チルドレン 伊坂幸太郎

　こういう奇跡もあるんじゃないか？
　まっとうさの｢力｣は､まだ有効かもしれない。
　信じること､優しいこと､怒ること､それが報いられた瞬間の輝き。 
  ばかばかしくて格好よい､ファニーな「五つの奇跡」の物語。 
  短編集のふりをした長編小説です。
　帯のどこかに“短編集”とあっても信じないでください。
　--------------------(帯より) 　　伊坂幸太郎

トヨザキさんの発言　
「読んだばっかりのときは、どれだけ陣内のことが好きだったか。
みんな、陣内を忘れたのか！
（『夜のピクニック』の）融や忍にもっていかれちゃったのか！」
本屋大賞で「チルドレン」が５位だったことを受けて、
本屋大賞メッタ斬り！での豊崎由美さんの発言です。　
えっ、陣内ってそんなにステキなの？融や忍より？
と、図書館で借りてきました。
陣内ってステキでした　
私としては融や忍よりも好きです。

この性格は、桜木花道というか、ルフィというか・・・
陣内を逆さに吊して叩けば、
おそらく出てくるのは「失礼」と「無遠慮」だな　
鴨居くんにこう評される陣内。
彼は人間関係にハンディをつけない。
そこが破天荒な言動になるわけですが。
これだけハタ迷惑なのに魅力的な人物にお会いできて
とても嬉しいです。

「バンク」　学生時代のエピソード、
銀行強盗に遭遇した話。
「チルドレン」　
陣内は家庭裁判所の少年事件担当の調査官になっている。
陣内がそんなお堅い職業に就いているの？と驚きますが、
やっぱり相変わらずの陣内でした。
「レトリーバー」　永瀬は物静かな美青年。
生まれつき目がみえない。
そんな彼と恋人の優子と陣内の話。
陣内が永瀬のことを特別扱いしないエピソードが
すごくいいです。
「チルドレンⅡ」　
陣内カッコいいです。やってくれますね。
「俺達は奇跡を起こすんだ」
「そもそも大人が格好良ければ、子供はぐれねえんだよ」
爽快！
「イン」　
そうかそうか陣内はこうやってスッキリしたのか。

「目が見えないことにも、
下らないことでランク付けされることにも、慣れたよ」
と永瀬は言う。
「永瀬はいつだって平然としている。
落ち着き払い、動揺や、驚き、
下手をすれば感動からも無縁のように見えた。
だから、陣内君の言葉にびっくりして、
「え」と声を上げる彼の姿をみるのは、
滅多にないことで、得をした気分になる」
こんなふうに永瀬を見ている優子
（盲導犬のベスにも対抗心を燃やすのがかわいい）
永瀬をフツーに扱う陣内、陣内の振るまいを愉快に思う永瀬、
この三人が揃っている話がとてもいいです。
「僕にはこれが、特別な時間なのだ、と分かった。
この特別ができるだけ長く続けばいいな、と思う。
甘いかな。」

「いいか、これだけは言っておくけどな、俺は生まれてこの方、
ダサかったことなんて一度もないんだよ」
「大きい目をぎょろぎょろさせ、
殺気だった表情でステージに立つ陣内。」
「腰の位置のギターを、リズミカルに揺する陣内さんは、
勇ましくも優雅な姿に見えた。」

私がイメージするのは森脇真未味の作品に登場する人物達です。

チルドレン

• 作者: 伊坂 幸太郎
• 出版社/メーカー: 講談社
• 発売日: 2004/05/21
• メディア: 単行本

「侏儒の言葉　トイレの落書き編」　傑作揃いで笑いました。
『女子トイレは迷路になってんのかよ！時間が止まってんのかよ！』
女子トイレに行ったきりちっとも戻ってこない恋人に、呆れているのだろうか。
・・・最高！

タグ：伊坂幸太郎

コメント 4

コメントありがとうございました。

私も「文学賞メッタ斬り！」で笑いました～。
まぁ、それほど陣内に入れ込んでないんですけどね、でもおかしかった。
続編とか読みたいですよね。
by びー玉 (2006-06-14 14:45) 

＞びー玉さん
わたし、陣内が大好きなんですよ♡
続編書いてくれないかな。
by miyuco (2006-06-14 19:07) 

陣内いいっすね！
表紙の赤い服の人は陣内なんですね。そしてベスと永瀬。

やっぱり、ふるさとの景色を思い出しながら読んじゃいました。
レトリーバーの舞台の高架歩道（地元ではペディストリアンデッキとよんでます）、頭にはっきり思い描きながら読めましたわ。

チルドレンⅡに出てくる、バンドのギタリストとしての陣内、見てみたい！
by びっけ (2007-05-14 16:47) 

＞びっけさん
「生まれてこの方、ダサかったことなんて一度もない」
と言い切る陣内のギタープレイ、
さぞやカッコよかったでしょうね[ラブラブハート]
この表紙絵も大好きなんですわ。
nice!とコメントありがとうございました♪
by miyuco (2007-05-15 10:56)