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中原 中也 [読書]

http://www.sankei.co.jp/news/050525/bun072.htm

6/15付け朝日新聞夕刊に載っていた写真です。
<新発見まどろむ中原中也の写真 宮崎の詩友の遺品から>
「麦わらの上で靴を脱ぎ、
すね毛もあらわにまどろむ我の強そうな詩人
中原中也が、3歳年下の詩友・高森文夫を
宮崎県東郷町に訪ねたときの写真が見つかった」
「高森の述懐では
<まるで他の遊星から墜ちてきたようなこの男>
は朝から晩まで酒を飲みながら詩と人生を語り、高森に毒づいた」
写真を調べた詩人で中也研究者の佐々木幹郎氏は
「勝手極まりない中也を高森は一種の母性によって優しくフォローした。
酔って昼寝する姿を見て、寝顔はこんなにかわいいのにと
笑いながら撮影したのでは」とみる。

毒づく、勝手極まりないという言葉は
必ず中也に付いてまわるのね。
中也の成人してからの写真が
いままで2枚しかなかったなんて初めて知った。
17歳のときの有名な帽子姿の写真。
もう一枚は29歳で日本放送協会の面接試験を
受けた際の証明写真だそうです。
このまどろむ中也は25歳のときの写真でしょうか。

       湖上

     ポッカリ月が出ましたら、
     舟を浮かべて出掛けませう。
     波はヒタヒタ打つでせう、
     風も少しはあるでせう。

     沖に出たらば暗いでせう、
     櫂から滴垂る水の音は
     眤懇しい(ちかしい)ものに聞こえませう、
     ・・・あなたの言葉の杜切れ間を。        

     月は聴き耳立てるでせう、
     すこしは降りても来るでせう、
     われら接吻(くちづけ)する時に
     月は頭上にあるでせう。

     あなたはなほも、語るでせう、
     よしないことや拗言(すねごと)や、
     漏らさず私は聴くでせう、
     ・・・けれど漕ぐ手はやめないで。

     ポッカリ月が出ましたら、
     舟を浮かべて出掛けませう、
     波はヒタヒタ打つでせう、
     風も少しはあるでせう。



中原中也詩集

中原中也詩集

  • 作者: 中原 中也
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: 文庫

私の手元にある中原中也詩集は昭和49年角川書店発行のものです。
中学生のときに買ったのね。
「死別の翌日」と「曇った秋」にマークがついています。
ひとつだけ選べと言われたら今のわたしは「湖上」を選びます。


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