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CRTの終焉の時 [科学/技術]

電子情報技術産業協会が発表した4月の民生機器国内出荷統計によると、テレビ出荷台数に占めるCRT(ブラウン管)型テレビのシェアは、過去最低の52.0%に低下した。液晶テレビが43.3%、プラズマテレビは4.7%に伸びている。

既に、日本のメーカーはCRTの製造を終了している。まもなくCRTが50%を割り、液晶の方が上に来るのは時間の問題となった。

真空管がトランジスタに変わっても、CRTは唯一の真空管の生き残りといってもよいように生き残ってきた。CRTが完全に無くなるというのはまだかなり先のことになる(細々と残る可能性はある)が、主役交代ということになる。

考えたら、CRTは駆動するために20kV~30kVという高圧が必要であるが、液晶ではそれが不要である。(背面ランプにしてもそれほど高い電圧はいらない。但し、プロジェクタの場合は点灯時に10kV前後の電圧が必要である。(それでもCRTよりは低電圧))また、プラズマは放電のために数百Vの電圧が必要である。(それでもCRTよりは低電圧)液晶が一番低電圧で済むのである。(そのため、デバイスに対する信頼性が高まる、静電気の発生が少ないというメリットがある。)

液晶は動作が遅く、動画表示に向かない、と言われていたが、それも問題のないレベルになった。プラズマは原理的に偽輪郭が発生するが、これもかなり改善されてきた。(が、100%無くなることはない)技術はドンドン進歩している。そう遠くない時期にELディスプレイによるテレビが登場すれば、CRTは完全にとどめを刺されるだろう。(液晶に取って代わり、ELが中心になるだろう。やはり、自発光素子で低消費電力でなければ... 但し、現時点ではELは蛍光体の効率改善に問題が残っている。)

まさに今、時代が変わろうとしている。


(追記)
「SED」(表面電解ディスプレー)の発売を年末にも行うとキャノンが発表した。SEDも次世代のディスプレイ素子の一つである。原理は、CRTと同様であり、蛍光体に電子を当てて発光させる仕組みである。CRTの持つ「明るい」「応答速度が早い」という点を持っている。また、CRTよりも消費電力は少ないとされている。しかし、原理的には電子を射出するために、液晶パネルやELパネルのようなレベルまで消費電力が低減できない。どこまで健闘するのか注目である。(本命の素子ではなく、あくまでも「つなぎ」の素子にしかならないと思うのだが...)



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