SSブログ

夜学につき思うところ… <再掲載> [主張-時事]

は色々とあるのだが、昨今の夜学減少の流れとそれに対する世間の評価、報道の取り上げ方については、念のため事実と異なる点(と小生が信じてやまない深層部分)をはっきりと指摘しておかなければならないように思う。
長くなると肝要な主張したい部分が薄れてしまうので、とりあえず要旨だけを述べたい。

まず、世間の評価としてはこうだ。「大学全入時代を目前としてる今日、少子化や経済状況の変化に伴って夜間大学の需要が年々減少傾向にある。こうした中で、財政面の問題解決や多様化する大学のニーズに応えることが問われ、それぞれの大学はいわゆる「大学改革」と言われる大きな転換期を迎えている。その「改革」の一環として、需要のない夜間を潰してそこにかかっていた費用を他に移すことはもはや自明の選択である。」つまり簡潔に述べれば「必要がない所にお金をかける必要もないし、潰してしまえ」ということだ。この結果、ここ数年で関東近郊の大学では都立大夜間部、明治大二部をはじめ、次々と夜学は姿を消しつつある。そして遂に、都の西北・天下の早稲田大学も第一・二文学部の廃止、再編成、すなわち夜間部の事実上の廃止を決定したのである。
しかし、果たして「需要がない」と一概に言えるのであろうか?実際小生が最後の夜間生となった都立大では、小生が受けた人文学部夜間部の入試倍率は13倍を超えていた。早稲田の二文は…落ちた身なので何とも言えないが、人気が衰えているとは言い難い。
実際、夜間部を目指す受験生のうち、本当に昼間みっちり働いている勤労学生というのは今や2割にも満たないそうだ。都立大でも実感としてある。今朝のめざましテレビでは「経済状況は時代とともに変化し、今や必死に働かなくても数日の数時間のバイトで学費・生活費は稼げるようになった」と分析していたが、そうかもしれない。というよりむしろ、親が甘くなっている。他大は知らないが、うちについて知っている限りを述べると、地方から上京して下宿しているかつて「貧乏苦学生」と呼ばれていたジャンルに該当する学生たちは、むしろ都内在住の学生より金持ちだ。親からの仕送りに大部分を頼り、もちろんバイトもしているのだろうが、中には「料理はできないから大抵食事は学食かファミレスで済ます」という金の使い方をしている学生さえいる。
さて本題に入るが、小生の分析するところによると、大学側が夜学を廃止する理由としては、表面的には「需要がなくなった」と言っているが、内情としては以下の2点が大きな理由として考えられるように思う。
第一に、コスト面だ。やはりこのご時勢、利益追求の企業ではない大学という場においても、「経営」とか「コスト」とかが言われるようになった。そこで、手っ取り早く削減できるのは夜学であろう。遅い時間まで少人数のために授業を開いて教授を拘束して学生も別枠で取って…というのはやはり厳しいのであろう。
第二に、「大学のレベル維持」だ。これについては都立大の同窓会長だか学生部長だかにインタビューした際、はっきりと断言していた。つまりはこういうことだ。「憧れの都立大に入りたい!」「でも都立大は偏差値が高く、自分は合格できそうにない」「だから少しでも難易度の低い夜間も受けて、兎に角入れれば良い」ということだ。実際身の回りを見ても、「昼間部は入れなかったから夜間部を受けた」という学生ばかりだ。
そして、そういう本来都立大の入試では落ちている学力レベルの学生が夜間という入り口から入ってきて居候することは、結果として大学全体のレベルを下げてしまうのだ、とのことだ。都立大の場合、昼間部をA類、夜間部をB類と呼んで区別しているが、その先述したお偉いさん曰く、そういう学生は「C類」なのだと皮肉っていた。そして、そういう学生を排除するために夜間部はなくしてしまう、と。
実は都立大の改革はここ数年のドタバタに始まったことではなく、実は13年前の校舎移転の時から計画されていた大プロジェクトだったらしいが、その話はここでは割愛する。
というわけで、夜間は減る一方なのだ。しかし、小生はそこに、とりわけ後者の理由に非常なる憤りを覚える。
何故C類生は大学から拒否されなければならないのか。「どうしても大学に入りたい」という学生を排除する教育者こそ、大学に居候すべきではない。意欲があり夜間という特殊なスタイルを覚悟してまで受験している学生に対して、失礼である。
「ペーパーテストの学力」というたった一面の物差しで計ったらたまたま劣っているかもしれないが、小生の見る限り、C類生だから意欲も能力も昼間の学生より劣っているとは、とても言えないように思う。むしろ個性的な学生達が揃っているし、いつもいつも人とつるんでることもなく自分の時間、自分の活動領域、自分の目標を持っているし、意欲は昼間の学生に勝る人たちばかりだ。
そして、2割弱と言う少ない人数ではあるが、実際昼間働いて夜通っている社会人もいて、そういった人たちと関わることで得られる経験は貴重だ。我がクラスも、高校の教師、病院の職員、主婦、定年退職者…と、実に多彩な顔ぶれが揃っている。

実際、今日社会人の中で「夜学」の需要は、減るどころかブームと言えるほど増加傾向にある。その殆んどはビジネスマンが経営、法、経済といった専門分野の知識を長けたものにしたいがためのビジネススクールおよび大学院であるが、大学、そして高校の需要も決して少ないとは言えない。実際我がクラスには、「子どもがもう少し大きくなってから通おうと考えていたが、都立大が今年で夜間募集を打ち切るので、慌てて受験した」という方もいた。

ある教授も言っていたが、大学は何だかんだ言ってもやはり企業とは違い、利益追求よりも国民の教化、人に教え、人を育てるという大きな使命が最優先されるべき場所である。その中で、例えmajorityでないとしても必要とされている以上、夜学は残していくべきではないかと、私は考える。

結局長くなってしまった…


nice!(1)  コメント(3)  トラックバック(1) 
共通テーマ:学校

nice! 1

コメント 3

MARGARET

トラバありがとうございました。私の師匠の先生も「一人一人の心がけ」に渇を入れていらっしゃいました。「そんな優等生の小論文は要らない。」と。

私がやっているのは、自転車に乗ることと、コンビニの袋は極力断るなどです。廃熱利用を試みているコンビニも聞いたことはありますが、そういったコンビニに優遇措置をつけてもいいかもしれませんね。ここ最近の政府ががんばっているので。
by MARGARET (2005-05-27 17:39) 

角瓶

コメント&トラバ、ありがとうございます。都立大ですか、校舎がかっこいいですよね。人文学部というと、有名な宮台先生がいらっしゃったような。
我が早大社学は98%は普通の学生でしょう。たまーに年配の方をみかけますが、それはどこの学部も満遍なくいるので、めずらしいことではありません。あっ、二文は多いかな。私のような若者?で働きながら通ってる者はほとんどいないっす。今や早稲田はお金持ちの学校ですからねー。
まあ、あと残り1年弱、勤労学生生活を乗り切りたいと思います。。。
by 角瓶 (2005-05-28 17:40) 

俺

だいぶ遅くなってしまい恐縮です。
コメントありがとうございました。「そんな優等生の…」とおっしゃった先生、素晴らしいですね。
そして、都立大は…「メビウスの輪」を基調とした、バブル全盛期丸出しの作りになっております。無駄に馬鹿でかい時計が誰も見ないであろうにカチカチと動いて、そんなん稼動させなくていいから照明の一つでもつけてくれ、と言いたいくらい、少人数で地味な都立大を益々鬱蒼とした雰囲気にする照明の少なさ、これは中に入ってみて初めて気付くようです…確かに小生も初めて南大沢に来た時、陸上の都大会で上柚木に行った帰りでしたが、都立大の校舎かっこいいなぁ~と思ったりしました。
そして、宮台センセイはやはり有名なんですね。小生は大学に入って初めて知りましたが…確か一度だけ、一般教養の授業を取ったことがありますが、ノートの取りようのない学説マシンガントークに睡魔が打ち勝てなかったことと、最後の試験時に黒いキャップをかぶって登場し「なんだ、助教授のくせにこの服装は」と思ったことだけが記憶に残っております……
by (2005-06-05 03:20) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。