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『ALWAYS 三丁目の夕日』(監督:山崎 貴) [映画]

映画について書くのは久しぶりだ。映画を観てないってワケではなくて、2時間かそこらの暇が見事に潰れるだけで何の感想もでてこないモノばかり観ていたのだ。そんなこんなで映画館に行く気力も失せつつあった為に、公開当初から話題になっていた『ALWAYS 三丁目の夕日』も結局レンタルで済ませるコトになってしまった。率直な感想は、映画館に観に行く程の価値はないと思うが、レンタル料330円を惜しむ程でもないといったトコロだろうか。可も不可もない“なんでも鑑定団”的なマニア知識の寄せ集めのようなズルイ作りだと思った。
昭和30年代の人情味に溢れる古き良き家族を描いている作品なのだが、高度経済成長の胎動というか希望の萌芽を建設中の東京タワーに託し、時折戦争の記憶をチラつかせるベタな展開は挑戦的な感じが全くない。
それほど遠くない過去を描く作品の難しさは、観る者の生きる世界、つまり約束された(今日的な)豊かさに向かう安心感というベースの設定にある。観る者の価値観に頼り過ぎるということだ。僕の視点から云えば、今日的な安心感からしか発生し得ない郷愁や哀愁は薄っぺらいし、貧弱なストーリーも気に入らないというコトになる。
そういう点でこの作品と対照的なのはやはり崔洋一の『血と骨』だと思う。山崎における現代は「何かが欠けている豊さ」という曖昧なものであるのに対し、崔のそれは「確実に存在する絶望的な状況」というのっぴきならないものであるような気がするのだ。
だからと云って『血と骨』の方がイイというわけでもない。『ALWAYS~』は、高度経済成長を支えた世代が築き上げたものの中で暮らす僕達が忘れかけた感謝の気持ちを取り戻すきっかけになるのかもしれない。


つづく


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