれて小料理屋を開き、
毎日、自分の作りたい、食べさせたい料理を作っていたオカン。
自分の店を持てて楽しかったでしょうね。たとえ短い間だけでも。
九州で過ごした幼少時代の思い出から、
最愛の母を看取るまでを、描いた自伝的長編。
装幀・挿画・撮影…中川雅也 扉題字…中川弘治
「自分にとっては、この本は、おふくろの本だから、
できれば、雑に扱ってほしくないという希望はあります。
この本は、装丁も、挿画も、撮影も、すべて自分でやったんですが、
雑に扱うと、すぐに汚くなってしまうような、白地にして、
紙も脂がつきやすい、デリケートなものにしたのは、
そういう思いを込めたんです。」All About [話題の本]
生き生きと描かれている筑豊の炭坑町での少年時代。
この部分が好き。方言がいいんだな。
でも、リリーさんが書きたかったのは、オカンを東京に呼んで一緒に暮らし、
そのオカンが東京タワーの麓で眠りにつくまでの話。
「ボクが子供の頃から一番恐れていたこと。
宇宙人の襲来よりも、地球最後の日よりも恐れていたこの日」
「悲しみの始まりと恐怖の終わり」
病室でチューブにつながれたオカンの姿、一カ所だけ入るイラストが悲しい。
「母子家庭やったけん、子供の頃は、おまえマザコンやろうち言われるのが好かんでからオカンの話を人にようせんかったんよ。」「でも、なんで大切な人のことを想うていかんのやろうか?なんで好きな人のことを話して、気持ち悪いとか言われんといけんのやろうか。今でもようわからん。」
物語の最後のほうにほとばしるように書かれたこの文章に胸を衝かれました
「ボクの一番大切な人。たったひとりの家族。
ボクのために自分の人生を生きてくれた人。」
リリーさんの気持ちがあふれかえっています。
オカンの事を書きとめたいという強い気持ち。
オカンが好きだった相田みつをの詩。
彼の詩を好きになれない自分をしゃらくさい人間だなと思ってしまう。
骨身を惜しまずに働き、愛情を降り注ぎ、
素朴に生きたオカンのような人の心に届く相田みつを。
この本は、男性が読むのと女性が読むのとでは温度差があるんじゃないかな。
私の場合は、自分が男の子の母親なので、なおさらワンクッション置いてしまった。
自分はこんな母にはなれないし、
子供もこんなふうな感情を持っているとは考えないけれど
それでも、母親になってしまったんだから、なるべく長く生きなくちゃと思いました。
ハワイの豪華ホテルのプールでABCストアのポリ袋を頭にかぶり
(髪が濡れるのがイヤだから)
競泳用の水着を着て、筑豊弁で大はしゃぎするオカンたち一行。
もうサイコー
…ウチのオカアもこんなことやりそうだなと思ってしまいました。
(私の弟二人と妹は、オトウ、オカアと今でも呼んでいます)
豊崎由美さんの書評、この本のアフォリズムについての言及には、同感。
何か引っかかっていたのは、ここなのかとスッキリしました。
(アフォリズムって言葉、わかんなくて調べました^^;)
まだ立ち読みしかしてないけど、
すごくいいよね。
早く図書館に戻ってこないかな?
by dekochan-kyou5momo (2005-11-29 16:18)
私の住んでいる地域の図書館だと50人待ちくらい、
都内だと200人待ちの所があるくらいの人気だそうですよ。
学校の図書館は穴場ですね。
筑豊弁の言葉のリズムがすごくよかった。
リリーさんの文章をベタ打ちしていても心地よかったです。
by miyuco (2005-11-29 18:23)
miyucoさん、こんにちは。
『読書』のインデックスからお邪魔しましたら、東京タワーがあるわ~!ということで、TBさせていただきました。
私も、糠漬けの最適な漬かり具合のために夜中に起きる、なんてことはとてもじゃないけどできません。
というか、糠漬け自体一生漬けないかも(汗)
リリーさんの奥さん(彼女でも)になる方は大変だな~、と思いました。
ではでは。
by 真紅 (2006-08-25 22:40)
>真紅さん
ヒマにまかせて書き散らかした文章が多くなってしまって
管理できない自分のためにインデックスを作ったのですが
こういう形で反応があると嬉しいです^^
糠漬け…私も一生漬けないと思ふ…
コメントありがとうございました♪こちらからもTBさせてくださいね。
by miyuco (2006-08-26 16:02)