Vol.66 株価急落時の銘柄入れ替えについて
今回は、前回お話した、急落時は塩漬け銘柄を再生するチャンスということを踏まえ、急落時に銘柄入れ替えする際の注意点などについてみていきたいと思います。
まず確認するべきことは、その急落がどのような要因によって起こったのかということです。'07年2月下旬から3月初旬に起こった「世界同時株安」の場合、上海発と報じられたものの、4月上旬の時点で、上海株式市場の総合指数は、すでに急落前の高値を10%以上も上回っています。むしろ、米国の行方を世界のマーケットは注目しています。日本株を手掛けているなら、急落に起因する世界の変動が日本のマーケットにどのような影響を与えるかをしっかり抑えておく必要があります。その結果、右肩上がりのトレンド自体に変わりはないと判断すれば、個別銘柄を物色することになります。
日頃、値動きをチェックしていて、「一定水準を割ったら買いたい!」と思っている“リサーチ銘柄”をより丁寧に見ていき、必要以上に売り込まれている銘柄はないかをチェックします。ただし、銘柄によっては、自分がイメージしてきた一定水準という基準そのものが、急落時のシャッフルによって崩れていることもあるので、急落前までの常識だけで買いにいくのは時期尚早かもしれません。まさに、落ちているナイフを拾うことになってしまいます。
また、需給を意識することも大切です。同じ値段で、買いたい人と売りたい人が存在して売買が成立していく株式市場においては、その銘柄をいくらで買っている人が多いのかということがのちのちとても重要になってきます。株価が、もう一段値下がりしたとき、多くの人が買っている株価水準がひとつの抵抗線になって上値を抑えることになりかねないからです。
自立反発に加え、タイミングよく新製品開発などの好材料や上方修正も期待できるなか決算発表の日程が決定したり、レーティングの引き上げなどが発表されると、市場の関心がその銘柄に向きやすくなることもあります。急落前の株価水準にこだわることは判断を読み違える可能性があるので注意したいところですが、これまでその銘柄をリサーチしてきた努力は決して無駄にはなりません。例えば、第3四半期までの業績の進捗率をみて通期の上ブレが期待できるかどうか、信用の取り組みが改善されているかなどを手掛かりに、株価とともに、右肩上がりを崩していない市場においての“戻りの速さ”を考えてみます。
もっと具体的に言えば、塩漬け銘柄の戻り方と検討している銘柄では、どちらが早く、その先も期待できるかということです。
もちろん、銘柄ごとの上昇スピードを考慮して銘柄入れ替えを行う手法は、塩漬け銘柄にだけ使うものではありませんし、日頃から、急落時に備えた新規の買い付け資金があるなら、有望な保有銘柄はそっとしておくこともできます。
とにかく、個別銘柄には、戻り方に違いがあるので、急落時こそ、銘柄入れ替えのチャンスにできる可能性が高いことを抑えておきましょう。
1.急落時こそ、戻り方に違いがある個別銘柄の特徴を活かす!
2.急落時こそ、銘柄入れ替えのチャンスと捉える!
作者: 荻原 博子 (監修), 植木 靖男 (監修), 深野 康彦 (監修)
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野尻美江子
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