日暮らし 宮部みゆき [読書]
「いま、作家は二種類しかいない。
宮部みゆきとそれ以外。
そんな冗談が出るくらい売れている」
大沢在昌の言葉です。
あながち冗談ではないかもしれない。
最初に読んだのは「火車」
本の雑誌のレビューを読んで興味を持ったのかな。
今みたいに新刊が出るたびに
50人待ちになってしまうような状況ではなく、
図書館に普通に置いてありましたので、
既刊本を次々に借りて読んでいました。
「火車」は完成度の高い作品です。
直木賞は「理由」で獲りましたが、
「火車」のほうが直木賞にふさわしかったのに、
という事がファンの間では言われていますね。
私もそう思います。
タイトにまとまっているし幕切れも鮮やかです。
このラストに異論を唱える人がいるらしいですが・・・
う~んそんなこと考えられない・・・
本当のことなんて、どこにあるんだよ?
江戸町民のまっとうな日暮らしを翻弄する、大店の「お家の事情」
ぼんくら同心・井筒平四郎と、超美形少年・弓之助が、
「封印された因縁」を、いよいよ解きほぐす。
「ぼんくら」に続く、待望の下町時代小説!--------------------(帯より)
宮部みゆきの作品では、この「日暮らし」が一番好きです。
「日暮らし」は「ぼんくら」の後日談になります。
「ぼんくら」も好きだった。
大極宮の立ち読みコーナーで冒頭部分が読めますので、
ぜひお読みくださいませ。
冒頭の「おまんま」がとてもいいです。
悩めるおでこに平四郎が言います。
「大人ってのは、たまにそういう意地悪を
言いたくなることがあるんだよ」
本当にその通りです。
こういうセリフをさらっと言えるキャラクターを作ることが
出来るなんて素晴らしいと思います。
地に足をつけてまっとうに暮らしている人たちが
生き生きと描かれています。
魅了されずにはいられません。
「ぼんくら」で登場した葵に、
きちんとした人間としての輪郭を持たせて、
佐吉の気持ちを落ち着かせた、その成り行きも見事です。
佐吉さんが幸せになって本当によかった。
弓之助が物を計らなくなったのが寂しいです。
「計れば、ものとものとの距離がわかります。
距離がわかれば、ものの在りようがわかります。」
こう言っていましたが、
「佐々木先生はわたくしに、ものを計るという稽古は積んだ、
これからは、計れぬところをよく見て
考えるようにおっしゃったのです。
だから、もう計測はほどほどにしておけ、と」
日暮らしではこう言います。
弓之助とおでこのナイスコンビは今回も健在です。
お徳さんもがんばっていました。
長い物語のラストシーンもとても好き。
こういった終わり方を用意するなんて・・・
本当にうまいですね
宮部みゆきは小説界のイチローですよね!
「火車」、「レベル7」、「魔術はささやく」、「龍は眠る」、「蒲生邸事件」、「模倣犯」。
宮部さんの小説は結構読みました。
中でも「レベル7」は生涯に読んだ小説ベスト5に入りそうです。お勧めです!
「火車」は…、あんまり記憶に残ってないのですが、f(^-^;
いとこが大絶賛していたのを覚えています。
うん、また今度読み直してみようと思います。
今まで気づかなかったけど、これでnice!に登録できるんだろうか?
by ひろ (2005-09-02 19:59)
いや、何か勘違いしていたようです…。すいません!
by ひろ (2005-09-02 20:01)
「レベル7」 ラストがきれいですよね。好きな作品です。
時代物を外すと「龍は眠る」が一番好き。せつなくて暖かい物語だと思います。
最近出版される彼女の本はボリュームがあって高価なので、図書館を利用することになるのですが、待ち人数が多すぎて、手に取るまでに時間がかかってしまいます。なかなか読めなくてストレスです・・・
これだけ大勢の人に読まれている作家さんは本当に稀有の存在ですよね。
by miyuco (2005-09-03 08:13)