深まる疑問 [あの日から今日まで]
≪そのうち話すよ…≫そう言って以来、特にお互いのプライバシー関る話題にどちらともが触れず、ありきたりな話をしたりする程度で日々過ぎていた。
ごく普通に、出入りの業者さんと事務員…そんな枠から逸脱することもなく。親友が言った”運命”など微塵も感じることはなかった。
彼女がいる人ですら恋愛対象外な私の性格上、妻帯者である“彼”は、もはや私的に男性ではない。もちろん恋愛というカテゴリーにおいてである。
それでも時折、深夜にもかかわらずpi.pi.pi.と鳴る事があると仕事中と全く違うテンションで楽しく話したりすることはあった。
そして、電話を切る度に疑問は深まる一方なのだ。 (何となく変だよね???)私がお嫁さんなら、最初の電話の三時間で夫婦ゲンカになっているくらいだ。もちろんお嫁さんが眠るのを待って電話をしあうような関係では決してない!!!
いい年をしておかしいと言われるけれど、私の恋愛論として”男女間の友情”は成立しない的な考えが根強い。それ故、恋愛対象者”場外”の彼からの電話は深まる疑問と共に、少し迷惑感が沸いてきていた。
(今度電話がかかったら説教してやる!!!) と心に決めた。
(私と昔話するより嫁と話せ!!!) そう言うつもりだった。
その翌日、”彼”ではないドライバーが配達に来た。「明日休む」って言わなかったけど…。 (私に断る必要はないか) それでも、また深まる疑問…。
そして、その疑問はその夜の電話で一気に解消される事となる。
「俺…」 (はぁ?泥酔?ふざけないで!!!)
着信時にわかっている事とはいえ「俺」の一言で全てを理解出来る程の仲でもなく、理解してあげようとする程好きでもない。お説教しようとしていた私だ。
いつもの私なら、「オレさん?なんて知り合いいませんが…」と切り返したと思う。でも、今度は私が空気を読んだ。(そのうち…って今日なのかも?)
「聞くだけでいいなら話して。」
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