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第3章 13 サソリ座の少女

僕はあらためて星空に包まれた図書館内を見回してみた。

「ただでたらめに夜光塗料を塗ってあるわけじゃなくて、星たちはちゃんと星座になっているんだよ!」

舞波ちゃんは僕に言う。

「星座?」

「そう、星を見た昔のギリシャの人は星の光と星の光をつなげて、動物や人間の形に見立てたの。」

「じゃあ、あの大きく光っているのは?」

「ん?あれはオリオン座!星座の中でも特に大きい星座だね。」

「オリオン座ってなんなの?」

「ギリシャ神話の中では巨人になってるの。さそり座が登場するお話でもあるんだよ。」

「さそり座っていうと、12星座のひとつだよね?自分の生まれた日付によって決まる星座。・・・僕はたしか・・・。」

僕は自分の誕生日をおもいだして、12星座のうちのどれにあてはまるのか、考えてみた・・・。でも、僕がおもいだすより早く、舞波ちゃんがこたえていた。

「雅人先輩は、水瓶座でしょ?2月14日生まれ!」

「よく知ってるね!どこで聞いたの?」

「え?あ、モモがちょっと話していたことがあって、バレンタインデーでしょ?だから覚えていたの!」

「あ、そうかあ!」

僕の誕生日はバレンタインデーなのだ。まあ、だからと言っていままで特別関係のある人生は送ってないんだけど・・・。

「舞波ちゃんは何座なの?」

「私はサソリ座なの。オリオンの神話の中に登場するの。そんなにたいした役じゃないけどね。でも12星座ってみんな以外と端役の事が多いんだよ。」

「ふ~ん。でもちょっと聞いてみたいな。オリオン座の神話・・・。」

「いいよ。私でよければお話するけど・・・。」

「舞波ちゃんがしてくれるの?お願いします!」

「ふふっ!ありがと!じゃ、椅子に座ろう?」

がらがらっと椅子が木の床に引きずられ、音をたてる。

僕たちは大きな地球儀を囲むような形で隣合わせに座った。

淡いオレンジ色に照らされた舞波ちゃんの横顔が、とても可愛らしく感じた・・・。

「じゃ、お話するから、聞いててね?」

「うん。」

「え~、うん、コホンッ!」

舞波ちゃんは小さく咳払いをすると、話始めた・・・。

                                    ・・・つづく

 

 


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