乳清タンパクとカゼイン [ヨーグルト・乳清タンパク]
乳中に含まれるタンパクはカゼインと乳清タンパクにわけられます。
チーズやヨーグルトを作ったときに固まるのがカゼインで、固まらずに上澄み(これを乳清という)に含まれるタンパク質を乳清タンパクと称します。カゼインの中にはαs1カゼイン、βカゼイン、κカゼイン等があり、乳清タンパクにはβラクトグロブリン、αラクトアルブミン、免疫グロブリン等が含まれます。
ところで、牛乳中に含まれるタンパクの比率はカゼイン:乳清タンパクが8:2でカゼインが多いのに対し、母乳はカゼイン:乳清タンパクが4:6で乳清タンパクのほうがカゼインより多く含まれています。これは、どういうことなのでしょうか。
牛は生まれてすぐに自分で立つことができることからもわかるように、ある程度、成牛と同じ機能を持った状態で産まれてきます。一方、人はかなり未熟な状態で産まれます。人の場合、あまり成長すると脳が大きくなってしまい、お母さんの産道を通れなくなってしまうため、頭の大きさが産道を通れるぎりぎりの大きさになったところで出てきてしまうといわれています。
牛は、産まれた後も、すぐに天敵から逃げられるようになるために、早く成長する必要があります。人はお母さんが守ってくれるため、ゆっくりと成長し、まだ未熟な機能を充実させていきます。ここに先ほどのタンパクの比率の違いの意味が見えてきます。
極端に言えば、カゼインは成長するための栄養としてのタンパク質であるのに対し、乳清タンパクは機能を育むためのタンパク質なのです。
すなわち、子供が早く大きくなるために牛乳を飲む場合、それは栄養(良質なタンパク質)を摂ることが目的なので、理に適っているといえます(ただし、これには反論もあります)。一方、ヨーグルトのように、その機能を期待して食する場合、「母乳のチカラ」のような乳清タンパクを強化することは、意味のあることなのです。
P.S.
乳清タンパクについてネットで調べる場合、人によって表記の仕方が違うので、気を付けなければなりません。"乳清タンパク"、"乳清タン白"、"乳清たんぱく"、"乳清たん白"、"乳清蛋白"、あたりをor検索して、取りこぼしのないようにしなければならないことがわかりました。
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