事件簿Ⅰ しまった!コイニオチタ [あの日から今日まで]
≪ミステイク≫仕事、車の運転etc…慣れてきた頃が一番ヤバいらしい。そういう私も例外ではなく、ある日の午後 重大なミスを犯した。正確に言えば嫌がらせだったのだと後で判明するのだが…。その時はそれと気づく余裕がないほどパニックになる。
営業事務。文字通り営業をサポートすべく事務方の業務をこなすのが役目であり、新人(中古ではあるが)の私は営業課長と若手の二名を担当していた。
営業先から至急品で発注があったりする場合はメールが入る。当日発送の締め切りは午後三時。その為午後三時に毎日メールチェックをする事が義務付けられており、当然この日もチェック済みであった。
しかし!その日課長はパソコン不携帯で営業に出たらしく先方よりFAXで本日発送の指示があったのだ。発送手配を終えた午後六時過ぎ、席に戻って青ざめた…!!! 発送先は宮城県の仙台 目を疑った。
嘘でしょう? この地域は今から発送しても指定の時間に間に合わないのである
そこへ、計ったように帰社した課長に「発送したか?」と尋ねられ、今FAXに気づいた事、今からでは間に合わない事をまず伝えた。
すると当然、烈火のごとく怒りとも罵声ともつかないお叱りを受けた私は「申し訳ありません」絞り出すように詫びた。
その様子を100枚以上ある発送伝票に荷受印を捺印のために窓口にいた”彼”も驚いた顔して見ていたのだ。
そして、何故か怒りの矛先が”彼”にまで及んだ・・・。
「おい!本当に無理なのか?」
「そうですね。明日中なら何とか…」
と”彼”が言いかけた言を葉遮るように、今度は私に怒鳴った。
「他の運送屋をあたれ!それで駄目なら俺が走る!お前も同行だぞ」
その課長というのが実は食わせ者で、もしも私が正真正銘の新人であったならセクハラ問題になっても不思議ではない程の発言や行為が日常茶飯事にあった事を時々”彼”に愚痴っていたので元々印象がよくないところでのこの「他の運送屋…」発言に”彼”はキレた。
「契約料金では無理ですが、別便なら何とかなります。料金は多少掛かりますが、営業の方が突然に直接持って行かれたらトラブルがあったと先方に伝わりませんか?他をあたって無理でしたら連絡ください。必ず明日の朝一番で配達しますから。」
そう言って”彼”は帰った。 もう一度来ることになるのを予測して。
結局、その予測通り”彼”に電話することになった。
当然掛かるものだと確信していた”彼”は用意周到にこう言ってくれた。
「適当に返事だけしながらよく聞けよ!今、他のヤツらのトラックに全部荷物を振り分けて俺のトラック空にしてそっちに行くから荷物用意してくれ。それと会社の方に俺が積み残した荷物があるって電話入れてくれたらそれでいい。後は俺が路線のトラックを追いかけるし最悪、そのまま走ってでも何とかする。」
「はい、それではお願いします。」
それから六時間後に「完了!」と電話が入った時こそが
≪ムカつく男≫にコイニオチタ瞬間である。
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