Vol.48 バランス型ファンドの使い方
資産分散できることが、魅力でもあり、弱点でもあるバランス型ファンド。今回は、実際に自身のポートフォリオに組入れるべき商品かどうかを意識しながら、バランス型ファンドの個性をみていきましょう。
私たちは、既に1人1人が異なるウエイトの預貯金(円資産)や日本株・外貨などの金融商品を持っているわけです。バランス型ファンドの投資対象はさまざまですが、必ず考慮しておきたいのが、それら既に保有する金融資産と大幅にダブらないこと。
プロに運用を任せる投資信託はコストが掛かるもの、分散した投資対象となることから余計に運用の手間がかかるバランス型ファンドの場合、信託報酬は高めの傾向にあります。自らも、投資しているフィールドに、わざわざコストを掛けるのはもったいない気がしますし、バランス型ファンドの魅力である分散効果が活かしきれない可能性が出てきます。
単独の投資対象のみに投資するファンドに比べて、急激かつ大幅な成長は期待しにくいバランス型ファンドだけに、長い目での分散投資効果と安定した値動きを期待する資金を向け、それに見合う信託報酬となっているものを厳選する姿勢が必要です。
つまり、バランス型ファンドは、「手間を掛けずにリスクを分散しながら投資することはできるけれど、運用コストというお金は結構掛かり、分散すればするほど、リターンも平均化されていく」商品なのです。
「それじゃ、バランス型はやめよ。」という声が聞こえてきそうですが、少額の資金で現状のリスクを低減することを目的とするならば、一定のメリットはあるはずです。日本株の比率が高いのなら、外債やREITの比率が高いバランス型を選ぶというように、自分自身のポートフォリオを鑑みて、反対の値動きが期待できる投資対象を組入れているバランス型ファンドを組入れることで、限られた資金でも、手軽に、資産分散効果を図れることができるわけです。ただ、ファンド選びは重要。建前ともいえる“基本投資割合”で判断するのではなく、実際の配分を重視しましょう。
一口にバランス型ファンドといっても、各ファンドには、6資産分散といいながら債券比率が高めだったり、株式への投資はあるものの外国株式には投資していなかったりと、実際の運用比率はさまざま。中身を吟味して、自分が期待するものに近いかどうか、組入れ比率の見直しは納得のいくものかなどをチェックすることが大切です。株式投資で身につけた相場観を活かし、将来が期待できるバランス型ファンドを厳選していけば、自身のポートフォリオをより強固なものに補強していくことができるはずです。
1.資産分散できることが、バランス型ファンドの魅力でもあり弱点でもある!
2.バランス型ファンドは、自身のポートフォリオの補完に活用したい。
作者: 深野 康彦
出版社/メーカー:講談社
価格: ¥ 1,365 (税込)
日本にいる私たちが活用できる金融商品は、何も日本株だけではありません。日本株の魅力も厳しさもわかったからこそ、視野を広げて最適なポートフォリオを追求してみては?
個人が活用できる数多くの金融商品の長所・短所が、一目でわかる内容になっています。ちなみに、本のタイトルは「お医者さんにもらった薬が・・・」のイメージで、“金融機関にすすめられた理解できない商品に、そのまま飛びついて後悔して欲しくない!”という著者であり、私の師匠でもある・深野のメッセージが込められています。“運用すること”に真剣な方にオススメ。
野尻美江子
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